近年自動車保険を中心に手がける損保会社の再編が進んでいます。
それまでの3大損保でもあった三井住友海上はあいおいニッセイ同和損保と組んではMS&ADインシュアランスグループホールディングスを、損保ジャパンは日本興亜と組んでNKSJホールディングスを立ち上げ、より会社規模を大きくする方向性を強めています。

これには背景があり、保険会社は規模が大きい方が安定性と信頼性に優れる傾向があるからです。

保険会社の規模が大きいメリット

サービスの質が安定する

保険会社の規模が大きければ大きいほど社内マニュアルが徹底されて一定の質が保たれたサービスが提供されます。
規模が小さかったり、実績が少ない保険会社では担当スタッフに応じてサービスの質が大きく異なる事も多いです。

会社の安定性

保険会社は今現在の財務体質が良くても、ちょっとしたきっかけで一気に経営危機・破綻へと追い込まれるリスクがあります。
損害など保険会社の損害が膨らむような事が起こっても、対応力があり資本が大きい大規模保険会社の方が安定するといえます。

事故対応の強さ

最近では通販型ダイレクト保険の事故対応時の顧客満足度が高くなってきましたが、示談交渉力や事故対応のサービスレベルの安定性は大手損保会社の方が強いといえます。保険会社の規模が多ければ実績と経験があり、より柔軟な対応を期待できます。

もしも保険会社が潰れてしまったら

万が一自動車保険に加入している損害保険会社が破綻してしまった場合は、日系・外資系関係なく日本で損害保険業の免許を取得して営業している保険会社の全てが損害保険契約者保護機構によって、保険契約が補償されます。

この場合には、救済企業が現れえた場合はその企業が保険契約を引継ぎ、救済企業が現れなかった場合は損害保険契約者保護機構が破綻後3ヶ月以内に起こった事故の保険金を援助する事で対応し、その後は損害保険契約者保護機構によって子会社が作られ保険契約を引き継がれます。

このように、保険会社が潰れても個人契約であれば保険内容は補償されますが、示談交渉力・保険金支払いスピード・保険金支払い能力が低下する事が予想されます。

損害保険契約者保護機構に保護されないケース

損害保険契約者保護機構によって契約される補償は下記の契約に限定されます

・個人契約
・常勤従業員20名以下の小規模法人
・マンション管理組合

以上の契約のみで一般の法人などは、保険会社が破綻すると保険内容が保護されない可能性があります。

日系保険会社と外資系保険会社

保険会社の信頼度を見る数値として「ソルベンシー・マージン比率」があります。これは保険会社の保険金支払い比率を数値かしたもので、支払い余力と訳される事もあります。

一般的には200%が基準となり、それを下回ると金融庁から早期是正処置を取られる事になっていて、顧客も注視する項目という事もあり損保会社各社はソルベンシー・マージン比率の向上に力を入れて数値向上の為に親会社や母体企業などから資金が投入される事もよくあります。

その結果現在の損保会社はほぼ全ての会社がソルベンシー・マージン比率が500%以上となっていて平均値は700~800台と高い水準になっています。

ソルベンシーマージン比率が高ければ決して安心できるというものではありません。特に親会社・母体の援助を受けている外資系や通販型ダイレクト自動車保険などでは、親会社が経営危機になれば一気に崩れてしまう可能性もあります。最近となってはソルベンシー・マージン比率は保険会社の見極めに重要な項目でなくなってきている傾向があります。

万が一保険会社が破綻した場合には救済企業が現れるかが大きなポイントですが、日系企業であれば国のサポートも充実して他社からの救済が期待されやすいですが、外資系の場合は日系企業に比べると母体や親会社が破綻した場合には救済企業として名乗りをあげる会社が現れないリスクも高いとされています。