新築で一戸建てを買う場合は、建売と注文住宅の2種類があります。
費用やコストパフォーマンスで見れば建売の方がお得です。
注文住宅はオーダーメイドで好みの家にできるメリットがありますが、予算に余裕のない場合はあまりオススメできません。
建売と注文住宅のメリット・デメリットについてまとめました。
建売か注文住宅のどっちがお得?
金額のことだけを考えれば、注文住宅よりも建売の方がお得です。もし建売と全く同じ家を注文住宅で建てた場合、建売で買うよりも高くなります。建売住宅を建てる建築会社は、個人から注文住宅の依頼を受けるよりも安い費用で建てています。
また、近年では飯田産業をはじめ、パワービルダーと呼ばれる建売住宅を専門に扱う業者がシェアを伸ばしています。例えると、個人がハウスメーカーや工務店に直接注文住宅の依頼をするのは小売価格、専門業者が販売する建売住宅は卸売価格のような違いがあります。
お得感を重視したり、限られた予算で新築に住みたい場合は建売をオススメします。
建売のメリット・デメリット
■建売のメリット
- 建物や設備に対して販売価格が安い
- 完成済みであれば基本的に即入居可
- 販売業者や建築業者の豊富な経験によって考え抜かれた間取りや設備になっている
- 粗悪な建売住宅が減少している
■建売のデメリット
- 間取りを選べないので無駄な空間や部屋ができやすい
- 設備を自由に選べない
- 安い素材を使っていることが多い
- 家に個性がない
建売は価格相応な家が多いと思われる方もいますが、最近の建売は品質が高く、10年保証も付いているので安心して住めます。ネットやSNSの普及で、悪い評判が出るとすぐに拡散しますし、人気の設備や家を見るときのポイントなど、お客は正しい情報を手軽に調べられるようになりました。
建売はパワービルダーのシェア拡大で競争が激しく、お得感が高く顧客を満足させる設備を用意していないと売れない時代になっています。建売は完成してから成約することが多く、完成から半年や1年経過すると大幅に値下げしないと売れなくなります。
不動産会社や建築会社も早期売却の重要性を踏まえて、価格と設備の両方で満足できるスペックにまとめています。
パワービルダーとは
パワービルダーは2000年以降に普及した新しい不動産用語で、大手建売専門業者を意味します。有名どころでは飯田産業、東栄住宅、一(はじめ)建設などがあります。
建売を専門に扱う業者の中でも、床面積30坪程度の土地付き一戸建住宅を、2,000〜4,000万円程度の価格で1,000棟建てるなど、とにかく数で勝負している業者です。
中小規模の業者で年間数棟〜数十棟ほどのペースで新築建売住宅を建てている建築会社はビルダーと呼びます。パワービルダーは、売れ筋の価格帯の家を大量に建てることで、他社では真似のできないようなコストカットを行い、安く建売住宅を分譲しています。
特に首都圏の建売はパワービルダーのシェアが年々拡大しています。
建売のデメリットは選択肢の少なさ
建売はすでに完成されていたり、設計が決まっているため、お客側の要望を取り入れることは原則できません。理想にしている間取りと設備の建売を買いたいところですが、希望する立地と希望する建物の2つが完璧に揃った建売を見つけるのは難しいです。
建売を購入される方の大半は、何かを妥協していたり、本当はこういう建物だったら理想という本音を持っています。
たとえば、夫婦と子供の3人で住む家を探していたけど、希望エリアと予算にマッチする建売住宅の間取りが4LDKだったとします。部屋の多い分には、あっても困らないと思って購入した場合、リビング以外の4部屋は、夫婦の寝室、子ども部屋、荷物部屋にしたとしても一部屋余ってしまいます。
このように使い道のない部屋ができるのであれば、注文住宅で3LDKにしてリビングを広くしたり、上の階の1部屋のスペースを吹き抜け天井にした方が限られたスペースを有効活用できます。
注文住宅であれば、家族構成や生活環境、価値観に合わせて間取りを自由に決められるため、限られた土地のスペースを有効活用して、総合的に見て建売よりお得になる場合もあります。
注文住宅のメリット・デメリット
■注文住宅のメリット
- 限られた土地や建物のスペースの中で家族構成や生活スタイルに合わせて最適な間取りにオーダーメイドできる
- 風呂、キッチン、ロフト、床暖房など好きな設備を自由に組み合わせできる
- アイダ設計などローコスト住宅の普及で、コストパフォーマンスの高い注文住宅を手軽に建てられるようになった
- 建売よりもお洒落で高級感のある家を建てられる
- 自分だけのこだわりや遊び心を入れられる
■注文住宅のデメリット
- 建売についている最低限の設備を省いて後から後悔することもある
- 低予算で設備をカットしていくと、建売よりも安っぽくなることもある
- 基本的には建売よりもコストパフォーマンスが低く割高
- 設計を決めてから着工になるので購入してから完成するまで3ヶ月〜1年ほどの時間がかかる
最近ではローコスト住宅で注文住宅を建てる人が増えています。坪単価30万円〜40万円の低価格で品質の高い家を建てられることもありますが、ローコスト住宅を利用したとしてもパワービルダー系などの建売に比べると割高です。
注文住宅のメリットは、お得感ではなく満足度にあります。大手ハウスメーカーを利用すれば全体的な品質と家の性能が高いです。冬や夏でも家の中を快適にしたければ、断熱材を増やしたり良い素材を使うことで建売よりも冷暖房費用のかからない家にできます。
車を複数台所有している場合は、駐車場の台数を重視にした設計にすることで、月極駐車場を借りる費用を節約できます。注文住宅では、建売や中古住宅の購入では発生する可能性のある無駄を省くことでお得感を出せます。
注文住宅は予算に余裕がないと難しい
私の親戚で土地を購入して注文住宅を建てた人がいましたが、使い勝手の悪い間取りにしてしまい、凄い不評だった方がいます。建てた人の親も「本人には可愛そうで言えないけど、あの家はちょっと・・・」と言ってました。
このような事態が起きてしまったかというと、利便性の高い家を建てるのは意外と難しいからです。特に、一軒家に一度も住んだことのない人や、自分が世帯主になって住んだ家の数が少ない若いファミリーは、注文住宅で失敗することが多いです。
私がその方の注文住宅を見て思った印象は、素人がイチから全てを細かく注文して家を建てるのはリスクが高いと感じました。
注文住宅を建てるなら、信頼出来る設計士やハウスメーカーを利用して、ある程度はおまかせで価値観や家族構成にあった提案をしてもらい、予算の都合で大きな変更をすることを避けると失敗する確率が下がります。
注文住宅は全てを自分の希望通りにすれば、必ず住みやすくて素敵な家になるとは限らないことを覚えておきましょう。建売の場合は、万人受けする流行で需要の高い装備を取り入れているので、住んでから後悔する方は少なく、コスパが高いので限られた予算でも装備が充実している家に住めます。
おわりに
お得感で言えば建売をオススメします。
今回の記事では注文住宅の失敗例を挙げましたが、素敵で住みやすい注文住宅を建てている方もたくさんいます。
注文住宅を建てるときは、親や周囲で家を買った人の意見をたくさん聞いて、慎重に設計を進めていくとよいでしょう。
建売は内覧してイメージした環境から、実際に住んでみてイメージと違ったと後悔するケースが少ないので無難な選択です。
失敗したり後悔するリスクが少ないことを考慮しても建売の方がお得です。
しかし、注文住宅は建売では出せないオリジナリティを出せます。この先長く住む憧れのマイホームをオーダーメイドで造るのはとても素敵なことです。
予算はかかりますが、注文住宅もオススメで私も憧れています。