交通事故の解決の手続きは専門知識が必要で、事故の当事者やその家族が全て自ら行う事は困難です。

加入している任意保険会社も、示談代行や各種手続きの代行をしてくれますが、法律の専門家に依頼した方が有利でスムーズに進む場合があります。

近年では、任意保険の「弁護士費用特約」の付帯率が上昇していて、法律の専門家への相談がしやすくなりました。

交通事故の手助けをしてくれる法律の専門家

交通事故の各種手続き依頼やサポートは次の法律の専門家があります。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士

それぞれ詳しく紹介します。

弁護士

交通事故の紛争解決の多くは、弁護士の利用によって解決されています。依頼者に代わって保険会社との示談交渉や裁判ができるのは、法律の専門家の中でも弁護士だけです。

書類作成から代理人としての活動まで事故による紛争トラブルを全面的にサポートしてくれます。弁護士を立てると相手側が譲歩して、訴訟を起こさなくても解決の方向に向かう事もあります。

また、交通事故の賠償金の算定は「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「弁護士会基準」の3つがあり、この中で最も算定基準が高いのは弁護士会基準です。
(参考:賠償額算定の基礎知識)

弁護士を立てる事で裁判をした場合、弁護士会基準の賠償額算定が通る可能性が高まり、示談交渉の段階で訴訟を視野に入れた強気の交渉ができるようになります。

弁護士費用は、司法書士や行政書士の費用と比べても高いですが、弁護士を利用する事で受け取れる賠償金が大幅に高くなる可能性があります。人身事故であれば、受け取る賠償金と比べて弁護士費用は小さいと言えます。

被害者の立場であれば、成功報酬で請けてくれる弁護士もいるので、事故当時に資金的余裕がない方でも弁護士を利用できます。後遺症が残るような傷害事故や死亡事故など、被害が大きい人身事故の場合は、早い段階から弁護士を利用するようにしましょう。

弁護士は交通事故に得意・不得意がある

弁護士はそれぞれ次の得意分野があります。

・刑事事件の弁護人
・離婚問題
・個人間や企業、業者の金銭トラブル
・遺産相続問題
・交通事故の紛争解決

複数の分野を得意にしている弁護士も多いですが、なかには交通事故の紛争解決の実績がほとんどない弁護士もいます。つまり、交通事故で弁護士を利用するときは弁護士選びも重要です。

自動車保険(任意保険)に紹介してもらったり、自分で交通事故に強い弁護士を探し、依頼する前には交通事故の紛争解決に関する実績や、知識を持っているのか直接聞いてみてもよいでしょう。

司法書士

司法書士は本来登記手続きの専門家です。原則、裁判や示談交渉の代理業務はできませんが、許可された「認定司法書士」であれば、賠償請求額が140万円以下の場合に限り、弁護士と同様の活動ができます。

ただし、裁判は簡易裁判所での一審のみで、控訴されて二審に進む場合は弁護士への依頼が必要です。被害が少ない物損事故や、後遺症のない傷害事故の場合に活用される事例があります。

ただし、こうした140万円以下の賠償請求額のトラブルのほとんどは、任意保険会社による示談代行で解決されています。任意保険会社の示談交渉が難航している場合や、相手が任意保険に加入していないなどの時に司法書士の利用を検討するとよいでしょう。

弁護士に依頼するよりも費用が安いのがメリットです。

行政書士

行政書士は行政関係文書を作成する専門家です。行政書士の権限は書面の作成のみなので、依頼者の代理人として相手と直接交渉する事もできませんし、紛争解決の知識や実績も持っていません。

交通事故のサポートで行政書士ができることは、自賠責保険請求の手続きなどです。任意保険に加入していなくて、加害者と直接示談が成立して、残りは請求手続きのみの場合などに、行政書士の活用を検討するとよいでしょう。