交通事故を起こすと次の3つの責任を問われます。

・民事上の責任
・刑事上の責任
・行政上の責任

ここでは、行政上の責任について詳しく解説します。

行政上の責任とは

車の運転中や交通事故を起こした時の行政上の責任は、道路交通法違反による反則金や違反点数の加点です

車に乗っている方であれば、スピード違反や信号無視、一時停止無視などの道路交通法を違反する際に警察に捕まると、切符を切られる事を理解されているのではないでしょうか?

交通事故を起こした際も、道路交通法違反を犯していると、行政上の責任を問われます。

交通反則通告制度

道路交通法違反は、主に「交通反則通告制度」によって罰せられます。

交通違反も立派な法律違反なので、本来であれば刑事責任を追求されて「犯罪者」になります。しかし、交通違反者が非常に多く、その大半が軽微な違反です。

交通違反者全てに刑事責任を追求して犯罪者として扱う事は、警察の業務上や道徳上に問題があるので、警察行政によって反則金を課し、反則金を納めれば刑事訴追しないことになっています。これを「交通反則通告制度」といいます。

交通反則通告制度は、多発する交通違反を迅速・簡易に処理する制度ですが、公正・正確を欠くという問題もあります。また、人身事故や酒気帯び運転など悪質な交通違反は、交通反則通告制度が適用されない場合があります。

免許の停止・取り消し

交通違反や事故を起こすと違反点数が加点されていき、累積点数に応じて免許の停止や取り消し処分になります。この点数は、違反・事故の内容程度によって決められています。

人身事故など交通事故による違反は、一発で免許停止や取り消しになる場合もあります。
(参考:交通事故のよる免許停止)

交通事故の違反は、事故の後に決まる

交通事故を起こした場合は、後日、警察に呼び出されて、現場検証や被害者からの話の内容によって行政処分の内容が決まる場合が多いです。

特に人身事故の場合は、被害者の救護や事故現場の処理などを優先する事や、目撃者の証言などで事故状況が変わってくるため、行政責任の追求は後回しにされる事が多いです。

被害者の出方によって行政責任が軽くなることも

人身事故による違反点数は、被害者の傷害の状況や加害者の不注意の程度によって、2点〜20点の違反点数加算となります。
(ひき逃げは別途35点、当て逃げは別途5点)

しかし、人身事故の行政上の責任は、事故後すぐに示談が成立して被害者側が加害者の厳罰を求めない場合は、不起訴になって責任を免れるケースもあります。

ただし、信号無視や一方通行無視など、明確な交通違反を犯した事故については違反切符が切られます。

万が一、人身事故の加害者になってしまった時は、しっかり謝罪を行い、示談成立に向けて積極的に誠意を見せながら示談を進める事が求められます。

ただし、被害者からの追求や警察が厳罰を求める判断をした場合は、加害者はそれに従うしか方法はありません。

交通違反不服申立の手続き

違反現場で警察官に違反切符を渡されたが不服がある場合は、告知書に書かれている出頭先に出向いて不服を申し立てる事ができます。

警察が不服を認めれば再調査を行い、誤りがあれば訂正されます。それでも不服があれば検察や裁判所に対して、不服申立をする機会があります。

交通反則通告制度が適用されないとき

交通反則通告制度が適用されないのは、免許不要の乗り物や歩行者の立場で事故を起こした場合(自転車の場合は各自治体で罰金を定めている場合あり)と、原則刑事裁判になる重大な事故です。

交通反則通告制度が適用されない交通違反は、主に次のものがあります。

  • 30km以上(高速道路は40km以上)の速度超過
  • 無免許運転
  • 大型免許等無資格運転
  • 飲酒・酒気帯び運転
  • 過労運転
  • 反則行為をして人身事故を起こしたとき

交通反則通告制度が適用されなければ、刑事裁判で責任追求をされることになります。