ブルさん@元車ディーラブルさん@元車ディーラ

家を買うときの頭金は、たくさんあった方が有利です。頭金が多ければ、買える家のグレードが上がったり、ローン元金や期間を短縮すれば利息を少なくできるほか、住宅ローンの優遇を含めて利用できるローン商品が増えるメリットもあります。

しかし、頭金が無くても早い段階で家を買ってしまうメリットはあります。ローンを組んで家を買えば、住みながらローン元金を減らすことができます。

頭金をいくら用意してから家を買うかは難しい問題でもありますが、全体の傾向や頭金を増やすメリットについてまとめました。

頭金はどれくらい用意する?


頭金の工面よりも、ローンを組んだときの返済額を見て無理のない生活ができるかが重要です。つまり、頭金よりもローン元金や返済計画を重視して家の購入を検討しましょう。

家を買うときのポイントは以下の通りです。

  • 頭金なしでも希望条件の家を無理なく買える → 頭金なしでもローンに通ればOK
  • 希望する条件の家だとローン返済額を含めて予算オーバーしていて、家の条件で妥協もしたくない → 購入時期を見送って頭金を増やす

ほとんどの人は、理想の条件を叶えると予算オーバーになり、予算に応じて妥協できる家を購入しています。購入時期を遅らせる場合、家を買わずに今の生活を続けることで、貯金をどれだけ増やせるかも大切です。

家を買ってしまえば、月々の返済で元金が減っていくので、住む家に同じ金額を払うなら賃貸より持ち家の方が有利です。1〜2年待って数百万円単位で頭金を増やせるのであれば、少し待った方が買える家の選択肢を増やせます。

また、頭金が多いとローン審査が有利になるメリットもあります。頭金を用意できない場合は、まずは一度ローンの仮審査を受けてみて、今すぐに家を買えるのかを確認しておきましょう。

理想は購入物件の1割以上の頭金

住宅ローンには固定金利と変動金利があります。固定金利の場合は、住宅金融支援機構のサポートを受けられるフラット35が人気です。フラット35の場合、融資率(住宅代金に対してのローン元金)9割以下と9割超えで金利が異なります。

■フラット35の金利(2017年12月融資実行金利、借入期間21年以上)

  • 融資率9割以下:1.34%
  • 融資率9割超え:1.78%

融資率による金利の差額も融資実行月によって変動しますが、2017年12月の金利を見ると0.44%の差があります。この金利差はかなり大きな数字で、フラット35を利用するなら、頭金を1割以上入れて融資率9割以下にすることをオススメします。

■ローン元金2,500万円でフラット35(返済期間35年ボーナス払いなし)を利用した場合の返済額

  • 1.34%:月々の返済額74,601円、総返済額31,332,616円
  • 1.78%:月々の返済額80,021円、総返済額33,608,586円

繰り上げ返済しない場合、35年で総返済額220万円以上の差額が出ます。

変動金利の場合は、融資率を問わず金利は一律設定になっていることが多いです。頭金なしのフルローンを利用する方が増えている背景には、変動金利を選ぶ方が増えていることも関係しています。

家のローンの組み方の基本:私の体験談も交えて

ただし、変動金利は固定金利よりも審査が厳しく、頭金の有無で審査の通りやすさも変わってきます。

■変動金利の頭金なしで審査に通る事例

  • 収入に対しての返済額の負担が少ない
  • 公務員や大企業勤務など勤務先の信頼性が高い

ローンと年収の関係はコチラのページをご覧ください

家を買うときに知っておきたい年収とローンの関係

頭金なしでも、まずは変動金利の商品で住宅ローン審査を受けてみる価値はあります。もし審査に落ちてしまった場合は固定金利を利用するか、頭金を用意してから再度審査を受けるとよいでしょう。

また、家を買うときは頭金のほかに、諸費用や引っ越しなどの付随費用、手元に残しておく貯金も必要です。諸費用のおおよその目安は住宅価格の1割なので、頭金と諸費用合わせて最低でも住宅価格2割相当の貯金が必要です。

収入に対しての借入額が少ない場合や、勤務先の信頼性が高ければ、諸費用や付随費用もローンに含めて頭金一切なしで家を買うこともできます。

家を買うときに貯金はいくら必要?保障、収入、生活費を考慮して決める

頭金が多いとローンの選択肢も増える

住宅ローンは金融機関ごとに様々な商品を用意しています。2017年住宅ローンランキングにて、ランキングサイトやメディアより軒並み高い評価を受けている「ARUHIのスーパーフラット8」という商品があります。

■ARHIスーパーフラット8の概要
https://www.aruhi-corp.co.jp/product/super_flat/
金利タイプ:固定
借入期間:15年〜35年
金利:当初10年間0.71%、11年目以降0.96%(2017年12月融資実行金利)
融資比率:住宅購入価格の8割以下
返済負担率:年収400万円未満30%以内、年収400万円以上35%以内

このほか、返済負担率20%以内、融資比率9割以下で利用できるスーパーフラット9という商品もあります。当初10年0.7%ほどの金利は変動金利と比べても同等水準ですし、11年目以降も1%以下の金利で固定されるのは破格の条件だと評価できます。

ARUHIスーパーフラット8はあくまでも一例ですが、頭金の用意が多いほど好条件の商品を含めて住宅ローンの選択肢は広くなります。

貯金(頭金)の増えるペースとローン元金の減るペースを比較する

頭金は無いよりあったほうがいいですが、ローン審査に問題がなければ、なるべく早くローンを組んで家を買った方が、ローン元金が減っていくのでお得です。最近では35年ローンを組むことが一般的で、当初の完済予定時期は60歳以上に設定することも当たり前になっています。

しかし、ほとんどの方は繰り上げ返済や退職金などで、60歳前後を目安にローンを完済しています。つまり、頭金を用意するために購入時期を遅らせると、結果的に将来の負担が大きくなります。

家を購入する時期は、家を購入する時期を遅らせることで増える貯金のペースと、すぐに家を買った場合に減っていく元金のペースを比較して検討しましょう。

■ローン元金2,500万円でフラット35(返済期間35年ボーナス払いなし)を利用した場合の返済額
1.34%:月々の返済額74,601円、総返済額31,332,616円
1.78%:月々の返済額80,021円、総返済額33,608,586円
金利1.78%でローンを組んだ場合に1年で減る元金:約61万5千円(年間支払額約96万円から年間利息44万5千円を差し引く)

上記の例の場合、年間50万円しか貯金ができないのであれば、仮に固定金利で1.78%適用になったとしても、すぐに家を買った方がお得です。家を購入する時期を見送ることで賃貸住宅の家賃が必要であれば、年間100万円や150万円の貯金ができても、すぐに家を買うべきです。

家を買うまでは実家で家賃負担なしで住める場合や、年間150万円超えのペースで貯金をして、1〜2年待てば金利の優遇や買える家の選択肢を広げられる場合は、購入時期を見送って頭金を貯めたほうがよいでしょう。

ローン審査や価値観、希望する物件の価格など人それぞれ状況によって、頭金を踏まえた最適な購入時期は異なります。賃貸の家賃は将来的に何も財産が残らないので、お得感だけで判断すれば頭金のない状況でも早く家を買うべきです。

注文住宅を買う場合の頭金

土地を買って注文住宅を建てる場合や建て替えをするときは、住宅ローンの関係だけではなく、建築会社に支払う着手金、中間金の問題も出てきます。建築会社は住宅ローンの融資実行日前に着手金の支払いを求めるケースが多く、着手金の相場は建築価格の3分の1です。

さらに、着手金とは別に中間金として3分の1ほどの支払いを求められることもあります。つまり、建物代金の3分の2相当の頭金を用意しておくと、ほぼ全ての建築会社で家を建てることができます。建て替えの場合は解体費用(建坪25坪で100万円が相場)の用意も必要です。

ただし、着手金を支払うタイミングやルールは建築会社ごとで異なり、工務店では頭金なしで注文住宅を建てられるプランを用意していることもあります。全体的に大手ハウスメーカーは着手金と中間金が必要、小規模の工務店になると融通のきいたプランに応じてもらいやすいです。

注文住宅の場合は、建売や中古住宅を買うより頭金が必要になるケースが多いことを覚えておきましょう。頭金なしでも建築会社次第では注文住宅を建てられますが、建売に比べて注文住宅は割高です。

頭金の用意ができない状況であれば、建て替えや相続による贈与など土地の用意がある場合を除いて、注文住宅の購入はオススメできません。

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■注文住宅を買う場合の頭金、諸費用の一例
土地代金2,500万円、建物代金1,500円の場合
諸費用:250万円
着手金:500万円
中間金:500万円
頭金(初期費用)合計:1,250万円
ローン元金:3,000万円

おわりに

家を買うときに必要な頭金は年々減少していて、現在では頭金なしで家を買うことは当たり前になりました。昔は家を買うときは建売や中古でも住宅購入価格の2〜3割は必要と言われていて、一昔前は住宅購入価格の1割が目安にされていました。

最近では、住宅購入価格のフルローンはもちろん、登記費用、仲介手数料、引っ越し費用、家具、家電購入費用まで含めたオーバーローンに対応する住宅ローンも登場しています。
つまり、ローン審査さえ通過すれば、頭金一切なしで家を買って、引越し業者を使ったり家具・家電を新調して、快適な暮らしをスタートさせることも可能です。

家を買えばローン返済によって資産形成もできるので、家の購入時期は少しでも早い方がお得です。しかし、頭金を用意する目標を立てて、それを達成できる計画性と実行力を持っている人は家を買って失敗するリスクは少ないです。

また、貯金なしで住宅ローンを組む人の中には、変動金利は審査に落ちるけど固定金利なら利用できる状況も多数あります。フラット35をはじめ、固定金利になると頭金の有無(融資率)に応じて金利などの条件が変わることも覚えておきましょう。

変動金利で頭金の有無によって条件が変わらない場合は、貯金を残してローンを組む方法もオススメです。貯金を頭金にまわすかどうかは、将来設計や価値観を含めて慎重に検討してください。

貯金はたくさん持っている中で頭金をいくらにするか迷っている場合は、不動産会社、金融機関、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。