現在新車の販売ランキングで上位を独占状態とも言えるハイブリッドカー。現在、トヨタでは新しいハイブリッドシステムの開発も大詰めを迎えていて、今後更にハイブリッドカーのシェアが拡大していく可能性があります。
そんな中、ハイブリッドカーは全然エコカーではないと異論を唱える人もいます。なぜこういった意見が出るのかも含めて、ハイブリッドカーが本当にエコカーなのかを検証していきます。
初代プリウスは課題が多かった
過去に購入された方がいたら、悪い思いをさせてしまうかもしれないですが、15年以上前に発売された初代プリウスは決して名車と呼べる完成度ではありませんでした。
当時はカタログ燃費が10・15モードだった事もあり、実用燃費が低いという声も多く、当時の1.5Lのエンジンに走行用バッテリーを載せた重たい車体と燃費重視のギア比はパワーがないと不満の声も多かったです。
また、走行用バッテリーの自然放電が多く、バッテリーの寿命が短く3年ちょっとで実燃費が大きく落ちる。5年前後で故障も多い。走行用バッテリーの交換費用が高額で、高い車両本体価格ガソリン代で元を取る前にお金がかかってしまい、全然エコではないと言われていました。
現行のTHS-㈼を装備したハイブリッドカーはこうした課題を完璧でないにしても、大幅に改善されていて、メーカーの想定としては25万kmが走行用バッテリーの寿命。万が一故障したり、途中で交換した場合も安く交換できる価格設定にした事があり、距離を乗れば乗るほど元が取れる計算に変わっています。
ハイブリッドカーはエコカーではない。と言われる一つの要因は旧型の初代プリウスのイメージを引きずっている面もあります。
高速では燃費が悪化
ハイブリッドカーは、ブレーキを踏んだ時の熱エネルギーで発電をして走行用バッテリーを充電します。構造上、ブレーキを踏まず、走行用バッテリーも充電されていない状態で走り続ければ、通常のガソリン車と同じになってしまいます。
高速道路などブレーキを踏まず、エンジンを回して走る機会が多いとハイブリッドカーの恩恵が少なく本来は高速道路は燃費が高くなる場所でも、ハイブリッドカーは逆に燃費が悪化してしまう可能性があります。
こういった高速道路や断続した山道の走行が多い、欧米ではハイブリッドカーが日本ほど普及していないのは、こうした環境の違いがあります。日本国内では、街乗り中心の人が多い、ゴー・ストップを繰り返すシチュエーションが多いので、ハイブリッドカーの特性を活かしやすい環境とも評価できます。
ただこうした特性を理解して、高速ばかり乗る人はハイブリッドカーよりもクリーンディーゼル車など他のエコカーの方がメリットが大きい場合もあります。
リチウムイオンバッテリーは処分するのにCO2を排出する
ハイブリッドカーが環境面で、エコカーでないと呼ばれていた大きな理由として、積載している走行用の大型リチウムイオンバッテリーを処分するのに多量のCO2を発生するという問題がありました。通常走行では、低燃費でCO2削減を達成できたとしても、処分する時にCO2を排出する量を考えれば、全然エコカーではないという話です。
確かに間違っていない話ですが、メーカー側やバッテリー業者もこの問題に着目をして、現在ではハイブリッドカー発売当時はほとんどできなかった、リチウムイオンバッテリーのリサイクルが可能になる技術の進歩がありました。通常のバッテリーのリビルト制とは違い、トヨタなどメーカー自信もリサイクルバッテリーを正規部品としてお客に紹介しているくらいですので、信頼性は高いと評価できます。
また最近のハイブリッドカーはこのページでも紹介している通り、バッテリーの耐久性が高く、車は乗り続けるけど走行用バッテリーを交換するというリスクが緩和されています。リチウムバッテリーを処分する時のCO2が出るという問題は完璧に克服している訳ではないですが、10年前に比べて飛躍的に改善されたと評価できます。
総評
ハイブリッドカーはエコカーでない部分も確かにあり、使用環境によって状況は変わってきます。ただ、日々確実に進化を遂げるハイブリッドカーは、経済的にも環境的にもエコと言える部分が大きくなっている事は確かです。
ハイブリッドカーを上手に活用できれば、実際にお財布にも環境にも優しい車であると評価できます。
そしてまだまだガソリンエンジンに比べて歴史の浅いカテゴリーです。今後更に進化していく事も期待できます。現時点でもエコカーと呼ぶ事ができるだけの環境性能は持っていて、近い未来も国内では主力の車となるでしょう。