交通事故の被害者になり、傷害(ケガ)を負った場合に、自賠責保険の120万円を超えると慰謝料が安くなるケースがあります。
これは、傷害賠償として支払われる慰謝料の計算方法が120万円を超えると、自賠責基準ではなく、任意保険基準に切り替わる事が原因となります。
自賠責保険には後遺症を伴わない傷害は一律120万円という賠償金の上限があり、その範囲内ですと、規則の内容に沿った計算が行われますが、120万円を超えて任意保険基準に切り替わると、保険会社の都合の良い計算方法になってしまいます。
詳しくは「事故(むちうち)の慰謝料」の慰謝料のページで紹介しています。
任意保険基準の慰謝料は安い
一例を紹介すると、自賠責保険基準の120万円以内で収まれば90万円ほどの慰謝料をもらえたにも関わらず、120万円を若干オーバーした事でもらえる慰謝料が70万円程になったケースがあります。
任意保険基準の慰謝料計算は各保険会社によって変わり、特に加害者が加入している保険が通販型や外資系などの安さを売りにした保険の場合、被害者に不利な計算式を使われる可能性があります。
120万円の賠償金を把握する事は難しい
自賠責保険基準の傷害賠償金の上限120万円は、慰謝料だけではなくて、治療費を始め交通費やその他書類作成費用なども含まれます。
慰謝料や交通費だけでしたら、自分で計算して把握する事もできますが、賠償金には治療費も含まれます。この治療費が傷害保険の難しいポイントとなっています。
病院や接骨院も保険金で設けている
通常の健康保険を使った診療では、点数式で治療内容によって報酬が定められています。しかし交通事故の賠償による診療の場合は原則自由診療となって、通常の受信料よりも高額な請求をしている病院などが多いです。
特に接骨院の場合は、通常の健康保険の診療が1,000円〜1,500円程が相場で、健康保険で3割負担だった場合300円〜500円ほどの負担で治療を受けられます。しかし交通事故の保険診療の場合は、5,000円〜10,000円といった高額な治療日を請求しているケースが多いです。
これにより通院を繰り返すだけで、自分が把握している以上に治療日で枠を使われてしまっているケースが多い傾向にあります。
健康保険を使う方法も
交通事故が原因で通院した場合、代金は支払わずに保険会社に直接治療費を支払うという方法が一般的です。これにより、出費がなく通院を行う事ができますが、自由診療として枠を病院や接骨院に取られてしまうデメリットがあります。
これを防ぐ為に、要望を出して健康保険を利用して治療費を先払いして、後から保険会社に一括請求する方法があります。
通院するほど出費がかさむデメリットがありますが、健康保険を利用すれば、診療報酬は通常の定額精算となり、120万円の自賠責保険の賠償枠を慰謝料で多く利用する事が可能になります。
弁護士を利用すれば自賠責保険の120万円を超えた方が高額になる事も
「事故(むちうち)の慰謝料」や「交通事故の慰謝料もらう場合の通院日数の数え方」のページでも紹介していますが、自賠責保険の傷害賠償枠を超えて、任意保険基準に以降すると、慰謝料が安くなるケースがありますが、弁護士に依頼して弁護士基準で交渉を進めてもらうと、慰謝料が自賠責保険基準よりも高額になるケースがあります。
最初から120万円を大幅に超える長期療養が必要と分かっている場合や、自動車保険で弁護士費用特約に加入してる場合は、特に自賠責保険の120万円の枠を気にせずに通院を受けてしまって問題ありません。