
家の売却相場を調べるには、国土交通省 土地総合情報システムの閲覧がもっともオススメです。しかし、日本では不動産取引価格の情報量が少なく、参考程度にしかならないのが現状です。
私は直近2年で中古住宅を購入し、実家を売却した経験があります。しかし、どちらも国土交通省 土地総合情報システムに取引価格の登録がされていませんでした。
家を売るときの売却価格は、需要や市場動向、近隣の売り物件情報を参考にして想定売却価格を算出するしかありません。
家の売却相場を調べる方法
家の売却相場を調べるには以下の方法があります。
1.取引事例比較法
:類似する物件の取引事例から価格を出す方法
2.収益還元法
:賃貸に出した時に得られる収入(賃料)と利回りから価格を出す方法
3.原価法(積算法)
:建物の建設費と耐用年数などから現在の価値を算出する方法
居住用の家やマンションは主に「取引事例比較法」が使われます。「収益還元法」は主に都心のワンルームマンションやアパート1棟など、投資用物件の売却相場算出に活用します。「原価法」については建物の価値しか算出できないため、注文住宅やデザイナーズ物件など建物の価値が高く、比較する物件情報がないケースに取引事例比較法と併せて使われることが多いです。
つまり、家の売却相場は、近隣の類似物件の取引価格を参考にすることが最も効果的です。
なお、土地の相場には、路線価、地価公示価格、固定資産税評価額などの指標もありますが、家を売るときの査定や売り出し価格の算出に使われることはほとんどありません。
不動産取引価格の調べ方
不動産業者は、業者しか利用できない「レインズ」という情報共有サービスを活用して不動産取引情報を調べています。レインズは国土交通省が健全な不動産取引を目的に行っている業者専用のネットサービスです。
個人の方でも過去の取引価格情報の閲覧はできますが、会員ページ(業者が見ているページ)とはフォーマットが違い、検索条件の絞込みがしづらく、表示される情報も見づらくて分かりにくいです。
個人の方が独自に不動産取引価格を調べる場合は、レインズと同じ国土交通省が運営している「国土交通省 土地総合情報システム」の利用がオススメです。
■個人でも閲覧可能な不動産取引価格検索ツール
・レインズ
https://system.reins.jp/
・国土交通省 土地総合情報システム Land General Information System
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
・土地ドットコム
https://www.tochi-d.com/
成約価格を登録しないケースが多数ある
不動産取引価格は、仲介を行った不動産会社がレインズに成約価格を登録することで、不動産業者や個人にも情報共有を行い適正価格を明確にするものです。しかし、仲介や直売で成約してもレインズに登録しないケースが多数あるのが現状です。
ルール上は、専任媒介と専属専任媒介で成約した物件はレインズへの成約価格の登録が義務付けられています。なお一般媒介に関しては成約価格の登録は任意です。
しかし、専任・専属専任媒介でも成約価格を登録しない業者も多く、国土交通省が定めたルールに違反する形ですが、ほとんど取り締まりを行っていなく、大手であってもルール違反を繰り返しているところが多数あります。
私が購入した中古住宅も、大手不動産会社の専任物件でしたが、レインズや土地総合情報システムを見ても、私が購入した物件情報は登録されていませんでした。
日本はアメリカなどほかの先進国に比べて、不動産取引価格の明瞭化が遅れていて、不動産売買に携わった顧客や不動産業者しか知らない取引情報が多数あります。土地総合情報システムをチェックすることは大切ですが、すべての不動産取引価格が繁栄されているわけではないことを認識しておきましょう。
不動産業者がレインズに成約価格を登録しないのは手間が面倒、ほかの業者に取引価格を知られたくないといった理由があるようです。
家の売却相場を調べるには、売り物件情報の閲覧と不動産業者への聞き込みをする
家を売るときに重要なのが競合物件の調査です。近隣で売りに出ている物件情報を、アットホームやHOME’S、スーモなどの不動産情報サイトや、レインズに近い情報を閲覧できる不動産ジャパンを活用して調べてみましょう。
競合物件の多さと、ライバル物件の売り出し価格を見ていけば、自然と自分の家の想定売却相場も見えてきます。ただし、売り出し価格は売り主が任意で決められるため、相場よりも大幅に高い価格に設定しているケースもあります。
空家でリフォームの必要性が少ないなど、早期売却を目指している物件を選別して、適正相場にしている物件から相場を求めましょう。戸建ての場合は、中古住宅だけではなく土地や新築物件の価格情報もチェックしておくと、近隣エリアの動向や相場が分かりやすくなります。
売り出し価格から実際の成約価格は値引きが行われるケースが多いです。成約価格の相場は売り出し価格よりも100万円〜300万円ほど安くなります。(平均値引きはおおよそ5%〜10%)
また、売却相場を知るには不動産業者に聞くことも大切です。不動産屋はレインズの会員になっていますし、レインズには登録しなかった取引価格情報や独自調査の情報を持っているものです。
ちなみに私が実家を売却したときも、話はしたけど縁がなかった不動産会社からも、「ほかで売れたのであればいくらで売ったのか教えて欲しい」と聞き込みを数件されました。
実際に家の情報を伝えて訪問査定や机上査定を受けてみれば、具体的な査定価格の提示をしてもらえますが、相場を知りたいのであれば、このエリアの土地の坪単価やマンションの平米単価はどのくらいか聞いてみてもよいでしょう。
不動産業者ごとに、持っている情報や分析結果が異なるので1社だけの相場情報だけではなく、複数の業者から相場情報を聞き比べてみるとよいでしょう。査定を受けるときも、総額を聞くだけではなく土地と建物でそれぞれいくらの計算になったか、内訳を確認することが大切です。
おわりに
家を売るときは、以下の3つの確認作業をしましょう。
・物件情報サイトなどを活用し、近隣の売り物件の件数や売り出し価格をチェックする
・国土交通省 土地総合情報システムで取引価格情報をチェックする
・複数の不動産屋から査定もしくは土地の坪単価の相場を聞き込みする
概算相場であれば、上記の3点を実践すれば信ぴょう性の高い相場情報が見えてきます。
しかし、実際の売り出し価格や適正価格は、家やマンションならでの立地や室内、建物などを状態に併せて相場から加減点して算出する必要があります。
原価法のように細かい計算をするのは難しいので、売り出し中のライバル物件や成約済み物件と比べて、売ろうとしている物件とどちらが魅力的なのか考えていくとよいでしょう。