交通事故の発生場所で最も多いのが交差点です。
特に市街地の信号がある交差点での事故比率が高いです。

ここでは過失割合の一例として、直進車と右折車の衝突事故の事例を紹介します。

交差点での直進車と右折車の事例

信号機が青の場合、直進はもちろん、安全を確認して右折、左折も可能です。
しかし特に右折の場合、対向車の距離感を見て強引に行こうとして衝突事故を起こす事が多いです。

ここで紹介する事例の事故発生時のポイントは次のとおりです。

  • 直進車A車(普通乗用車)は青信号で交差点に進入した
  • 直進車A車は急いでいたため法定速度50km道路を15km超過の時速65kmで走っていた
  • 右折車B車(大型トラック)は青信号で交差点に進入し右折を開始した
  • 右折車B車は徐行もせず、勢いよく右折を開始し、直進車A車と衝突した
  • 直進車A車の運転手は骨折の重症を負った

交差点では直進車が優先なので、右折車B車の方が過失が大きいです。
しかし、A車は速度超過の過失があり、法定速度で走っていれば、事故を回避できた可能性もあります。

信号のある交差点での過失割合基準一覧

交差点での車同士の事故の過失割合基準をまとめました。

●出会い頭の事故

・青信号A車と赤信号B車の出会い頭の事故  A0 対 B100
・黄信号A車と赤信号B車の出会い頭の事故  A20 対 B80
・赤信号同士のA車とB車の出会い頭の事故  A50 対 B50

●直進車と右折車

・直進車A車と右折車B車がともに青信号での事故 A20 対 B80
・直進車A車黄信号で交差点に進入、右折車B車青信号で交差点に進入、黄信号で右折開始 A70 対 B30
・直進車A車右折車B車ともに黄信号で交差点に進入 A50 対 B50
・直進車A車右折車B車ともに赤信号で交差点に進入 A50 対 B50
・直進車A車赤信号で交差点に進入、右折車B車青信号で交差点に進入、赤信号で右折開始 A90 対 B10
・直進車A車赤信号で交差点に進入、右折車B黄青信号で交差点に進入、赤信号で右折開始 A70 対 B30
・直進車A車赤信号で交差点に進入、右折車B車青矢印で交差点に進入 A100 対 B0

事例紹介の事故の過失割合は、直進車A車15対右折車B車85

今回事例紹介している事故の過失割合認定基準は、それぞれが青信号で交差点に進入しているため、直進車A20対右折車B80です

右折車B車は、直進車A車の速度超過による過失を訴えています。
速度超過15km以下の場合は、過失割合が10%加算されます。

しかし、右折車B車も徐行を怠った事で10%加算。さらに大型トラックだったため、5%加算が上乗せされてA15対B85の過失割合になります。

青信号同士の直進車と右折車の事故の修正要素

ここで紹介している直進車A車、右折車B車がともに青信号で交差点に進入した場合の事故は、事例紹介している以外にも次の修正要素があります。

・B車徐行なし  B車10%加算
・B車早回り右折 B車5%加算
・B車大回り右折 B車5%加算
・B車合図なし  B車10%加算
・B車大型車   B車5%加算
・B車その他著しい過失、もしくは重過失 B車10%加算
・A車15km以上の速度超過 A車10%加算
・A車30km以上の速度超過 A車20%加算
・B車既右折中 A車10%加算
・A車渋滞による交差点内停車や無理な交差点への進入 A車10%加算
・A車その他著しい過失 A車10%加算
・A車その他重過失  A車20%加算

交差点での事故は双方の意見が食い違う事が多い

交差点の基本は直進車優先です。しかし信号機がある場合は信号の色で過失割合が大きく変わります。
今回紹介している事例は青信号同士のため、80対20の事故ですが、信号の色によっては50対50や直進車の方が大きい過失を問われる事になります。

また、直進車と右折車の事故は、直進車が速度超過している事も多く、実際に何km出ていたかで修正要素が変わります。
信号がある交差点の事故では、双方が信号の色やスピードを巡って意見が食い違い過失割合の認定が難航する事が多いです。

車同士の物損事故は目撃者もすぐに現場を立ち去ってしまう事が多く、証人を確保するのも難しいです。
近年普及率が急上昇しているドライブレコーダーを装着しておけば、交差点進入時の信号の色の明確な証拠を確保でき、過失割合の認定がスムーズに進みやすくなります。