交通事故の被害に遭って入院や通院をする場合、被害者の年齢や精神状態、病状によっては、付き添い人が必要になる場合があります。

たとえば小さいお子さんが入院をした場合、親が付き添いをしていないと、子供は入院生活の不安やストレスが大きくなります。

こうした付き添い費についても、特定の条件を満たせば加害者への損害賠償の対象になります。

看護付き添いとは

看護付き添いとは、被害者が怪我をして入院や通院をする場合に、親などの家族が付き添いしたり、専門の職業付添人を利用する事です

職業付添人を利用した場合は、かかった費用を原則実費で賠償請求可能です。
家族が付き添いをした場合、看護付き添い費用として賠償金を請求できます。

看護付き添いが認められる場合

看護付添が認められる方法は次の2つがあります。

  • 医師が付き添い人の必要性を認めて「付き添い看護証明書」の発行、もしくは診察明細書に付き添い人の必要性を「有り」にチェックした場合
  • 12歳以下の児童(医師の承諾不要で付き添い人が認められる

看護付き添いには、「入院付き添い」と「通院付き添い」の2つがあり、それぞれ個別に医師に必要性を認められる必要があります。

医師が付き添い人を認める主な要因は、被害者本人が足や眼を怪我して1人で安全に歩けない場合や、知的障害や精神疾患によって1人での通院が困難と判断した場合、要介護状態で病院の看護システムでは対応しきれない場合などです。

要介護状態でも病院の看護システムが充実していれば、一切入院付き添い人を認めない病院や、職業付き添い人のみ認める場合もあります。

12歳以下のお子さんの場合は、1人で通院したり、病室で1人で長時間過ごす事が困難で、教育にも悪影響を及ぼす可能性があるため、医師の承諾不要で看護付き添いが認められます。

看護付き添いの賠償費用

看護付き添い人の費用は次のように定額で支給されます。

●職業付き添い人
・かかった費用実費
・厚生労働省の認可を受けた有料職業の紹介によるものに限り、領収書や請求書などの、かかった費用の立証が必要。

●家族や親近者による入院付き添い費
・自賠責保険基準:1日につき4,100円
・裁判の判例:5,500円〜7,000円

●家族や親近者による通院付き添い費
・自賠責保険基準:2,050円
・裁判の判例:3,000円〜4,000円

看護付添費は原則、自賠責保険基準が適用されますが、示談交渉の内容によっては、裁判をしなくても過去の裁判の判例から自賠責保険基準より増額した付き添い費が認められる場合があります。

付き添い人の休業補償について

家族や親近者が付き添い人をするために、仕事を休まなければいけない場合は、現在の収入を証明する資料と収入減を証明する資料を提出する事で、事故がなく付き添い人をしなければ得られたであろう収入分の休業補償を請求できます

休業補償の算出方法は、原則有給休暇の買取制度もしくは、事故前3ヶ月の給料から平均給与を算出し、そこから30日で割って1日あたりの賃金を算出します。
ただし、付き添い人が請求できるのは、付き添い人費用か付き添い人休業補償のいずれか一方のみです。

たとえば短時間パートの主婦が子供の付き添いのために仕事を休んだ場合、1日あたりの賃金が4,100円未満であれば、休業補償ではなく入院付き添い費を請求して、通院付き添いの時は休業補償を請求する事になります。(1日あたりの賃金2,050円以上の場合)。

フルタイムで働いているなど、1日の賃金4,100円以上になる場合は、入院・通院問わず付き添い人休業補償で請求します。