交通事故が起きると、加害者は被害者に対して与えた損害を賠償する義務があります。
この交通事故の損害賠償は、事故の状況によって範囲が変わります。

ここでは、交通事故の損害賠償と、その範囲について解説します。

損害賠償の種類

損害賠償の種類は次の事故の種類によって変わります。

  • 人身事故(死亡)
  • 人身事故(傷害)
  • 物損事故

人身事故は、特に後遺症が残った時の保障が手厚くなるように定められてます。
物損事故は人に対する賠償責任はなく、物に対する損害のみ賠償責任を負います。

人身事故の損害賠償

人身事故の損害賠償は「財産的損害」と「精神的損害」があります。

財産的損害には、「積極障害」と「消極損害」があります。積極損害とは事故によって失った損害、消極損害は事故がなければ得られたであろう利益を意味します。
精神的損害は主に慰謝料です。

人身事故(死亡)の損害賠償
財産的損害 精神的損害
積極損害 消極損害
葬儀関係費 逸失利益※ 慰謝料
医療費
通院交通費
雑費など
人身事故(傷害)の損害賠償
財産的損害 精神的損害
積極損害 消極損害
医療費 休業損害 慰謝料
通院交通費 (後遺症が残った場合、逸失利益※)
雑費など

※逸失利益とは、生命侵害を受けなければ生存したであろうと推定される年齢に達するまでの、その人の推定収入から、その間に要する生活費を控除したもの
専業主婦の場合は、女性の雇用労働者の平均的賃金相当額をあげるものと推定される。

物損事故の損害賠償
財産的損害 精神的損害
車両の破損 車両以外の損害
修理費 修理費 なし
代車費 店舗や商品の営業補填など (物損事故では賠償が認められない)
営業補填など
車同士の事故は過失割合に応じて減額される

車同士の事故は、後方からの追突など、特定の事故状況を除いて被害者側にも過失責任が付きます。
損害賠償は、算出された賠償額から、過失の割合に応じて減額されます。

例)
 ・100万円の賠償額で5対5の事故だった場合、受け取れる賠償額は50万円
 ・100万円の賠償額で8対2の事故だった場合、受け取れる賠償額は80万円

損害賠償の金額と算定基準

交通事故の賠償額は定型・定額化されていて、目安がつくようになっています。
例えば、仕事を問題なくこなせる方が負傷により通院をした場合は、1日につき○千円の慰謝料など、こういう場合は賠償額はいくらといった金額が、過去の判例や基準額の一覧表によって参考値が用意されてます。

定型・定額化されている事で示談や調停のように、双方の合意が必要な賠償請求でも、被害者の平等をはかり、速やかに合意・賠償が行われるようになってます。

損害金の算定基準は次の3つがあります。

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士会基準

賠償金の割合は次の順番で高くなります。

弁護士会基準 > 任意保険基準 > 自賠責保険基準

自賠責保険基準は、人身賠償による総支払額120万円以内の時に適用されます。
120万円を超える賠償の場合は、通常は任意保険基準、実際に弁護士に依頼して訴訟をする際は弁護士会基準になります。