下取り価格と、新車の値引き価格は非常に親密な関係があります。
これは車業界の事情や販売会社の思惑、戦略によるものです。

下取り査定は安いというイメージを持っている人も多いですが、値引きなどと併せて考えれば、買取専門店では太刀打ちできないような破格の条件が出る場合もあります。

メーカーが行う下取り対策とは

対策」とは業界用語になりますが、メーカーが販売会社へ指定した車種を売る為に、値引きの特別対策を取る事です

車種に限定して無条件で対策を出す場合や、指定カーナビを付ける事を条件にする事(よくCMでカーナビプレゼントキャンペーンをしているのは、こういった対策による物)です。

他にもさまざまな対策がありますが、一番多いのは下取り対策となっています
これは文字通り、下取り車を入れる事を条件に対策値引き枠をメーカー側が負担します。
昔から「新車値引きは下取りの有無で変わってくる」と言われているのは、対策による影響も大きなものとなっているからです。

下取り対策とは

主に3種類の対策があります。

自銘柄下取り対策

トヨタの販売店ならトヨタ車の下取りのみ。といった感じで販売店の自銘柄車の下取りのみ対策を出します。既存顧客からの代替えを狙っている場合によく使用されています。

他銘柄下取り対策

自銘柄以外の下取り車にのみ対策を出します。既存顧客よりも新規顧客を重視する取り組みで行われるケースは下取り対策の中では少なくなります。ライバルメーカーからの客の呼び込みに力を入れている車種で行われる事があります。

自他銘柄下取り対策

車種を問わず下取り車がある場合に値引きを補助します。自銘柄対策と他銘柄対策を分けて同時に行う事も多く、それぞれ対策の金額が違う設定を取っている事も多いです。

下取り対策の値引き枠とは

下取り対策の値引き枠は、時期やタイミングによって変わってきます
重点車種では毎月対策の内容が変わる車種もあります。

一番多い事例としては5万円です。決算期や車両価格が高い上級ランクの車種では10万円や15万円の対策金が出る事もあります。高級外車店では、イヤーモデルの型落ち車など特定の条件では50万円~100万円ほどの対策金が出る事もあります。

新車販売はあまり儲からない

新車は数百万円という単位の買い物になるので、利幅も大きいと思っている人もいますが、実際には新車は値引きをしてしまえば、あまり儲からないのが現状です。
新車を値引きを抑えて売るよりも、下取り車を店頭販売で売った中古車販売の方が、利益が大きい利益が出ているという環境があります。

新車で儲からなくても、新車を売る事で「他の事で儲かれば良い」と考えているのが新車ディーラーの戦略です。そこで最も即効性が高いのが下取り車による利益です。こういった事情から下取り車がない場合はディーラーは値引きを渋ってくる事も多くなります。

既存顧客確保の重要性

「新車も限界値引きして、下取り車も限界査定を提示する」場合は販売店側の利益は少なくなります。
それでも新車ディーラーは車を売りたい理由があります。

それは、自社で販売した既存顧客によるアフターメンテナンスがディーラーの最も大きな利益になっているからです。車を買うときは値引きしろとうるさくても、メンテナンスになるとディーラーの信頼性を買って、値段に文句を言わず民間工場よりも高い整備代金を支払うお客はたくさんいます。
この他にも、車をぶつけたり事故にあった時に板金修理の依頼があったり、自動車保険の加入による手数料収入などがあります。

このように、ディーラーは「既存顧客が増やせれば売る時に利益がなくても良い」と思っている販売会社があります。こうした考えが強いところであれば、値引きだけではなく下取り査定も破格の条件にまで引き上げてくれるケースがあります。

また、メンテナンスパックや任意保険の加入などを一緒にお願いすると値引きを増やしてくれるケースもあります。ただし、保険加入などを理由に値引きを増やすなどの営業行為はコンプライアンス違反になりますので、営業マンからは具体的に提案はしてくれません