自動車保険の対人賠償責任保険とは、交通事故で相手を死傷させてしまった際の賠償を補償する保険で自動車保険の中でも最も重要な保険と言えます。

対人賠償責任保険は原則、人身事故を起こした際に適応される自賠責保険で対応できない部分を補償する保険となります。

自賠責保険の補償内容

  • 死亡  3,000万円
  • ケガ   120万円
  • 後遺症 等級に応じ75万円~4,000万円

賠償責任が発生する被害者が複数名いるときは、それぞれに上記の賠償補償が行われます。
(例:3名を交通事故により死亡させた場合、3,000万円 × 3名で合計9,000万円)

自賠責保険で対応できない高額な賠償

自賠責保険では1名に付き死亡補償が3,000万円となっていますが、実際に死亡事故を起こした際は自賠責保険の補償額を大きく上回る損害賠償を請求されます。

健康で若い人の場合は一般的に死亡事故の賠償額は1名に付き1億円前後と言われています。
この場合自賠責保険のみの加入であれば7,000万円を自己負担する義務が発生します。

被害者が複数名の場合であれば自賠責保険からはみ出る賠償補償額は、大きく増えて平均的な収入の人では簡単には賠償できる金額ではなくなります。

「任意保険に入らずに車を運転すると人生が終わる」と言われているのは、高額な人身賠償によるトラブルが原因で生まれた言葉です。

対人賠償責任保険は、必ず無制限で加入するようにしましょう。

歩行者・自転車相手は自動車側に過失を課せられる

交通事故による損害賠償は、過失割合に応じて支払われます。

車同士の事故の場合は相手側が赤信号を無視したり、落ち度が相手側に大きい場合は過失割合が少なくなり、停車中や後ろからの衝突は原則0対10。相手が信号無視・一時停止無視など重大な過失がある場合は1対9など、例えケガさせたとしても、過失が少なければ補償額は大きく軽減されて自賠責保険の対象内でおさまる事もあります。

しかし、歩行者や自転車が相手の場合は車側は非常に不利な過失割合を余儀なくされます。

原則は10対0で車側は全ての過失の責任を負います。例え歩行者や自転車が赤人号無視して飛び出してきたとしても、認められる過失相殺は5%~25%ほどとなっていて、75%から95%ほどの過失割合で損害賠償を請求されます。

車を運転する以上、どれだけ運転技術が高く、安全運転していても避ける事が難しい事故は実際に多く、相手が車でなければ、車側は圧倒的ふりな状況で過失競技が行われます。

対人賠償責任は、問われる事がとても身近

大きな事故を起こさなくても、対人賠償保険の責任を問われる事は頻繁にあります。
車同士の事故で大きな衝撃ではなく、コツンとぶつかった程度だとしても相手の車に乗っていた人が「首が痛い」「ケガをした」などと言ってしまえば原則対人賠償責任が発生します。

事故の際は被害者側と加害者側の立場は大きく異なり、被害者側は実際には怪我をしていなくても「痛い」「違和感がある」などと一言話すだけで対人賠償が発生します。

中には実際に怪我していなくても保険金目的で、嘘をついてでも「怪我をした」「通院の必要がある」と言ってくる人は多くいるので対人賠償責任保険はとても身近なものなのです。

自賠責保険適応内でも示談交渉してもらえる

対人賠償責任保険に加入していれば、相手への賠償金額が1名に付き120万円以下のケガの治療費などでも、対人保険に加入していれば保険会社が示談交渉を代行してくれます。

任意保険に加入していないと、自賠責保険の保証範囲内での事故であったとしても過失割合の示談交渉を自ら行わなければいけません。相手は示談交渉を仕事としているプロになりますので不利な内容に話が進むリスクが大きくなります。

対人賠償責任保険の考え方

対人保険にしっかり加入しない事のリスクやデメリットは、紹介しきれないほどありますし、実際に対人無制限に加入しなかった事が原因で人生が大きく狂ってしまった人も多くいます。

細かい理屈はなしにして、対人賠償保険はドライバーのマナーと常識として必ず無条件で加入するようにしましょう。