車を運転して公道を走る事は、常に交通事故のリスクがあります。
仮に自分に落ち度が一切なくても、被害事故を起こしてしまう事もありますし、どれだけベテランの優秀なドライバーでも、運転や判断のミスで事故の加害者になってしまう事も珍しくありません。
ここでは、事故にあった時や、起こしてしまった時の対処法について紹介します。
事故を起こしたら、落ち着いて冷静に対処する事を心がける
事故を起こすと、多くの方は気が動転して、パニック状態に陥ってしまいます。
全国で起きているひき逃げや当て逃げ事故の多くは、元々は真面目な方が事故を起こした時のパニックで咄嗟に取った行動です。
また、事故を起こすと「自分が積み上げてきた無事故記録が・・・」とか「修理代やこのあとの予定をどうしよう」などと考えてしまい、肝心な事故現場がある目の前の事を考えない方が多いです。
交通事故はその後に適切な言動を取る事で、2次災害の回避や加害者や被害者との示談交渉、交通事故の違反点数などを有利に進められる事もあります。
事故を起こした時は、まずは一度大きく深呼吸しましょう。
動転する事はしょうがないですが、まずは今、本当に最優先して行う事は何なのかを考える事が大切です。
事故が起こった時にまず行う事
事故が起こった時には次のことを行ないましょう。
- 危険防止の措置
- 負傷者の救護活動
- 警察への届出
以上の3つは交通事故の加害者側に義務付けられている事です。
これらを怠ると、罰金または懲役が課せられます。
適切な処理をしないで、その場から立ち去る事を「ひき逃げ」と呼び、10年以内の懲役または100万円以内の罰金になります。
さらに被害者側が死亡や後遺症が残ってしまった場合は、傷害罪として立件される場合もあります。
特に飲酒運転をしている中で加害者になってしまった方は、冷静な判断力が無い事や、その場で警察を呼ぶとアルコールが検出される事を恐れて逃げてしまう事が多々あります。
万が一、飲酒運転をしている中でひき逃げをして被害者が死亡させた場合は、通常の殺人罪と同等の重い懲役刑が下る事もあります。
事故の対処義務があるのは加害者だが、状況に応じて被害者も積極的な行動を取る
上記の3つの義務行為は、全て加害者側が行うように法律上で定められていますが、実際の事故現場であれば、加害者、被害者、目撃者など立場は関係なしに、できる方がその場で取れる最善の行動を取りましょう。
例えば後ろから追突された場合は、前を走っていた車が100%の被害者です。しかし、被害者が軽傷で加害者が重症の場合は、被害者がその場で全ての対処をする必要があります。
優先順位を考える
事故が起こった時の現場の対応で、最も大切なのは、適切な優先順位を取る事です。
特に優先してもらいたい事故の対処法を紹介します。
まずは2次災害の防止
事故が起こった時に最優先して行って欲しいのが、後続車による追突などの2次災害の防止です。
けが人などがいると、真っ先に救急活動を行おうとする方もいますが、そこにけが人と救護している方を含めて後続車に轢かれてしまう大規模な事故もあります。
まずは事故を起こして停車している車や倒れている人や障害物の位置を確認して、速やかに発炎筒や反射板などで後続車に事故が起こっている事を知らせましょう。
特に高速道路、交差点、見通しの悪いコーナーは2次災害の事故が多いので注意しましょう。
負傷者の救護活動と再度2次災害の防止
最低限の後続車対策など2次災害の防止措置が取れたら、すぐにけが人の救護活動を行います。
救護活動ではまず119番に電話して、状況を伝えて救急車を呼びます。
知識があれば、止血活動や蘇生法の実践を行う事が望ましいです。
ただし頭を強く打っている場合は、むやみに負傷者を動かさない方が良い場合があります。
119番に電話した時に、適切な指示を受けるようにしましょう。
負傷者の確認や救護活動が終わったら、再度2次災害の防止に努めましょう。
もしそれぞれの車を動かす事が可能で、動かして渋滞や通行止め状態が緩和できるのであれば、最低限の移動をする事が望ましいです。
ただし、事故が起こった状況や証拠はその後重要な役割を担います。車を動かしたり破片の掃除をする場合は、まずは事故現場に手を加える前に写真を撮るなどして証拠を残しておきましょう。
最低限の必要処置が落ち着いてから行う事
事故が起こった時に行う事は、「危険防止の措置、救護活動、警察への届出」以外にもたくさんあります。
まずは最低限の上記3つの事を最優先で行い、落ち着いたら次のステップへ移ります。
目撃者に実況見分に立ち会ってもらえるように頼む
事故は目撃者の供述が非常に重要です。
被害者、加害者問わず事故の加害者は、その場では「私が悪いです。ごめんなさい」と謝っていても、その後の示談交渉で私は一切悪くないと手のひらを返して、全くデタラメな供述をされる事もあります。
目撃者がいたら、警察が来るまで待って、実況見分に立ち会ってもらえないかお願いしておくと良いでしょう。
自動車保険会社に事故報告
自動車保険会社への事故報告は、警察の実況見分が全て終わってからでも問題はありません。
しかし、車が動かなくなってレッカーが必要な場合や不安な事があれば、早めに事故報告をして相談をしておくとよいでしょう。
また、一部の通販型自動車保険は事故車の修理工場を指定している場合もあります。事故を起こした際に保険修理をするルールも確認しておくとよいでしょう。
被害者や加害者との接触は無理に深入りしない
事故を起こした現場では、警察や救急車が来るまでは、被害者と加害者のみでその場に待機する場合があります。
加害者だった場合は、頭を下げて謝罪を先にしておくと、その後の示談交渉がスムーズになる場合があります。
しかし、どっちが悪いなどといった過失割合の話や、慰謝料、直接の示談交渉の話を当事者同士でその場で交渉する事はやめましょう。
なるべく深入りせずに、最低限の謝罪や挨拶が済んだら警察が来るのを待って、連絡先交換を仲介してもらい、その後は自動車保険の事故担当者に任せましょう。
まとめ
・交通事故を起こした時はまずは深呼吸して、冷静にその場で取れる最善の事を考える
・事故を起こした時には加害者側に危険防止の措置、負傷者の救護活動、警察への届出義務がある
・事故現場にいたら、被害者、通行人など立場を関係なく、必要な対処を行う事が大切
・事故現場では優先順位を考える事が重要
・まずは後続車からの追突事故防止の措置をしてから119番をして負傷者の救護をする
・負傷者の救護は119番の電話応対者、事故の処理や先方とのやり取りは警察や保険会社など、それぞれの分野のプロに任せる