追突など10割の過失が相手にある事故の場合、治療費や通院費、修理代で相手の保険会社から全額賠償してもらう権利があります。しかし、完全に被害者となる事故でも、保険金の支払いを巡って相手の保険会社とモメるケースがよくあります。
その理由は、保険会社は不必要な支払いを抑える事も仕事だからです。交通事故の加害者側の保険は、立場的に非常に弱く、被害者に対して誠意ある行動と対応をしなければいけません。しかし、それを逆手に取って、保険金の不正請求も非常に多いのが現状です。
この、被害者側の「事故にあったのだから、請求するものは全て支払ってもらって当たり前」という気持ちと、保険会社側の「必要なものは支払うが、不必要な支払いはできない」という考えの違いからトラブルがよく起こります。
トラブル事例が多いに事例を紹介します。
接骨院の通院許可
交通事故の被害者の症状で多いのがムチウチです。ムチウチとは車のフレームが歪むような大きな衝撃があった時に首などを痛める症状です。
車が大きく損傷する事故が理由でムチウチになって整骨院でマッサージの治療を受けるのは認められますが、車がコツンと当たっただけで、バンパーが若干傷ついた程度の事故の場合、ムチウチになったので通院したいと言った時に保険会社が簡単に認めてくれずにモメるケースがあります。
通院の早期打ち切り
上述の接骨院の通院許可の延長した話となりますが、交通事故で怪我などの傷害を負った場合には長い期間通院を繰り返す事で、通院した日数×2の計算により、日額4,200円前後の慰謝料を受け取る事ができます。
これにより、夜や土曜日も営業していて通院しやすいマッサージという特性から、通院がストレスになりにくい接骨院の通院を不必要に繰り返す人が多いです。
症状がある人なら良いのですが、中には完全に事故による身体の痛みが無くなっているにも関わらず、慰謝料とマッサージを目的に、まだ痛みが残っていると嘘を突き通して通院を続ける人がいます。
被害者や医師・接骨院の自己申告による、完治宣言を待っているだけでは、保険会社は半永久的に治療費と慰謝料を支払う事になってしまうので、事故の激しさや初期診断の内容に応じて、一定期間で通院など治療の早期打ち切りを宣告される場合があります。
こうしたケースでは、本当に完治していない人も一部含まれてしまうので、トラブルの原因になる事があります。
また、最近ではインターネットなどで情報が豊富になった事で、怪我の痛みはなくなっていても、他の人の事例を見て、似たような症状の人が長期通院を認められているのに、なんで自分はこんなに早く打ち止めにされるのか?とモメるケースもあります。
修理代の高額請求
追突事故の被害にあって、車が損傷した時は修理代を払ってもらう事ができます。
大事に乗っていた愛車に傷を付けられたら、綺麗に直してもらっても気がすまないという人も多く、完璧に修理してもらいたいと思うのは当たり前の事です。
しかし保険修理をいい事に、一般的な修理相場を超える修理代金を請求する人が多いのも現状です。中には、必要以上の修理代金を保険会社に請求して、現金や事故の損傷とは関係ない部分のカスタムで還元している悪徳業者も多数います。
こうした不必要に高額な修理代の不正請求を防ぐ為に保険会社が、一般的な修理相場を超える修理見積もりが出てきた時には、保険金を出し渋りトラブルに発展するケースがあります。
まとめ
保険会社は必要な保険金はしっかり払う意思はあります。しかし過剰な請求をする被害者が多いのが現状で、保険会社は保険金の支払いをシビアに考えていて、中には必要な保険金を払ってくれないというトラブルが頻繁に起こっています。
保険会社と双方がしっかり話し合いをして、必要の保険金は払ってもらうようにしっかり説明して理解してもらうようにしましょう。
自動車保険の賠償支払いは年々支払いが渋くなってきていると言われています。周りで、交通事故がきっかけで、多額の保険金をもらって潤ったという話を聞いても、鵜呑みにはせずに、本当に必要な保険金は何なのかを被害者側も考えて、交渉をする事が大切です。