フィットは2001年に初代を発売し、歴史的な大ヒットを遂げました。コンパクトカーブームの火付け役になった存在で、人気を集めた要因はシート下に燃料タンクを設置するセンタータンクレイアウトで室内空間を広くしたことです。
その後、モデルチェンジを繰り返してきましたが、歴代のモデル全てが同クラスではトップクラスの積載性能・居住空間の広さが特徴です。
2020年2月に4代目へ変わるフルモデルチェンジを行い、ハイブリッドシステムとシャーシ、スタイリングが大幅に改良されました。
エンジンは先代の型式に改良を加えたのみですが、ハイブリッドシステムを従来の1モーター式から2モーター式へ変更。こちらはインサイトと同じ1.5L直4DOHCエンジン+i-MMDハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインです。
燃費性能が大幅アップしたほか、出力・トルクも桁違いにパワーアップしました。ハイブリッドシステムを2モーター化したにも関わらず、IPUを小型化したことで荷室スペースを拡大するなど、フルモデルチェンジした新型らしい大幅な進化です。
このほか、センタータンクレイアウトの構造からシートの座り心地が悪い欠点を、ホンダ車初のボディスタビライジングシートを採用することで補いました。
ボディスタビライジングシートは骨盤を支えて疲れないドライビングポジションを作るとともに、体圧の分散によってお尻や腰が痛くなる症状が緩和されます。
シャーシは先代に比べてフロントピラーが半分以下の厚みになり視認性が大幅アップ。CROSSTARは樹脂製のホイールアーチプロテクター等の追加でフィット初の3ナンバーボディになっています。(通常グレードより全幅30mmアップ)
先代(3代目)のフィットは販売不振に陥り、ノートやデミオ(現MAZDA-2)などライバルにシェアを奪われていました。人気を落とした要因の一つがシャープでスポーティーなフロントマスクです。
先代は男性からの評価が高い一方で、女性や仕事用で敬遠されるデザインを理由にターゲットが狭まっていました。
新型フィットはシンプルでオーソドックスながらLED照明を活用した先進性溢れるデザインになっています。初代に戻したようなスタイリングに変わり、女性やファミリー、法人からのシェアを高めそうです。
ホンダ フィットの特徴
車種名 | フィット(FIT) |
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排気量 | 1,317cc/1,496cc+2モーター式i-MM |
グレード/新車価格
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BASIC 1,486,100円~ |
HOME 1,718,200円~ | |
NESS 1,877,700円~ | |
CROSSTAR 1,938,200円~ | |
LUXE 1,977,800円~ | |
e:HEV BASIC 1,926,100円~ | |
e:HEV HOME 2,068,000円~ | |
e:HEV NESS 2,227,500円~ | |
e:HEV CROSSTAR 2,288,000円~ | |
e:HEV LUXE 2,327,600円~ | |
駆動方式 | FF/4WD |
燃費 | WLTCモード17.0km〜29.4km |
乗車定員 | 5名 |
最高出力 | (ハイブリッドモデル):エンジン72kW(98PS) + モーター80kW(109PS) |
最大トルク | エンジン127Nm(13.0kgm) + モーター253Nm(25.8kgm) |
値引き額 | 10万円〜20万円 |
中古車購入相場 | 狙い目年式 2015年式50万円〜80万円(HV) |
中古車査定(買取)相場
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3年落ち 60万円〜80万円 |
5年落ち 25万円〜55万円 |
ホンダ フィットのオススメポイント
広い室内空間と使い勝手の良さでライバル車を上回ります。ノートと比較すると五分の勝負ですが、MAZDA-2やヤリスと比較すれば荷物をたくさん積み方や後席に人を乗せる事が多い人は断然フィットがオススメです。
荷室の広さや居住性、走行性能のバランスが非常に良く、エントリーグレードでは車両価格で150万円を切るリーズナブルな価格設定が魅力です。
他メーカーは1.3Lエンジンを廃止する所が多い中で、価格とパワー、実用性の性能がバランスが良いと評判です。
また、ハイブリッドモデルは大幅な進化を遂げ、モーターの出力とトルクはライバルで新型ハイブリッドシステムを投入したヤリスを大きくリードしています。
最新のハイブリッドシステムによるモーターアシストで、ゆとりのある走りを求めている方はフィットがおすすめ。コンパクトカーの本格ハイブリッドモデルの中では料金設定がリーズナブルです。
ガソリンモデル・ハイブリッドモデルの双方で、価格に見合った価値と魅力があるパッケージになっています。
こんな人にはオススメできない苦手なポイント
ハイブリッドモデルのカタログ燃費は、WLTCモード29.4km/Lが最高。ライバルのトヨタ・ヤリスHVの最高36.0km/Lに大きく劣っています。
旧モデルに比べるとハイブリッド性能はパワーアップしましたが、燃費性能を重視する方はヤリスと比較検討するようにしてください。
ガソリンエンジンモデルは、他社では自動車税の変わらない1.5Lエンジンが主流になった中で、1,317ccエンジンになる点がネックです。
シャーシの強化もあって先代より軽やかな走行が可能になりましたが、パワーのゆとりを求める方は物足りなく感じるかもしれません。
不安がある方は、日産・ノート、マツダ・MAZDA-2(旧デミオ)などを試乗して比較してみるとよいでしょう。
スタイリングの面では、ツートンカラーを採用したCROSSTARに魅力を感じましたが、全幅30mmアップによる取り回しの悪さを残念に感じました。
ホイールアーチプロテクターをオプションにするなど、パッケージングの選択肢がもう少し豊富だったら理想的なラインナップになったでしょう。
ホンダ フィットの購入価格・値引きに関して
エントリーグレードで車両価格は約150万円~。ハイブリッドモデルは約200万円~になります。
消費税増税や製造コストのアップで乗用車は全般的に値上げ傾向が続いていて、装備やスペックを考慮すると魅力的な価格にまとめていると評価できます。
値引きは車両価格で5~8万円ほどですが、オプション値引きを含めた限界値引きは15~20万円ほど。総額はガソリンモデル180万円前後、ハイブリッドモデル230万円前後が売れ筋の価格帯です。
近い将来には車両価格の値引きが10~15万円ほどにアップして、総値引き額20~30万円が相場になるでしょう。
ホンダ フィットの中古車価格や査定額
2020年にデザインとハイブリッドシステムを一刷するフルモデルチェンジを行いました。型落ちモデルは売れ行きが悪かった影響もあり、買取・下取の査定額が大幅に減少する見込みです。
新型モデルは市場から高い評価を得ているので、安定した買取相場を維持できるでしょう。
ガソリンエンジンモデルはエンジンのベースが先代と共通です。割安な中古が増えていくようであれば、中古で先代を狙うメリットが高いです。
実用性の高い車種ですので、極端に中古車価格が崩れることはありません。モデルチェンジの影響も既に反映されていますので、中古車の購入・現在乗っているフィットの売却はご自身のタイミングで検討することをおすすめします。