交通事故を起こしたら、すぐにその場で警察を呼ぶ事が義務付けられてます。
もしも、その場で当事者同士で示談交渉するなどで、警察を呼ばずに済ませた場合は、罰則やその後のトラブルなどのリスクが発生します。
警察に連絡をしなかった時の罰則
交通事故を起こした場合は、加害者側に以下の3つの事を行うように義務付けられてます。
- 危険防止の措置
- 負傷者の救護活動
- 警察への届出
それぞれ怠った場合は、道路交通法72条1項目の違反にあたり罰則を受ける場合があります。
運転者への罰則
警察への届出義務を怠った場合は、道路交通法によって3ヶ月以内の懲役、または5万円以内の罰金が課せられます。
ちなみに、被害者が死亡や後遺症を残す重大な事故の中、ひき逃げなどを理由に警察への届出を怠った場合は、さらに重い罰則があります。
(参考:交通事故にあったらまずは被害者救済)
無届事故は保険がおりない
警察へ連絡しなかった場合の法的制裁は、3ヶ月以内の懲役または5万円以下の罰金のみです。
車同士の軽い接触の物損事故の場合は、届出をしなくても実際に罰則を受けない場合もあります。
しかし、無届事故のデメリットは、法的罰則よりも自動車保険が使えないリスクの方が大きいです。
自動車保険の請求には事故証明書が必要
自動車保険を使用して、賠償金を保険会社に負担してもらう場合は、事故証明書の提出を求められます。
事故証明書は、事故現場で警察を呼んで実況見分をしている事が発行条件です。
事故証明書は、事故現場の管轄都道府県の安全運転センターが扱っています。
また事故証明書は、自動車保険の請求のほか、裁判、示談交渉にも必要な書類です。
交通事故は後から思わぬ賠償請求が来る場合がある
警察への届出を意図的に怠って、当事者同時で直接示談交渉しようとする方は、免許に事故歴が残るのを懸念して、お金で解決しようとします。
加害者の立場だと、警察への届出をすると事故歴が残ります。人身事故(被害者が怪我をする事故)でなければ、違反点数の加点や罰金はありませんが、免許更新時にゴールド免許にならないデメリットがあります。
また、軽い物損事故の場合など少額の賠償でも、自動車保険の対物保険から支払うと、3等級ダウンして更新時の保険料が高くなるデメリットがあります。
ほかにも、警察を呼んで実況見分する時間を嫌がるなどの理由で警察へ連絡をせずに直接示談交渉しようとする方がいます。
たしかに、数万円程度の修理費用を自腹で支払ってすむのであれば、警察へ届出をしない方がメリットが出る場合があります。しかし、交通事故の怖い所は、後から被害者が思わぬ賠償請求をしてくる事です。
交通事故の賠償トラブルの一例
・バンパーをちょっと傷つけただけだったのに、フレームが歪んだり、衝撃でカーナビが壊れたなど高額な修理費用を請求された
・事故現場では怪我がないと言っていたが、家に帰ったら首が痛いと言い出し、治療費や慰謝料、休業補償などを請求された
・先方の車の修理費用は微々たるものだったが、事故の際に少し傷つけたガードレールの損害賠償を求められた
交通事故の被害者の中には、本当にその事故で受けた損害を賠償請求するのではなく、被害者の立場を利用して加害者や保険会社からお金を巻き上げようと考える方もいます。
被害者本人が、誠実そうで悪い事を考えないような方でも、事故による直接示談交渉を終えて帰った後に、周囲から「もっと請求できる」と煽られて手のひらを返してくる事例もあります。
つまり、交通事故は、相手の被害の規模に関係なく、常に高額な賠償請求を受けるリスクがあります。
事故による損害以上の賠償請求をする事は詐欺行為にあたり、請求された金額を必ずしも全額で払う必要はありません。しかし、悪意のある賠償請求された場合でも、証拠を持って賠償金が不正である事を証明するのは困難です。
そのため、こうした賠償金の支払いに関しては自動車事故のプロである、自動車保険会社に示談交渉を含め任せるとスムーズです。話が大きくなった時に自動車保険を利用するためにも、必ず事故現場では警察を呼び、事故証明書を発行できるようにしておきましょう。
事故を起こしたら、自動車保険会社にも連絡しておく
交通事故を起こした時は、その場で速やかに警察を呼ぶのはもちろん、早めに加入している自動車保険にも事故報告をしておきましょう。等級ダウン扱いで保険を使うかは、示談交渉が全てまとまった後から選べます。
相談や示談交渉までは完全無料で、自己負担で賠償金を払えば翌年の自動車保険は無事故扱いになって等級が1つ上がります。
また、自動車保険は事故発生から一定期間以内に報告しないと保険金が支払われないルールがある場合があります。保険会社によってルールは様々ですが、一般的に事故発生から60日以内の報告が義務付けられています。
長期間自動車保険に連絡をしていなかった場合には、警察への届出の有無を問わず、保険を利用できない場合があります。直接の示談交渉で話がこじれたり、時間が経過してから、実は後遺症が残ったり、仕事を休んだ分の慰謝料を払ってくれと言われるリスクもあるので、保険を使用する気がなくても、事故を起こしたら一度早めに保険会社へ報告する事が大切です。
まとめ
交通事故を起こして、もしも警察を呼ばなかったら次のリスクが発生します。
・道路交通法違反により3ヶ月以内の懲役か5万円以下の罰金(人身事故の場合はさらに厳罰)
・交通事故証明書が発行できないので自動車保険を使えない
こうしたリスクを認識した上でも、免許に傷つく事を嫌ったり、先方への修理費用が安い事を理由に警察を意図的に呼ばない方もいます。
しかし、交通事故は被害者側が、交渉面では落ち度があって反論できない加害者側の弱い立場を利用して、悪意を持って高額な賠償金を請求するトラブル事例もあります。
その場で直接話がまとまっていても、後から修理費用が高くなったり、首が痛いなど怪我を訴えて数十万円〜数百万円の賠償請求を受ける場合もあります。
そのため、軽い事故であっても、必ずその場で警察に連絡をして実況見分や正しい届出をしておくようにしましょう。