交通事故は加害者側からしてみれば、被害者に怪我があるかないかで大きく状況が変わってきます。

被害者に怪我がなく物損だけの場合は、事故扱いになっても刑事責任を問われず、民事として破損させてしまった物の弁償や、それに付随する費用を支払えば解決となります。

しかし、人身事故扱いとなった場合、加害者側は交通事故の違反者として免許の違反点数が加点されてしまいます。違反の点数は、被害者が完治まで要した期間によって変わってきます。

●人身事故による交通違反の加点点数

  • 治療期間3月以上の重傷 :13点
  • 治療期間30日以上3月未満の重傷:9点
  • 治療期間15日以上30日未満の軽傷:6点
  • 治療期間15日以上30日未満の軽傷:4点
  • 治療期間15日未満の軽傷:3点

交通事故の被害にあって、通院したら人身事故になるの?

被害者の立場であっても、加害者の運転者を不必要に交通違反の罰則を受けさせる事に対して、抵抗がある人も多いと思います。

明らかに怪我をしたり、身体で痛い部分があった場合は、抵抗なく人身事故にして通院を受けようと思いますが、ほとんど痛みはないけど、衝撃が大きかったので念の為通院しようと考えた時には、加害者の事を気にしてしまう人も多いです。

このように、念の為通院をした場合だけでは人身事故になりません。診察の結果、医師が交通事故が原因で怪我などの傷害を負った事を証明する診断書を書き、警察署へ人身事故の届出を出す事によって、はじめて人身事故扱いとなります

自賠責保険の場合は、原則人身事故の届出など正規手順を踏んでいないと保険金が支払われないケースもあります。自分の判断で診断書をもらったり、人身事故の届出を出すのではなく、保険会社と相談しながら、指示に従って行動を起こすと良いでしょう。

念のため通院して、事故による傷害がないと判断された場合の治療費については、相手の保険会社との交渉次第となりますが、大体のケースが保険会社が負担をしてくれる事が一般的です。

長期通院でも、人身事故にならない場合も

加害者側の都合で、免許の違反点数の都合で行政処分にしないように交渉してくるケースがあります。加害者が運送業者やタクシーなど、車を運転する事を目的としている場合は特に多いです。

この場合、車同士の事故など被害者側にも過失責任が問われる場合でも、加害者側の都合で、10割の過失を相手が認めてもらうなどの条件が提示される事があります。

過失割合とは、事故をおこした場合の事故の責任を決める事で、車同士の事故の場合、正面や側面の事故では被害者側にも1割以上の過失責任を追求されます。この部分を免除する変わりに、人身事故の届出は行わずに保険より治療日や慰謝料を負担してもらう事ができます。

このように、本来は過失があるのに加害者側の意向で10割の過失を負担してくれた場合は、規約を破って人身事故届出を出してしまうと、過失割合の見直しが行われ、被害者側が不利になるケースもあります。