交通事故で最も多いのは交差点です。
信号のある交差点では、ドライバーが急いでいる時に、信号が変わり際に強引な進入をする場合があります。
例えば直進している時に、歩道の信号が赤に変わったのを見て、車用の信号が変わる前に交差点を通過しようとアクセルを踏み込んで加速してしまった経験はありませんか?
さらに、ここでは事故の片方が違反点数の加算によって、免許停止中だった条件も加えて過失割合の決まり方を解説します。
信号の変わり際の事故
今回紹介する事故事例のポイントは次のとおりです。
- A車は運転免許停止中
- A車は赤信号で交差点に接近。交わる方向の信号が変わろうとしていたので、すぐに青に変わると判断しそのまま赤信号で交差点に進入
- B車は交差点の直前で信号が黄色に変わったが、そこからアクセルを踏んで15kmのスピード違反で黄色信号で交差点に進入
- 出会い頭の事故が発生
- B車は治療期間15日未満の軽傷(ムチウチと軽い打撲)を負った
交差点の出会い頭の事故で、黄色信号と赤信号の場合の過失割合認定基準は、黄色信号20対赤信号80です。
(参考:過失割合の認定)
今回の事故では、A車は自らの過失を認めつつも、黄色信号の終わり際で加速しながら交差点に進入したB車の過失の増加を訴えました。
B車は、A車に対して免許停止中の状況で赤信号無視して交差点に進入した悪質性を訴えて、自らの過失の無しを主張しました。
過失割合はA車75対B車25
今回の事例の過失割合は次のようになります。
基準値:赤信号と黄色信号の出会い頭 80対20
・A車免許停止中の運転・・・10%加算
・B車赤信号直前の黄色信号で加速しての進入・・・5%加算
・B車速度超過15km以上・・・10%加算
過失割合 A車75 対 B車25
免許停止中の運転は、行政的責任の要素が強い
交通事故における、免許停止中の運転による修正要素は、10%加算です。
免許停止中の車に事故を起こされた場合、軽い修正要素と感じる方もいるでしょう。
免許停止中の運転は民事よりも、行政的責任の要素が多いため、過失割合の修正基準は低く設定されています。
ここで紹介している事例では、B車に速度超過と黄色から赤に変わる直前での加速に対しる過失があったため、80対20の基準値よりも被害者B車の過失が大きくなりました。
A車は賠償責任75%ですが、それとは別に重たい行政的処分を受ける事になります。
A車の運転手が受ける行政処分
違反種類 | 違反点数 | 罰金 |
---|---|---|
赤信号無視 | 2点 | 9千円 |
軽傷(治療期間15日未満)の人身事故 | 3点 | 2万円〜3万円 |
無免許運転 | 19点 | 3年以内の懲役または50万円以下の罰金(刑事的責任が発生) |
免許停止中の運転は純粋な無免許運転と同じ扱いになります。
免停中に運転した場合、信号無視や人身事故の罰則がなくても即免許取り消しになります。
さらに、被害者が死亡や重度の後遺症を負う人身事故だった場合は、最低でも懲役6ヶ月以上がつきます。
万が一、飲酒運転中の事故だった場合は、懲役15年以下のさらに重い刑事責任を問われます。
免許停止中は、どんな事があっても車を運転してはいけません。