自動車に乗っている人には、交通事故のリスクが付いて回ります。いつ誰に起こるかわからない事故のリスクに備えるのが自動車保険です。自動車保険には、法律で加入が義務付けられている、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と、任意で加入する任意保険があります。
ここでは、自賠責保険について紹介します。
自賠責保険は加入しないと法律違反
自賠責保険に加入しないまま運転すると、次のような罰則を受けることになります。
●1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
●免許停止処分で違反点数6点
また、車検も自賠責保険に加入しないと受けることができません。
自賠責保険の保険期間は、最長5年ですが、車検が必要な車であれば、車検満了までの期間で加入します。車検対象外の車であれば、自分でその期間を選ぶことになりますが、1年か2年で加入することが多いようです。
自賠責保険で足りない分は、任意保険で補う
自賠責保険の目的は被害者を守るためです。保険に加入していないドライバーが事故を起こした場合、被害者が十分な補償を得られなくなってしまうことを避けるため、法律で加入を義務付けています。
ここで注意したいのは、自賠責保険は対人賠償(人に対する補償)に限られているという点です。そのため、対物賠償(相手の車や物にたいする補償)や、自分の怪我は補償されません。さらに、対人補償も、自賠責保険の限度を超えた分に関しては、支払う必要があります。
これらのように自賠責保険で補償できないものを補うのが、任意保険です。自動車保険は、自賠責保険と任意保険の両方に加入することが必要です。
自賠責保険と任意保険の違いと補償範囲
自賠責保険の補償範囲と任意保険の補償範囲
身体の損害 | 物の損害 | |
---|---|---|
相手への補償 | ・自賠責保険 ・任意保険 (対人賠償責任保険) |
・任意保険 (対物賠償責任保険) |
自分への補償 | ・任意保険 (人身障害補償保険、搭乗者傷害保険など) |
・任意保険 (車両保険) |
自賠責保険の補償内容
支払い限度額 | 内容 | |
---|---|---|
ケガの場合 | ケガの場合 1名につき最高120万円 |
●治療関係費 応急手当費、診察料、入院費、投薬費、手術料、処置費、通院費、看護料、諸雑費、文書料など原則実費 ●休業障害 1日につき5,700円、立証書類があれば19,000円を限度に実額 ●慰謝料 1日につき4,200円 |
ケガの場合(後遺症になった場合) | ●神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残す場合で常時介護が必要なときに最高4,000万円。随時介護のとき、最高3,000万円
●上記以外の場合 |
●逸失利益 後遺障害がなければ得られたはずの収入 ●慰謝料等 神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残す場合で常時介護が必要なときに最高1,600万円。随時介護のとき、最高1,163万円(被扶養者がいる場合は、常時介護1,800万円、随時介護1,333万円)+初期費用等で常時介護には500万円、随時介護には205万円を加算。 ●上記以外の場合、障害の程度により第1級1,100万円~第14級32万円 |
死亡の場合 | 被害者1名につき最高3,000万円 | ●葬儀費 60万円(立証資料があれば100万円程度) ●逸失利益 生きていれば得られたはずの収入 ●慰謝料 死亡本人の慰謝料350万円 遺族の慰謝料は遺族の人数により、550万円~750万円(被扶養者がいれば200万円加算) ●死亡にいたるまでの治療費(ケガの場合と同じ内容) |