加害者側としての補償範囲
自賠責保険と自動車(任意)保険の一番の違いは、自賠責保険は車両に対して掛ける保険なのに対して、自動車保険は記名被保険者と車両に対して掛ける保険ということです。
ここで一番のポイントになってくるのが補償範囲になります。
自賠責保険は車両に対して掛かっている保険ですので、誰が運転しても、対人の事故を起こした場合は保険が適用されます。
それに対して任意で加入する自動車保険については、申込者の任意設定により、本人・配偶者限定や家族限定・年齢条件などを細かく設定する事が可能です。
自賠責保険の加害者側としての補償範囲は、誰が運転しても補償される家族限定等・年齢条件等がかかっていない自動車保険と同等になります。
被害者側としての補償範囲
自賠責保険は、被保険車両の過失によって、ケガ・後遺症・死亡等の人的傷害が出た場合に保険金が支払われます。
「自賠責保険の補償内容」のページでも詳しく紹介していますが、死亡事故の場合で被害者1名に付き3,000万円まで、後遺症を伴わないケガ等に関しては被害者1名に付き120万円まで補償されます。
なお、これはあくまでも被害者1名に対してで自賠責保険の補償範囲に被害者の上限人数はありません。
例えば、乗用車が加害者で、客を30名乗せたバスが被害者の場合、事故が原因でバスの乗客30人全員が怪我や死亡・後遺症などの損害を受ける大きな事故があった場合には、バスに搭乗している30人全ての被害者が、1台の加害者となる乗用車の自賠責保険から補償を受ける事が可能です。
さらに、この例で紹介している乗用車とバスの事故の場合、乗用車の過失でバスと事故を起こして、被害者のバスに巻き込まれて損害を受けた、通行人や他の車の人も全員乗用車の自賠責保険から補償を受ける事ができます。この場合、バスと乗用車の過失割合に応じて、どの車両の自賠責保険から被害者に補償されるかが変わってくるケースもあります。
保険金が支払われないケース
100%被害者の責任で発生した無責事故に関しては、加害者の自賠責保険からは補償されず、賠償責任もなくなります。
無責事故には様々な状況がありますが、厚生労働省が発表している3大無責事故を紹介します。
●3大無責事故
- 被害者がスピードの出しすぎによって、センターラインをはみ出して衝突してきた場合
- 被害車両が赤信号無視により衝突してきた場合
- 後ろからの衝突をした側が被害車両の場合
車同士の事故で一方が「怪我・後遺症・死亡」などの損害を受けた場合は、事故の過失割合に関わらず、損害を受けた側を被害者と呼びます。
相手の過失で事故を起こして、その相手が傷害を負ってしまった場合は、何も落ち度がなくても、形式上は加害者となってしまいます。
ただし事故の過失が0対10で相手にある場合は、損害賠償責任は発生せず、当然車の修理費用や、怪我などの補償を相手の自賠責保険と自動車保険から補償を受ける事ができます。