自賠責保険は自賠法に基づいて損保会社や協同組合(共済系)が運営をしているサービスですが、被害者救済を目的としている自賠責保険は国の事業として政府補償事業を行っています。
正式名称は「自動車損害賠償保障事業」と言います。
政府補償事業とは
自賠責保険は交通事故の被害にあった時の人的補償を、加害者の無保険により被害者が賠償金を受け取れない事を防ぐ為の被害者救済制度です。
しかし加害者が自賠責保険も含めて未保険だった場合や、ひき逃げ被害にあい加害者が不明な場合に補償を受けられない部分をカバーしてくれるのが政府補償事業となっています。
政府補償事業の補償内容は?
自賠責保険の支払基準に準じた損害額を政府が被害者に支払う事になっています。
自賠責保険の支払い基準に関しては「自賠責保険の補償内容」のページで紹介しています。
加害者は、賠償金の支払い義務がなくなるの?
政府補償事業は、あくまでも被害者救済の為に賠償金を支払う事ができない、もしくは不明な加害者に代わって賠償金を立替払いする制度です。加害者が未保険の場合やひき逃げをして、後日検挙された場合などは加害者の賠償責任は免除されません。立替払いをしてもらった政府補償事業に対して、全額返済する義務が発生します。
しかし、実際には政府補償事業で支払われた賠償金は加害者から未回収となってしまうケースが多いのも現状です。これは大きく問題視されていて、2011年3月末現在での未回収残高が458億円にも及び過去最大となっていて、現在も年々未回収残高は増加傾向にあります。
任意保険の無保険車傷害特約に加入していれば、更に安心
被害者やその家族が、任意保険で無保険車傷害特約に加入していれば、加害者が無保険の場合に自分の任意保険で補償を受ける事が可能です。
この場合は自賠責保険の補償金を超える賠償問題が発生した時でも、一般的に2億円まで補償されるようになっています。加害者が自賠責保険は加入しているが、任意保険に未加入だった場合でも補償の対象になります。
任意保険に加入していれば、加害者が自賠責保険未加入やひき逃げで相手と交渉できない場合でも、政府補償制度の申請手続きを代行してもらい、無保険車傷害特約の保険金と一括で請求する事が可能です。
無保険車傷害特約はほとんどの自動車保険で自動付帯となっている事が多いです。もしも事故の被害にあって、相手が無保険だったりひき逃げなどでトラブルになった場合は、自分の自動車保険の事故担当窓口に相談してみましょう。
政府保証事業も無保険車傷害特約も、対人賠償に限定した補償ですので、車の修理費用については、任意保険の車両保険一般タイプに加入しておかないと、補償はされません。
直接政府保証事業から請求をする場合
被害者やその家族も車を持っていないなど任意保険に未加入だった場合は、直接政府保証事業から請求をします。
自賠責保険よりも、請求するには手間や条件が厳しいので、状況に応じて行政書士や司法書士など法律の専門家に相談する事がおすすめになります。