交通事故は加害者側も被害者側もやるべき事があります。
責任や賠償問題、事故の当事者が行うべき行動など、事故の発生から解決までの流れをまとめました。
事故発生から解決までの流れ
交通事故が発生してから解決するまでには、次の4つのステップがあります。
- 事故発生・現場での処理
- 加害者の責任追求(民事・刑事・行政)
- 示談交渉および損害状況の算出
- 解決
それぞれ詳しく紹介します。
事故発生時の現場での処理
交通事故は、死亡事故、傷害事故、物損事故に分類されます。
これらのどの事故でも、加害者側は、次の3つの義務があり、怠ると罰則を受けます。
- 危険防止措置
- 負傷者の救護
- 警察への届出
事故現場では、事故現場では過失割合ではなく、怪我をしている方が被害者になります。事故の当事者双方が怪我をしていれば、お互いが加害者でもあり、被害者でもあります。
まずは2次災害の防止や負傷者の救護を最優先して行動しましょう。
(参考:交通事故現場ですることは?)
事故によって生じた損害金はレシートを保管しておく
突然交通事故が発生して車に乗れなくなったり、事故現場で長時間拘束されると、タクシーや宿泊費用、その後に入っていた予定のキャンセル費用など様々な損害金が発生します。
事故によって発生した費用は、全てレシートや領収書をもらって保管しておくようにしましょう。
加害者から後日請求できる場合もありますし、自分が加害者の立場でも、加入している自動車保険の特約で負担してもらえる場合もあります。
レシートなどの履歴や証拠を残しておかないと、請求できませんので注意しましょう。
事故が起きたら、すぐに保険会社に報告
自動車保険は主に事故発生から60日以内に、事故の報告をするように定められてます。事故発生から60日を超えてから報告をすると、自動車保険に加入していても補償されない事もあるので注意しましょう。
できれば、自動車保険会社への事故報告は、事故現場などなるべく早い段階で行うとよいでしょう。熟練の事故担当スタッフが親身にサポートしてくれますし、ロードサービスや事故付随費用など各種特約の利用案内を受けられます。
事故加害者の3つの責任
事故の加害者は大きく分類して、次の3つの責任があります。
- 民事上の責任(賠償責任)
- 刑事上の責任(主に傷害事故)
- 行政上の責任(違反点数の加点や免許停止・取り消し等)
それぞれ、民事責任は賠償を持って対処、刑事責任は刑事裁判か略式起訴、行政責任は違反点数の加点や反則金の支払いすることで、全ての責任を果たし解決へ向かいます。
示談交渉および損害状況の算出
交通事故の大半は、示談交渉によって解決します。死亡や重度の後遺症、ひき逃げなどの重大な事故や、当事者同士の話し合いで折り合いがつかない場合は、裁判が必要になる場合もあります。
示談交渉は、基本的に自動車保険(任意保険)会社が全て代行してくれます。
事故の当事者双方が自動車保険に加入している場合は、保険会社同士の示談交渉を行い、それぞれの被保険者の同意が取れれば、示談書を作成、損害賠償を経て解決となります。
自動車保険に加入していない場合は、示談交渉も全て自分で行わないといけません。相手は交通事故の示談を多数こなしている保険会社になるので、素人が直接示談の席につくと不利な条件を提示される事が多いです。
自動車保険に加入するメリットは、こうした示談交渉の代行にもあります。
保険会社が示談交渉を行ってくれる場合は、保険会社の指示に従って、壊れた車の修理を行ったり、怪我の治療で病院に通って損害状況を確定させます。
交通事故の解決
交通事故の解決は、民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任を加害者が全て果たす事です。
それぞれの責任を果たす方法は以下の通りです。
民事上の責任
民事上の責任の解決方法は次の3つがあります。
- 示談 → 示談書の作成
- 調停 → 調停調書の作成
- 裁判 → 判決
基本的には、自動車保険からそれぞれの決定額に応じて保険金が支払われます。
ただし、搭乗者傷害など一部の一時金払いの補償や特約では、解決する前に保険金が一部支払われる場合もあります。
保険に入っていない場合や、等級ダウンを懸念して保険を利用しない場合は、直接賠償金や自分の車の修理費用を負担して解決になります。
刑事上の責任
刑事上の責任は原則、被害者を死傷させた場合のみ問われます。
信号無視や一時停止無視などの軽度の交通違反は、道路交通法によって行政上の責任となります。
仕事中の交通事故場合は度合いによって、雇用主にも責任が問われる場合があります。
刑事上の責任の解決方法は、裁判か略式起訴です。
略式起訴の場合、判決は100万円以内の罰金・科料の上限があります。略式起訴の判決に不服がある場合は、略式起訴の結果が出てから14日以内に正式裁判の申立を起こせます。
飲酒運転による死亡事故など、悪質なケースでは略式起訴を経ずに裁判から始まる場合もあります。
裁判は懲役・禁固・罰金・科料の判決が出て、上訴しない事や上訴認められないと判決が確定します。
行政上の責任
交通事故による行政上の責任は次の場合に発生します。
- 怪我をさせたなどの人身事故を起こした場合
- ひき逃げや警察への届出をしないなど責任義務を怠った場合
- 信号無視、一時停止無視など交通違反をしていた場合
道路交通法の違反がなく、物損事故のみで正しい対応をすれば、行政上の責任はありません。
行政上の責任は、免許の違反点数の加点と罰金によって解決します。違反点数の加点や累積状況によっては、免許停止や取消処分を受ける場合があります。
道路交通法の違反による罰金は、刑事処分を免除してもらうための処置です。万が一罰金を払わなかった場合は刑事責任を問われ、裁判(略式裁判含む)に発展します。
また、飲酒運転や無免許運転、死亡事故など悪質もしくは事故の度合いが大きい場合は、道路交通法違反に該当しても行政上の責任ではなく、最初から裁判で刑事上の責任を問われる場合があります。