日産・キックスは2020年6月30日に日本仕様が発売したe-power専用のクロスオーバーSUVです。
全長は4,290mmのコンパクトなボディで、トヨタ・C-HRやホンダ・ヴェゼルと同等サイズのコンパクトSUVに分類されます。
キックスは2008~2012年まで三菱パジェロミニのOEM販売されていました。2代目にあたる新型は先代の「KIX」とは異なる「KICKS」の表記を使い、全く新しいコンセプトで開発しています。
新型キックスは2016年のリオ五輪に合わせてブラジルで発売され、その後は販売国を中国・アメリカ・カナダ・タイなどへ広げていきました。
ブラジルでの発売から4年経過しての日本仕様投入で、ベースになっているのは2020年5月発売のタイ仕様です(タイ生産)。
モデル自体は古いですが、日本仕様には最新のプロパイロットが装着されています。
海外をターゲットにした背景もあり、国内使用は実質1グレードのXのみ。クロスオーバーSUVにも関わらず4WDの設定がありません。
e-powerはノートよりも最大出力を高めて中高速域でのトルクを向上させています。安全装備はプロパイロットとSOSコールが全車標準装備。SUVのハイブリッドとしては割安な約276万円にまとめられた価格設定とパッケージングが最大の強みです。
日産 キックスの特徴
車種名 | キックス(KICKS) |
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排気量 | 1.998cc(e-power) |
グレード/新車価格
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X 2,759,900円~ |
X ツートーンインテリアエディション 2,869,900円 | |
駆動方式 | FF |
燃費 | WLTCモード21.6km |
乗車定員 | 5名 |
最高出力 | モーター95kW(129PS) |
最大トルク | モーター260Nm(26.5kgm) |
値引き額 | 15万円〜30万円 |
中古車購入相場 | - |
中古車査定(買取)相場
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3年落ち - |
5年落ち - |
日産 キックスのオススメポイント
キックスと競合することが多いライバル車種はトヨタC-HRです。C-HRハイブリッドの車両価格は304.5万円なのに対してキックスは約276万円の価格設定が強みになります。
安全装置のプロパイロットは日産の先進技術が詰まった最新の機能が搭載されているため、ライバルを一歩リードする内容です。
e-powerならではのトルクフルな走りと街乗りでの燃費性能が優れていることに加え、室内容量はクラストップの432Lを確保。市街地走行が多い方や荷物をたくさん積む方から選ばれています。
ノートe-powerに比べて最大出力を20PSアップさせているほか、最大トルクを発生するモーター回転数が下がっているため、試乗するとスペック以上にパワフルな加速性能を実感できると評判です。
こんな人にはオススメできない苦手なポイント
キックスの不安要素と苦手ポイントは以下の3点です。
- タイ生産車は売れないジンクスがある
- e-powerの設定しかない
- 1グレードでFF設定しかない
日産はこれまでマーチやキューブをタイ生産に切り替えて、国内の売れ行きが悪化した過去があります。
タイ生産車は国内で売れないジンクスを打ち破る可能性もありますが、現時点では不人気車になるリスクがあることを認識しておきましょう。
過去のタイ生産車は中古市場での評価が低くなっているため、将来のリセールを考えた際の割安感は低いです。
キックスはノート・セレナに次ぐ3台目のe-power搭載車種で、ガソリンエンジンモデルを搭載しない初のe-power専売モデルです。
モーターのみで駆動するe-powerはEVと同様に長時間の高速走行を繰り返すと、燃費が大幅に悪化する特性がありますので注意してください。
最後に紹介する苦手ポイントは、グレードが実質1種類のみで4WDの設定がないことです。
昨今は海外向けモデルを1つのグレードに絞って国内販売する事例が増えていますが、クロスオーバーSUVの特性から4WDくらいは設定して欲しかった印象を受けます。
雪道を走る機会が多い場合は、4WD設定のある車種や後輪のモーターアシストがあるハイブリッドカーと比較検討することをおすすめします。
日産 キックスの購入価格・値引きに関して
日産では軽自動車を除いて2年9ヶ月ぶりの新型モデル投入ということもあり、値引きを引き締めた強気な販売を続けています。
発売当初の値引きは3~5万円。現在の限界値引きは10~15万円でオプション値引きを含めて20万円を超えるケースは少ないです。
ノートやセレナのe-powerも値引きを引き締められているため、時間が経過しても車両値引きだけで25万円(10%)を超える水準になる可能性は低いでしょう。
乗り出し価格の目安は300万円前後。ブラックスタイル+ルーフスポイラーのオプションを付けた場合は、それだけで約20万円プラスです。
インテリジェントアラウンドビューモニターやカーナビなどのディーラーオプションをたくさん付けると総額350万円前後になります。
日産 キックスの中古車価格や査定額
ノートやセレナのe-power搭載モデルは、新車の人気が高いため高年式・低走行は中古車価格が高いです。
ただし、e-powerは高速走行・長距離の巡航に弱い特性があるため海外輸出需要が低く、走行距離が多い中古車は売る時の査定減点が大きくなるので注意しましょう。
マーチやキューブなどタイ生産車の事例を見ると、国内生産のコンパクトカーに比べて中古車価格の値崩れが目立っていました。
過去のタイ生産車とコンセプトやクラスが異なるため一概に判断できませんが、現時点では将来的な中古車価格と査定額に不安要素があります。
まだ発売して間もない新型車のため中古車のデータは少ないですが、新車の売れ行きによって中古市場での評価を見極められます。
中古を安く買いたい方や将来的なリセールに不安を抱えている方は、新車の販売状況を注視しながら少し様子を見るとよいでしょう。