中古住宅は売りに出すとすぐに売れる家や、高値で売れやすい家と、相場より安くてもなかなか売れない家があります。
家が希望価格で売れるかはタイミングの要素もありますが、売れる家、売れない家にはそれぞれ共通点があります。
買い手から見て自分の家は中古住宅として魅力を感じられるのか、客観的な視線で分析してみるとよいでしょう。
売れる家、売れない家の条件の違い
売れる家、売れない家の条件はそれぞれ次のとおりです。
■売れる家の条件
・人気エリアで競合(ライバル)物件がない
・周辺の住環境が良い
・室内が綺麗で間取りや設備が流行にあったもの
・大手ハウスメーカーの物件
・築年数が浅い
・外観が綺麗でおしゃれ
・売れない家の条件に何も該当しない
■売れない家の条件
・近隣で価格面や設備か魅力的な物件が多数売りに出ている
・立地が悪く、そもそも家を買おうとする人の需要が少ない
・古い家でセットバックや再建築不可など、将来建て替えるときに問題が生じる
・リフォームの必要性が高い
・居住中の物件
・特定の不人気物件の条件がある
特定の不人気物件の条件とは、家の中で人が死んだなどの事故物件や、家の裏に墓地があるなど立地に大きな問題がある家などがあります。売れない家の条件でインパクトが強いことがあると、どれだけ売れる家の条件を満たしていても相場より大幅に安くしないと売れません。
売れる家、売れない家の条件と、家を売るときのポイントをそれぞれ詳しく解説します。
家が売れやすい人気エリアとは?
家が売れやすい人気エリアは、最寄駅の人気の高さと駅からの距離がポイントです。戸建ての場合、駅から徒歩15分以内が人気物件の条件です。さらに駅まで平坦で、駅周辺は栄えているのに家の近くは平穏な住宅街で公園も多ければ、より高い需要を期待できます。
駅まで近ければいいわけではなく、最寄り駅周辺の繁栄度合いや都心へのアクセスの良さもポイントです。都心まで電車に乗ってから乗り換えなし、1時間以内で行けるような駅は人気が高く、徒歩20分圏内でも人気は衰えません。
しかし、駅からどれだけ近くても、郊外で駅周辺に商業施設が少なく、電車の本数や主要なターミナル駅にいくのに、何度も乗り換えるような場所は人気が出にくいです。最寄り駅周辺に行けば、なんでも揃うような便利な場所で、都心へのアクセスも良いエリアは人気が高く駅周辺はマンションが多いです。
好立地で近隣に中古の一戸建ての売り物件が滅多に出ないようなところでは、相場より高い値段で売りに出しても高値で売れます。人気エリアであっても、売り出し中の中古物件が多数ある場合は、立地や建物に人気条件が揃っている物件や、割安感のある物件から先に売れていきます。
人気エリアだけど、ライバルが多いと感じた場合は、売る時期をずらして、近隣の売り物件が少ないタイミングまで待つと売れやすくなります。
近隣で売り物件がないエリアでも、郊外で立地や周辺の住環境が悪いなど、そのエリアで家を探している人の需要そのものが少なければ買い手がみつかりにくいです。
中古住宅を購入する人は新築とも比較検討している
一戸建てはマンションに比べて新築の供給量が多く、中古住宅の購入を検討している方も新築と比較する方が多いです。新築の建築費は20年前に比べて大幅に安くなっていて、土地面積20坪〜30坪ほどの建売住宅であれば、建築費の相場は1,000万円ほどです。
売れやすい中古住宅は新築に比べて割安に感じられることですが、建売の建築費が下がったことで、築年数が古く建て替え時期が近い中古住宅は売りにくくなりました。
たとえば、建物の評価額が限りなく0円に近い中古住宅で坪数25坪、坪単価100万円だった場合、土地代のみの2,500万円が適正価格です。
近隣で坪数が同じ25坪で3,500万円の新築建売住宅が売りに出ていた場合、近い将来解体して建て替えすることを考えると、解体費用や仮住まい費用を考慮して、無理してでも3,500万円の新築を買った方がメリットを感じられます。
同じ坪単価100万円の近隣エリアで、築5年の中古住宅が3,000万円で売りに出ていた場合、設備や耐久性が新築と大差がないため、500万円安いのであれば新築よりも築浅の中古を買おうとする人が現れやすいです。
つまり、築浅でこの先も長く住める家の方が古くて安い中古住宅より売れやすく、近隣の新築物件の有無や価格によって中古住宅の売りやすさが変わってきます。
大手ハウスメーカーはプレミア価値が発生することもある
有名な大手ハウスメーカーは建物の耐久性が高く、建物にブランド力があります。
私が中古住宅を購入したときに、築年数が古いけど好立地で気になる中古住宅を見つけて問い合わせしました。予算オーバーではありましたが、軽量鉄筋の家なのでこの先も長く住めると思っていました。問い合わせをした不動産会社からは次のように回答がありました。
「この家は、お風呂やトイレが古くてリフォーム費用を考慮すると、今の価格設定は割高なんですよ。積水ハウスが建てた家で、この手の家は大体、積水ハウス信者のような方が買っていきます。積水ハウスに強いこだわりがなければ、ほかの家を買った方がいいですよ。」
物件情報では風呂やトイレの写真がなかったため、たしかに300万円近いリフォーム費用をかけるなら割高だと思いました。ただ、もし大手ハウスメーカーの家を買ったのであれば、購入したときに周囲への自慢材料になっていたと思います。
最終的に私が買った家も、(今はなくなってしまいましたが)野村ホームが建てた家で、建物の信頼性があったことが決め手のひとつになりました。逆に価格が割安でまだまだ使えそうな家であっても、低価格を売りにしているハウスメーカーが建てた家は買いにくく感じていました。
外観の重要性
ターゲットに合った家家を買う人は、20代〜30代の若いファミリー層と、子供が自立したり仕事を定年退職した50代、60代以降の年齢の2極化しています。
若いファミリー層は35年ローンを組む方が多く、近年では親と同居しない核家族が主流です。
50代、60代で家を買う人は、親からの相続でお金が入ったり、転勤族で賃貸しか住めなかったけど、引退してようやくマイホームを持てるようになったなど、現金一括で買う方が多いです。
まずは家の間取りやエリアから、どちらの世代の購入希望者が多いのかを考えましょう。
若いファミリー世代の場合、玄関まで階段を登るような立地の家でも、大きなマイナス要因にはならず、地下に屋根付き駐車場があればプラス評価になる場合もあります。若いファミリー世代はカウンターキッチンやロフト付きなど流行の装備も人気です。
2LDKの間取りなど、小さいお子さんがいない50代以上の世代の方が家を買う場合は、カウンターキッチンやロフトは重要ではなく、また全室フローリングよりも寝室は和室を求める方も多いです。将来の年齢の衰えを気にして、玄関が階段の上にあるような立地の家は敬遠され、バリアーフリー住宅は評価が高くなります。
自分の住んでいる家や間取りだと、どんな世代の人が買おうとするのかを考え、ターゲットにあった需要から売れやすい家なのか、売りにくい家なのかを分析しましょう。
おわりに
売れやすい家の条件でもっとも重要なのは立地です。一戸建ての売り物件がほとんど出てこない駅チカの人気エリアであれば、建物や設備に問題があっても高値で早期売却できる可能性があります。
立地が悪くなるにつれて、建物の条件を重視されるようになってきます。不人気エリアでは、建物が綺麗でまだまだ使えそうなど、将来的な維持費を含めた割安感がないと、なかなか売れにくいです。
家を売るときは、まずは価格を考慮せずに、そのエリアの中古住宅を探している方の需要と近隣の新築・中古物件から供給量を分析しましょう。需要が高いと判断できれば、多少は悪い材料があっても強気な姿勢で問題ありません。
供給が多いときは、ライバル物件が少なくなるまで売り出しの時期を見送ったり、ライバル物件に比べて自分の物件のアピールポイントは何があるのかを考えて、購入希望者に魅力を伝えられるような売り出し方をしましょう。