「自動車ローンの種類と金利」のページでも紹介していますが、車を買う場合は一括とローンの選択肢があります。
その中で、ローンを選んだ場合にもいくつかの方法があります。
通常のローン購入では、頭金を入れる事で月々の負担額を軽減する事ができますが、更に月々の負担額を軽減する方法として残価設定ローンという方法があります。
残価設定ローンとは
その名の通り、残価を残すタイプのローンになります。3年型の残価設定ローンの場合、約50%の残価を設定する事で、実質新車を半額で買う事ができます。
通常3年ローンを組んで、3年ごとに新車を乗り換えていく場合、3年でローンを完済して、購入代金から約50%ほど残る査定価格を下取りや頭金にして、次の車を安く買う事ができますが、残価設定型ローンは査定価格で残価を返済するという方法を取る事になります。
他にも残価を一括返済して、自分の車にする、残価を再びローンを組み直して、月々の返済をしながら車を乗り続けるという方法を取る事ができます。
残価設定ローンの最大の特徴は、下取り車がなかったり、下取り車の査定価格がない場合でも月々の負担を安く車を買える事にあり、考え方としては、決められた期間の後に残る車の査定価格を前借りするというニュアンスの商品となっています。
リース購入と考え方は似ていますが、リースと残価設定ローンの違いについては、「マイカーローンと残価設定ローンの違い」でも詳しく紹介しています。
残価設定ローンはオススメできない
残価設定ローンでは、頭金や下取り車がなくても車を安く買えるメリットはありますが、はっきりいってオススメできません。
残価設定ローンのパイオニアとして有名なオニキス(ONIX)は、当初は新車が半額で買えるというキャッチフレーズで人気を呼び、一気に全国へと拠点を広げていきました。
今でもオニキスのテレビCMを見た事をなんとなく覚えている人も多いのではないでしょうか?そんなオニキスも現在は拠点数を大きく減らして、当時の勢いが無くなっているのが現状です。
その後、信販会社の自動車ローンでも残価設定ローンを扱うようになり、ディーラーなどでも手軽に申し込めるようになりました。より身近なサービスになった事で、興味を持つ人は多い残価設定ローンですが、しっかりデメリットやトラブル事例を認識して検討する事が必要です。
残価設定額は保証されない
残価設定ローンは、3年や5年など設定した期間や走行距離に応じて、ローン終了時の中古車相場を想定して残価を設定します。しかし、この残存価格は、必ず査定価格がつくと保証されているモノではありません。中には設定した残価よりも、査定価格が高く精算した時には現金が手元に残るケースもありますが、全体的には圧倒的に残価設定額よりも査定額の方が安く、査定額だけでは精算できない事が多いです。
残価設定ローンの大きなターニングポイントとなったのが、2007年のリーマンショックです。それまでは中古車相場は安定していて、新車であれば、3年後で50%、5年後で30%という査定相場がありました。この過去の事例を元に残価設定をしてローンを組む人が、オニキスなどのテレビCMの影響で非常に多かったのですが、2007年のリーマンショックで中古車相場は暴落してしまい、その後、ローン終了時点で査定額で残価を精算できない人が相次いでしまったトラブル事例があります。
残存価格でローンを組み直す時は中古車金利が適用される
残価設定ローンの金利は、取り扱い金融機関によって違いはありますが、相場は通常金利が5〜6%。残価に対する金利は0.99〜1.9%など安い特別金利が適用される事があります。通常金利が一般的な分割ローンよりも多少高くても、残価に対する金利が安い事で総合的に見れば、金利自体は妥当な水準と評価できます。
ただ、多くの人が後から聞いていないとトラブルが起こったのは、残価設定ローンが満了して、ローンを組みなおす時の金利が高くなるという点です。
新車を購入する時は、3年であれば50%前後に設定した残価を、査定価格で精算して、また次の車も同じように残価設定ローンを利用して買っていこうと考える人が多いです。しかし、査定価格で精算しきれなかった場合や、新しい車に買い換えるお金が無い人は、残価を再びローンを組んで同じ車に乗り続けようと考えます。
そこで、多くの人が感違いしているのが、購入時と同等の5〜6%の金利で残価価格のローン組み直しができると思ってしまうのですが、実際には、ローン満了後の残価組み直しは、中古車ローンの8〜9%、商品によっては更に高い特別金利が適用されてしまいます。
結果的に最初から5年や7年などの長期ローンを組んだ方が、利息が安くなったという結果に陥る事はよくあります。
低金利の長期分割ローンの方が圧倒的にオススメ
前述の最後でも触れていますが、残価設定ローンを組み直すのであれば、通常の低金利新車ローンで長めの期間でローンを組んだ方が圧倒的にオススメです。
例えば3年の残価設定であれば、通常の5年60回払い。5年の残価設定ローンであれば7年84回払いにします。
通常の自動車ローンであっても、常に一括繰り上げ返済は可能になります。例えば5年60回払いのローンを組んで、1回目の車検の3年経過時に新しい車に乗り換えようとした時は、利息を含めずに考えて、残り40%ほどになっている残債を査定価格で一括精算してしまえば、残価設定ローンと同じ効果があります。5年の残価設定ローンと7年84回払いで考えた時も同様の手順を利用する事ができます。
販売店の下取りや買取専門店の買取の場合は、ローン残債と、査定価格を相殺した金額で処理してくれるので、お金の動きも残価設定ローンと同様にスムーズに行う事が可能です。
残価設定ローンであれば、残価に対する金利が安くなりますが、通常の自動車ローンであれば、残価設定ローンと比べても低金利の商品がたくさんあります。また、ローン期間を長くしても、途中で一括返済すれば、利息は精算時までの期間で計算し直されるので、通常の自動車ローンは金利さえ安ければ残価設定ローンに比べて劣る点はないです。
3年後や5年後に、査定価格が想定以上に安くなった場合に、新しい車への代替えを断念しても、そのまま安い金利で乗り続ける事ができるので、残価設定ローンよりもメリットが大きいと言えます。