ブルさん@元車ディーラブルさん@元車ディーラ

私は2014年9月に実家を売却して新しく中古でセミ2世帯住宅を購入しました。
当初は実家を建て替える方法も検討しましたが、土地が狭く建て替えるとセットバックのある問題もあって断念しました。
当時、建て替えや大規模リフォーム(新築そっくりリフォーム的なもの)も検討した経験を踏まえて、家を建て替える方法と手順について解説します。

家を建て替える全体の流れと建築会社の選び方


家を建て替える場合は、新しく建てる家の土地が決まっているので、まずは建築会社(ハウスメーカーや工務店)を決めて概算見積を出しましょう。

建て替える際は、建て替えの費用に加え、建て替え中の仮住まいを用意して引っ越しをする費用や、登録免許税、取得税、印紙代などの諸費用もかかるので注意しましょう。

古い家の場合は用途地域の変更などで現在建っている家と同じ大きさの家が建てられない場合や、3階建てなど希望している家を建築基準法の問題でできない場合もあります。

まずはハウスメーカーや工務店などに相談して、今住んでいる土地でどのような建て替えプランがあるのか確認しましょう。

建て替えにかかる期間

家を建て替える場合は仮住まいの費用もあり、なるべく短期間で建て替えたい希望を持っている方も多いでしょう。家を建て替える期間の目安は、解体を含めて3ヶ月〜6ヶ月です。

もし地盤改良や外溝工事をやり直す場合は、別途2週間から1ヶ月ほどの期間が必要になる場合もあります。建て替え期間は建物の大きさ、利用する施工会社の規模、建物の構造や工法、設備によって変わってきます。

■延床面積100m2の新築工事期間の目安

  • ハウスメーカーの木造プレハブ(2×4など):3ヶ月前後
  • ハウスメーカーの計量鉄骨プレハブ:3ヶ月前後
  • ハウスメーカーの木造の在来工法および鉄骨(ALCパネルなど):3〜4ヶ月
  • 工務店の木造:4〜5ヶ月
  • 設計事務所のデザイナーズ住宅(木造、鉄骨造):半年前後(内容によっては半年以上)

おおよそ、家の新築工事は早くて3ヶ月前後かかります。
ハウスメーカーは工務店よりも建築費用は高額ですが、納期が早くて提示された施工期間内より遅れることの少ないメリットがあります。工務店やこだわりのデザイナーズ住宅にすると工期の長引くリスクもあります。

また、上記はあくまでも工事期間に限定した話です。建て替え工事をする前にはプランの選定を行い、その後は建築確認申請とローン手続きを行います。建築確認申請は認可が降りるまで1ヶ月〜1ヶ月半ほどの時間がかかります。

建て替えにかかる建設費用はフルローンを利用することができず、解体費用、手付金、諸費用などを現金で払うように求められます。資金計画についても、建築会社や不動産会社と入念に打ち合わせしておきましょう。

建て替え費用の目安

建て替えにかかる費用の目安は以下の通りです。

解体費用

  • 木造:2〜3万円/坪
  • 鉄骨:3〜4万円/坪
  • 鉄筋コンクリート:4〜5万円

上記はあくまでも目安で、地域ごとに相場の違いもあり、業者によって単価も異なります。また隣の家との距離や、接道など作業にしやすさによっても変わってきます。30坪の木造住宅の場合、100万円前後が目安ですが、鉄筋コンクリートで60坪の家の解体になると、300万円以上かかることもあります。

建築費用

坪単価40万円〜100万円以上

建築費用は設備や施工会社によってピンキリです。
坪単価20万円〜30万円を明記しているローコスト住宅は室内の設備や地鎮祭費用など付帯費用を含めていないことが多いです。
安い木造住宅でも総額で見れば坪40万円前後になることが多いです。

外溝工事

建築費用の10%が目安で、既存の外溝をそのまま使用する場合は不要です。
古い家の建て替え工事では、外溝も新しく作り直す方が多いです。

地盤調査

  • スウェーデン式サウンディング試験:6〜7万円
  • ボーリング試験:20万円〜25万円

スウェーデン式サウンディング試験は、ドリルのような鉄を地面に刺して地盤強度を図る簡易的な調査方法で、木造や軽量鉄筋など軽い建物を建てる場合によく使用されます。ボーリング試験は大きな穴を掘る方法で重い建物を建てる場合に行います。

長年住んで地域の地盤の安定感に不安がなければ、地盤調査費用を省略しても問題ありません。

地盤改良工事

地盤改良の必要な場合のみ必要になります。
地盤の深さや強度によって費用は変わりますが、相場は30万円〜100万円です。

諸費用

登録免許税:固定資産税評価額の0.1%
住宅ローン初期費用:借入金額の1%〜1.5%(抵当権設定費用、保証料、印紙代など)

■印紙代
契約金額1,000万円以下
契約金額1,000万円超え5,000万円以下:10,000円
契約金額5,000万円超え1億円以下:30,000円

■取得税(平成30年3月31日までの軽減措置適用)
建物に関する取得税 = 固定資産税評価額 - 1,200万円(基礎控除) × 3% 

30坪の木造住宅建て替え費用の一例

解体費用:85万円
建築費用:1,800万円
外溝工事費用:180万円
地盤調査費用:7万円
登録免許税:1万8千円
住宅ローン初期費用:17万円(借入金1,200万円)
印紙代:1万円
取得税:18万円(1,800万円-1,200万円×3%)
合計:2,109万5千円

土地を分割して建て替える

広い土地で2筆以上に分割しても複数の居住用住宅を建てられ、接道義務もクリアできる場合は、分割して土地の一部を売って建て替え費用に補填する方法もあります。

私の知人も、分割しても十分な建物スペースを確保できて庭を手入れするのが面倒という理由で、土地を分割して建て替えを行っています。

分割した土地をそのまま不動産会社に買取してもらうと、売却資金をそのまま下取りの形で建て替え費用に回せるため、少ない資金で新築に建て替えることができます。

建て替えの場合は、今ある土地をそのまま使わずに分割して売ったり、隣の敷地の一部を買って広げる選択肢もあることを覚えておきましょう。

建築会社の選び方

施工会社は主に次の種類があります。

  • ハウスメーカー(対応地域の広い大手)
  • 工務店(地域密着の小規模業者)
  • 設計事務所(建築士によるデザイナーズ住宅など)
  • 分譲系ビルダー(大手不動産会社の建売も手がける、決められた造りの家の低価格施工が得意)

ハウスメーカーを検討している場合は、総合住宅展示場に足を運ぶとよいでしょう。実際のモデルハウスを見て気にった家を探したり、さまざまなハウスメーカーのモデルハウスをまわって、気に入った装備を組み合わせて注文住宅を建てることもできます。

工務店については業者ごとに品質やアフターサービスに差があります。口コミや評判を調べて安さだけではなく、信頼出来る工務店を探しましょう。複数の不動産会社にオススメの工務店情報や、気になった工務店の評判を聞き込みしてみてもよいでしょう。

同様に設計事務所や分譲系ビルダーも口コミ・評判をチェックして信頼出来るところを選びましょう。確実に良い家を建ててくれる安心感を重視して大手ハウスメーカーを選ぶ方も多いです。予算に応じて、複数の建築会社を比較して慎重に検討しましょう。

大規模リフォームの注意点

私は実家がセットバックの大きい問題もあり、建て替えではなく、柱だけを残して家を全面改良するスケルトンリフォームを検討して、実際に専門業者を呼んで現地調査と見積を出してもらいました。壁を全て壊すようなスケルトンリフォームになると建て替えるよりも高コストになります。

また、大規模リフォームの場合、新築同様の耐久性を確保したとしても新築扱いにはならないので、住宅ローンを利用できないデメリットがあります。リフォームローンだと安いものでも3%前後の金利になり、35年ローンにも対応できず最長で10年〜20年程の借入期間になります。

私は資金面のデメリットが大規模リフォームを諦める1番の要因になりました。また、築年数は家を建てたときのままなので不動産価値は低く、売却時に高く売れないデメリットもあります。

メリットとしては登記上の築年数は古いままなので、新築建て替えに比べて固定資産税は安くなります。

おわりに

私は家の建て替えを検討したときに、想像以上に費用やセットバックなどの問題が多くて断念しました。解体費用と建築費用以外にも掛かる費用がたくさんあり、仮住まいの問題なども考慮しましょう。おおよそ、計画から新しい家が完成して住み始めるまで1年前後の期間が必要です。

住んでいた家を売却して新しい家を買いなおす方法もありますが、長年住んだ土地にこだわりたい方や、先祖から受け継いだ家を売ることに抵抗を感じる方も多いでしょう。

新しい家の建築期間は最短で3ヶ月ほどでできますが、建て替えまでの時間にはゆとりを持って計画して、建築会社の決定やプランの選定など、それぞれ時間をかけて納得できる内容まで煮詰めながら進めていきましょう。