
家を買うためには、相応の貯金を作っておく必要があります。
最近では変動金利ローンの需要拡大で、頭金0円で住宅ローンを組む方が増えています。
家を買う時に必要な費用は、ローンの頭金、諸費用、その他の費用(引っ越しや家具家電購入など)があります。
このページでは家を買う諸費費用のほかに、家を買った直後に貯金を手元にどれだけ残しておくべきかを詳しく紹介しています。
家を買う時に必要な貯金
家を買う時に必要な貯金は、以下のことを踏まえて決めます。
- 購入時の諸費用
- 頭金
- 付随費用(引越し費用・家具家電購入費用)
- 家を買った後に手元に残す貯金
購入時の諸費用は、不動産物件購入価格のおよそ10%です。3,000万円の家であれば、300万円見ておくとよいでしょう。
家を買うときにかかる費用〜購入者の明細書を見ながら節約術も解説〜
頭金についてはローン計画や、購入する家が注文住宅なのかで変わってきます。頭金なしでフルローンを組む方も多いですが、注文住宅の場合、建築費用の手付金を求められるため、最低限必要な頭金も高くなります。
引越しや家具、家電購入の付随費用は、人によって必要な金額は異なります。事前にしっかりシュミレーションをして、少し高めに見積しておくとよいでしょう。
諸費用を含めてローンを組んで、引越し業者を利用しなければ一切貯金なしで家を買うこともできますが、ローン審査や条件などの問題もあり、最低限は諸費用+付随費用の貯金はあったほうがよいです。
諸費用や引越し費用も含めてオーバーローンを組める銀行もありますが、一切貯金がないのであれば家の購入時期を見送って相応の貯金を用意してから決めるべきです。
ローン返済できなくなるリスクが少なければ貯金なしでもOK
貯金はたくさんあった方が安心ですし、理想を言えば数年は貯金だけでも生活できる蓄えを持っておくことです。しかし、理想を追求すると家の購入には相応の貯金が必要ですし、35年ローンを組んで完済予定時期を早く設定するためにも、早いタイミングで家を買うことも重要です。
住宅ローンを組んで家を買う場合、ローン返済の滞るリスクをなくすことが重要です。ローン返済が滞ってしまうと、最終的に金融機関に家を差し押さえられて競売にかけられる流れになります。
競売にかけられると、仲介や買取で売るよりも安くなりますし、ローンの返済遅延履歴が残ると、ローンや保障(クレジットカードを作る、賃貸住宅を契約するなど)の審査も不利になります。
つまり、家を買う時の貯金については、ローン返済を滞らせないために以下のポイントを抑えましょう。
- 病気で働けなくなった時の補償を確保しておく
- 収入が下がった時でも生活費をカバーできるか踏まえて貯金を残しておく
- 短期的に大きなお金が必要になるリスクを考える
将来起こりうる様々なリスクを想定して、トラブル対処法を事前に想定しておきましょう。ローン返済のほか、食費、光熱費、子供の学費などの生活費も踏まえて、リスク回避の方法を明確にする必要があります。
病気で働けなくなった時の補償を確保しておく
住宅ローンを組んでマイホームを購入するのであれば、病気で働けなくなった時の補償が重要です。一般的には生命保険や医療保険にしっかり加入して、病気で働けなくなった時の生活費をカバーできる状況を作っておきましょう。
公務員であれば、休業補償もしっかりしていますし、仕事を長期間休んでも解雇される心配は少ないため、保険は最低限の内容でも対処できます。大企業勤務の場合は補償はしっかりしていますが、将来的な会社の安定性も踏まえて考えないといけません。
近年の経済動向を見ると、日本を代表する産業でもあった電化製品の一流メーカーはSONY、SHARP、東芝などのトップ企業も業績不振のところが多く、人員削減に取り組んでいるケースも目立ちます。2007年のリーマンショックの時も日本を代表するトヨタをはじめ、大企業でも人員削減や賃金の減額をするケースが多数ありました。
今は安泰だと言われている大企業でも20年後、30年後の遠い将来に今と同じ保障があるとは限りません。民間企業勤務の場合は保険にしっかり加入しておくことをオススメします。病気や怪我で働けなくなっても、保険や勤務先の保障で最低限の生活費を確保できれば、貯金の必要性は低くなります。
ローン返済できなくなる大半は収入減が理由
転職や、出産を伴う妻の収入減など、世帯収入が減った時に今の生活を維持できるかが重要です。転職や収入減に対しての貯金については、仮に転職して収入が大幅に下がった時でも、ローン返済と生活費の捻出を続けられるかがポイントです。
もし、収入減を理由にローン返済が難しくなれば、退職金や貯金で大幅な繰り上げ返済できる場合を除いて、家を売却して住む家のグレードを落とさないといけません。
収入減を理由に家を売る可能性があるなら、仲介や買取などの売却準備にかかる期間として、1年くらいは貯金だけでも最低限の生活を維持できる環境が望ましいです。
私は2,150万円を35年ローンで組んで月々の支払いは6万円ほどです。家を買った当時も高収入だったワケではないですが、家を買う踏ん切りをつけられた理由のひとつは、月6万円くらいのローン返済であれば、どうにでもなると感じたからです。
今現在は夫婦共働きなので生活に多少のゆとりはありますが、仮に妻が仕事をやめて、私も今の仕事を失い転職したとしても、月6万円のローン返済+生活費くらいであれば、どんな仕事でも確保できると思っています。
家のローン購入は、現在の収入が高くてローンも高額な人ほどリスクが高いです。たとえば5,000万円クラスの家になると、平均的な収入では購入することは難しく、フルローンにすると月々の支払いは15万円ほどになります。
将来的に万が一、転職をして年収350万円前後の平均的な収入になった場合、ほとんどの人は月々の返済負担は難しくなって、家を売却して生活環境を見直さないといけません。
つまり、収入を大きく減らす状況になった時に、今の家に住み続けられるのか、売却して引っ越しをする必要があるのかで必要な貯金額は変わります。
突発的な出費リスクを考える
突発的な出費は主に以下のことがあります。
- 家に関する設備の故障や不具合によるリフォーム費用
- 子供の進学に伴う学費、入学金、教材費用など
- 家具、家電、自動車の故障に伴う買い替え費用など
家のリフォーム費用は、新築と中古住宅でリスクが変わりますし、中古住宅でも仲介会社のサービスや瑕疵保険で長期保証が付いてくる場合や、一切保証のない売買契約もあります。
また、子供のための出費については、子供の有無や年齢によって変わりますし、お金のかかる時期はおおよその予測はできます。
つまり、突発的な出費リスクは、購入する家と家族構成で変わります。突発的な出費リスクが少ない場合でも、家具、家電の故障など数十万円単位のお金が出て行くことは人生の中で頻繁にあります。
マイホームを購入して一家の大黒柱として生活するのであれば、最低限100万円ほどの貯金を持っておくべきです。
突発的に起こる可能性のある出費リスクはどのような物があり、いくらくらいの出費が必要になるのか考えてみましょう。貯金がないときの資金調達方法も踏まえて、いくらの貯金があれば、問題の対処ができて生活費の工面やローン返済に影響が出ないのかを考えておきましょう。
おわりに
家を買うための貯金額に明確な答えはありませんが、自分の状況や買いたい家のプラン、将来起こりうるリスクを考えていけば適切な貯金がいくらなのか見えてきます。
私は家を買うときに相応の貯金を頭金に回しましたが、初めて家を買うことと、将来子供ができて生活費が高くなる不安もあって、妻の貯金の大部分を残しておきました。
しかし、月々の支払い額の安いローンにしたこともあって、今思えば妻の貯金をもう少し頭金に入れてしまってもよかったと思っています。
家を買ってから子供もできましたが、将来の学費については児童手当で貯金しておけば相応の金額を確保できる見込みですし、賃貸からマイホームに変わっても光熱費はそれほど増えませんでした。
ただし、貯金も残して無理のない返済計画にしておいて正解だったと思います。私の価値観ですが、生活に対して金銭的不安のリスクを少ない環境を作ることも大切です。無理して貯金も全額使って生活費ギリギリの良い家に住んでも、お金に余裕を持てないとストレスを感じます。
つまり、快適で幸せな生活は良い家に住むだけではなく、生活費の圧迫する状況を作らないことも必要です。
私の体験談としては、実際にローンを組んで家を買ってみると、休日に家で過ごす時間も増えますし、浪費が減るなど考え方も変わってきます。家を買うときは誰でも不安を持っているものですが、買ってしまえば意外となんとかなるし、ローン返済しながらでも思っている以上に貯金もできました。
収入や貯金とローン返済、生活費の工面の絶妙なバランスは難しいですが、金銭的な問題の発生したときの対処法を事前に考えておけば、貯金は少なくても問題ありません。つまり、貯金は多ければいいとは限らず、金銭的な問題が出たときに適切な対処や対策を取れるかも重要です。