物損事故で1日だけ通院した場合の慰謝料について
車同士の事故の場合、大きな衝撃を受けるケースも多いです。
この場合、車の損傷は事故の直後にすぐに確認する事はできますが、怪我については、事故から数日経過してから、事故の衝撃で首に痛みが出たりする場合があります。特に交通事故は日常的に起こる事ではないので、事故が起こった直後はアドレナリンがたくさん出て痛みを感じない人も多いです。
この場合、被害者側の対応としてオススメされているのが、念のため病院にいって診察を受ける事です。そこで、「怪我がない」と診察された場合は、人身事故ではなく物損事故になります。
この場合の慰謝料がどうなるのかを説明します。
原則は人身事故は診断書と届出がないと認められない
ルール的な話をすると、交通事故が原因で、念の為という意味で通院をした場合、その治療費用は保険で支払いが行われます。
しかし、診断書と人身事故の届出がされないと、人身事故とは認められず、加害者側の保険からは慰謝料を支払う義務がない決まりとなっているので注意しましょう。
実際に慰謝料を支払ってもらえるケースも多くある
厳密なルールでは、人身事故認定されていないと慰謝料は払われませんが、今回の例のように事故が原因で念のため通院を行った場合は、その分の慰謝料を支払ってくれるケースが多いです。
慰謝料の計算は自賠責保険の基準で定められている4,200円を基準に2日分から、プラスアルファを付けて4日分などが支払われるケースがあります。通院を理由に仕事を休んだ場合は別途休業補償金として、5,700円〜19,000円が支払われます。
3ヶ月分の給与明細を提出するなど、1日仕事を休む損失が5,700円以上と認められれば19,000円を上限に実費相当分が補償されますが、
休業補償が1日のみの場合は給与明細等の資料提出が面倒で5,700円の最低保障額で妥協してしまう人が多いです。
なぜ、保険会社は人身事故認定がなくても、慰謝料を支払うのか?
いくつかの要因がありますが、一番の理由はトラブル回避の為です。
交通事故が起きた場合には、実際には痛みは何もないのに、首が痛む、などと嘘をついて通院を繰り返して慰謝料を請求する人がいます。
1日のみの通院で人身事故届出をしないと言っているユーザーに対して、人身事故ではない事を理由に慰謝料の支払いを断固拒否してしまうと、被害者がその後、他の病院に再度通院して、人身事故だと主張されてしまう可能性が出てきます。
医師も目に見える怪我が無い場合でも、被害者が痛いと言い張っていれば診断書を書く他方法はなく、保険会社側としては、1日分の慰謝料の支払いを拒否してトラブルを起こす方がリスクが大きいと判断させて、示談交渉で被害者を納得させ、行動を起こされないような対応をするケースがあります。
この場合、慰謝料を負担する保険は、自賠責保険のケースと任意保険のケースがあります。双方は保険会社の運営元とは関係なく親密な関係になっていて、状況によっては人身事故の届出がなくても自賠責保険から支払われるケースがあり、それが難しい場合は任意保険が支払っているケースもあります。
このケースでは、被害者側から請求の話をしなければ、通常の物損事故扱いだけで処理されて、慰謝料を支払われる事がほとんどありません。
こうしたケースの被害者となった場合は、必ず自分から通院した日の分の慰謝料を払ってもらうように交渉してみると良いでしょう。ただし、ルール上では人身事故の届出がないと保険会社は支払う義務がない事も理解しておく必要があります。