事故や車・その他の特約が適応になるトラブルが起きた時に、自動車保険を利用するかしないかは慎重に検討する必要があります。
補償の範囲内だからと言ってむやみに保険を利用すると保険更新時に等級がダウンして保険料が大幅に高くなってしまうケースがあります。
等級ダウン事故とノーカウント補償
自動車保険の補償は内容によって、更新時の等級が3等級下がるケースと1等級ダウン、ノーカウント扱いがあります。
それぞれの内容を理解して保険利用を検討しましょう。
3等級ダウン事故
主に運転者に過失がある事で生じる事故についてのみ3等級ダウン事故となります。
- 対人賠償責任保険
- 対物賠償責任保険
- 車両保険(主に自損事故・車対車の事故)
これらの保険を利用した際は更新時に3等級ダウンする事故となります。
1等級ダウン事故
従来までは等級据え置き事故となっていましたが2012年10月以降2014年4月までが始期となる契約では、すべての自動車保険が1等級ダウン事故へと変わりました。
1等級ダウン事故とは車両保険の限定A(アクシデント限定)を利用する場合で、具体的には次のようなケースです。
- 飛び石など飛来物による損傷
- 盗難
- 台風や洪水
- 落書きやいたずら
このケースで車両保険を利用すると更新時に等級が1等級ダウンします。
等級据え置き事故
前項で紹介した1等級ダウン事故と同じ内容になります。
契約開始時期が最近の契約ではほぼ全てが1等級ダウン事故と変更になってますが、1等級ダウン事故に改訂が行われる前に契約した長期契約では等級据え置き事故が適用されるケースもあります。
この場合は、翌年の更新時の等級が据え置きとなります。
ノーカウント扱い
各種特約などを中心に保険の等級に一切影響を与えずに保険のサービスを利用できるケースがあります。一例を紹介すると次のようなケースがあります。
- ファミリーバイク特約を利用してのスクーターでの事故
- ロードサービスの利用(保険会社によっては、利用制限回数や実費サービスも有り)
- 歩行中などに交通事故にあった時に人身傷害を利用するケース
- 搭乗者傷害保険
- 弁護士費用特約のみを利用した
- 日常生活賠償補償
- 示談交渉まで保険会社に対応してもらい、費用は実費で負担した
他にも特約を中心にノーカウント扱いで受けられるサービスはあります。
保険会社への相談・試算までは無料
事故を起こした事実があると自動車保険の事故扱いになり等級が下がると勘違いしている方もいます。
しかし、保険の等級が下がる条件は最終的に賠償金や支払い金の算出が終わり、保険を使うという最終決定をして保険金が支払われるという事実が必要になります。
事故やトラブルを起こした際は気軽に保険会社に連絡して、等級ダウン事故なのかの確認や保険を利用した場合の更新時の保険料の試算を依頼すると良いでしょう。
更新時の保険料の差額だけで比較しない
等級ダウン事故で保険を利用する場合、まずは概算の等級ダウンした時の保険料と、無事故で1等級アップした時の保険料を試算してもらいます。この時、実費で修理や賠償する際の代金と更新時の保険料の差額だけで比較をするのは間違っています。
実費負担の場合は、一度お金を払ってしまえば終わりますが、保険の等級は一度下がると、車を手放して保険を解約するか、20等級の上限に達するまで保険を利用したリスクが付いてくるためです。
例えば、自損事故で実費修理の見積もりが10万円だった場合を考えてみましょう。車両保険を利用した場合は更新時に3等級下がり、保険を利用しなかった場合と比べての保険料の差額が3万円だった場合、一見翌年3万円の差額の保険料を払った方がお得にも見えますが、翌々年以降の保険料まで考えると保険を使わない場合が得なケースがあります。
そのため、等級によっては10万円で実費修理した方が賢い選択となる事があります。
3年先辺りまでを見通して保険を使ったほうが得か、使わないほうが得かを保険会社に相談してみましょう。
再び事故を起こした時のリスクを考える
自動車保険の等級は、等級が高ければ高いほど1等級ごとの割引率の差は小さくなり、等級が低いほど大きくなります。
1度等級ダウン事故で保険を使って3等級下げたあとに、再度大きな事故を起こして保険を利用すると合計で6等級下がる事になります。
等級が低くなると、次回事故を起こした時の保険を利用するか否かの選択が狭くなるリスクがある事も理解しておきましょう。