自賠責保険は車同士の事故による死傷を全て無条件で補償するものではありません。
無責事故と認定された場合は自賠責保険が適用されないので注意しましょう。

無責事故とは

無責事故とは、100%被害者の責任で発生した事故の事です。死傷者に100%の過失がある場合は、事故の相手は加害者とみなされず、無責事故による死傷は自賠責保険の賠償請求ができません。

車同士の事故で過失が相手に1割以上あれば、双方が加害者という扱いになり、自賠責保険が適用されます。また、死傷者(被害者)が7割以上の過失がある場合は、重過失事故として自賠責保険の賠償額が減額されます。
(参考:重過失について)

無責事故になる交通事故例

車同士の事故の場合、ほとんどのケースが双方に過失が発生します。しかし、特定の条件を満たすと過去の判例により被害者の無責事故に認定される可能性が高いです。

無責事故になる主な交通事故例を紹介します。

●被害者の赤信号無視
:信号のある交差店で、被害車両が赤信号で交差店に侵入して起こした事故は、過失割合100対0の無責事故になります。

●被害者のスピード出しすぎによるセンターラインオーバー
:特にカーブによるセンターラインオーバーは無責事故に認定されやすいです。

●後方からの追突
:居眠りや脇見などによる後方からの追突は、前を走る車が避けようがない事故なので無責事故に認定されます。車線変更直後や前を走る車が正当な理由のない急ブレーキをかけた場合は、無責事故にはならず、追突された側の車にも過失責任が発生します。

無責事故は死亡事故が多い

無責事故は、法定速度を大幅に超過した暴走運転や、赤信号無視、居眠りや脇見によるノーブレーキによる衝突など、重大な事故が多いです。そのため、普通の傷害(ケガ)を負った事故よりも、被害者が死亡する大きな事故の方が、無責事故の占める割合が高いという統計が出ています。

無責事故は証拠の立証が重要

交通事故は当事者同士で、信号の色やセンターラインの飛び出し状況や事故当時の速度など、言い分が食い違う事があります。被害者が死亡したり意識不明の重体になる事故の場合、どちらか一方の言い分が全て通ってしまい、そのまま無責事故に認定される事が多いです。

交通事故を起こした場合は、ドライブレコーダーの記録映像や、目撃者の証言など証拠の立証で、局面が大きく変わる事があります。事故の当事者双方に意識があって意見が食い違う場合は、無責事故の立証ができないと、双方に過失が発生する場合が多いです。

無責事故に備えて任意保険はしっかり加入しておく

無責事故に認定されると、自賠責保険や相手の車の対人賠償補償保険から損害賠償請求する事はできません。こうした無責事故でも、任意保険の人身傷害補償保険や搭乗者傷害補償保険、自損事故補償保険などに加入しておくと、自分の任意保険から死傷に対する補償を受けられます

ほかにも勤務中の事故の場合は、労災保険や被害者本人が加入している医療保険や生命保険からも保険金請求できる場合があります。無責事故は死亡事故が多いことから、万が一にそなえて任意保険には傷害保険もつけておきましょう。