人身傷害とは、自動車保険の傷害保険にあたる部分にあたり、主に被保険車両に搭乗している方が自動車事故によって怪我・死亡をした際に治療費や死亡補償金を実費にて補償する保険です。
また、記名被保険者とその家族に限り、被保険車両以外の交通事故(他人の車やバス・タクシー。歩行中など)によって損失を受ける人的補償(死亡・怪我・後遺症等)も保証されます。
人身傷害は手厚い傷害保険
傷害保険には主に人身傷害と搭乗者傷害があり、重複して加入する事もできますが、その中の位置づけとして人身傷害はより手厚い補償を受けられます。
搭乗者傷害の補償金の設定は主に500万か1,000万円が一般的ですが、人身傷害は補償金の上限を無制限にする事も可能になります。
一般的な補償金設定の相場は3,000万円を下限補償金となっていて、3,000万円~6,000万円ほどの設定にしている人が多いです。
人身傷害で保証される内容
治療費
補償対象内の人が怪我をした際に、実際に入院・通院・手術などによって生じた治療費を保証します。
死亡・後遺症保証
保証対象内の人が死亡・重度の後遺症を残した場合は、設定金額の上限ないで、それぞれの方の年齢や収入などを基準に算出された保険金が支払われます。
休業補償
保証対象内の人が交通事故により、仕事を休業した場合にその期間内の収入を保証されます。補償額はそれぞれの方の収入によって算出されます。
慰謝料(精神的損害補償)
主に怪我をした場合に完治までの総日数や通院日数に応じて支払われます。
支払い金額の1例を紹介すると
- 完治までに要した治療総日数50日
- 入院・通院総日数30日
この場合は治療総日数を上限に実通院日数の2倍が慰謝料算出の基準となります。
実通院日数の2倍が治療総日数を上回るので、治療総日数の50日を基準に算出され、4,200円の日額慰謝料の場合は50 × 4,200 = 210,000円になります。
ただし、あくまでも保険会社と担当者の見解次第で保険金の支払い額は最終決定されますので、あくまでもひとつの目安となります。
人身傷害と搭乗者傷害の違い
保険対象となるケース
人身傷害では、被保険車両での事故の場合は搭乗者全員が補償され、更に被保険者とその家族は被保険車両以外の事故も補償されます。
それに対して搭乗者傷害は被保険車両での事故の際に搭乗していた方全員のみが保証され、被保険車両以外の交通事故は補償されません。
・設定金額
搭乗者傷害は保険会社によって違いますが一般的な死亡時などの上限金設定は500万か1,000万円となっていて、上限設定も低めに設定されています。
人身傷害は3,000万円を下限に保険会社によっては1億円・2億円(1,000万円単位で細かく設定可能)・無制限などと手厚く補償をかける事ができます。
ただし人身傷害の場合は設定金額の上限金を必ず受け取れるとは限りません。
実損払いと定額払い
人身傷害は原則実損払いとなり、治療日数や通院日数によって保険金が算出され、休業補償や慰謝料など交通事故が原因で受けた損害を全て補償されます。
ただし、特約がない限り治療が全て完治されてから保険金が支払われるのが一般的になります。
搭乗者傷害は原則定額払いとなり、病状や怪我の内容が診断された時点や一定の通院日数を超えた時点で保険金が確定して、素早く支払われます。
事故の過失割合による支払い
搭乗者傷害は保険というよりは、見舞金という扱いになり、自損事故や相手の車との過失状況に関係なく、被保険車両に搭乗している方が事故で死傷した場合には無条件で保険金が支払われ人身傷害や事故の相手の対人賠償保険と重複して受け取る事ができます。
それに対して人身傷害は、相手がいる事故の場合は事故の過失割合によっては支払われません。
例えば過失割合が0対10で相手方にすべての過失がある場合は、まず自賠責保険から支払われ、自賠責保険でまかなわれない部分は相手の対人賠償保険で支払われます。
この場合は人身傷害に加入している場合でも自分の保険からは支払われません。
過失割合が5対5で50%の過失がある場合は、治療費や死亡補償金の50%は相手方の保険から支払われ、自分に過失のある50%は人身傷害保険から支払われます。
過失が全てある場合や単独事故など相手がいない場合は全額人身傷害から保険金が支払われます。
人身傷害の保険料
搭乗者傷害と比べた場合には、人身傷害を設定した方が保険料は高くなる傾向があります。
ただし、搭乗者傷害は上限金が低い事が多く、高めに設定できる場合でも上限金を上げると人身傷害より保険料が高くなるケースがあります。
人身傷害と搭乗者傷害は重複して加入できますが、どちらか一方のみの加入を検討するのであれば、補償が手厚い人身傷害をおすすめします。
被保険者や主に被保険車両に同乗する人に年齢や収入によっては、人身傷害の設定金額を高めに設定しても保険料の支払いが高くなるだけで、実際に事故を起こした際も設定金額を高く設定していた恩恵を受けられないケースもあるので、注意しましょう。