ブルさんブルさん

不動産会社に家の売却を仲介する方法は、一般と専任があります。
大半の不動産会社は、まだどこの業者にも仲介を依頼していないのであれば、専任を強く勧めてきます。

専任と一般のどちらの方がいいのかは、家の状況や仲介を依頼する不動産会社の力量や営業手法、サービスによって変わってきます。
まずは一般と専任のメリット・デメリットを理解して、専任を検討するなら本当に信頼できる業者なのか見極めるようにしましょう。

本当に信頼できる業者だと断言できるのであれば、専任を選んだ方が高く売れる可能性があります。


不動産売却の仲介の3つの媒介契約方式

不動産売却の仲介は以下の3つの媒介契約方式があります。

■一般媒介

  • 複数の不動産会社と同時に契約が可能
  • 複数社が同時に販売活動するので間口が広がるメリットがある
  • 自己発見取引が可能

■専任媒介

  • 1社の不動産会社にしか依頼できない仲介方式
  • 特典をつけたり、広告費をしっかりかけてくれるメリットがある
  • 法律によって2週間に1回売り主に販売活動状況を報告する義務がある
  • 自己発見取引が可能

■専属専任媒介

  • 専任媒介とおなじく1社の不動産会社にしか依頼できない
  • 専任媒介との違いは自己発見取引も禁止され、販売活動の報告義務が1週間に1回になる

不動産仲介業界では、専任媒介にこだわる業者はたくさんありますが、専任媒介より専属専任媒介にこだわるケースは少ないです。専属専任媒介は、不動産会社も報告義務の負担が大きいデメリットがあり、自己発見取引までコントロールしなくてもいいと考える業者が多いです。

一般媒介だと、ほかの仲介業者のライバルより先に売らないといけないので、不動産会社は自社による成約率が高い専任媒介契約を取ろうと積極的な営業をしてきます。

なお、媒介契約の期間は全て3ヶ月単位になっていて、事前に契約をやめる旨を伝えていないと自動更新になる場合もあります。まずは1社に専任で頼んでみて、3ヶ月経過したら一般に切り替えるなど、媒介契約の種類や仲介業者を途中で切り替えることもできます。

一般媒介のデメリット

一般と専任を比べると、一般の方が多くの業者が販売活動してくれるので、より多くの人に売却物件を売り込んでもらえるメリットがあります。

しかし、一般媒介は業者によっては広告費の予算が少なくなったり、売り主の利益よりも業者の利益を優先して、強引な値下げをしてでも早く成約させようとしてきます。また、売り物件の印象を良く見せるための、掃除やディスプレイ、説明パネルの設置などの対応もしてくれないケースが多いです。

不動産仲介会社の仕組みを理解すると、一般媒介では各業者が全力で対応してくれない理由が分かりやすいです。不動産仲介会社は売買契約が成立した時に受け取る仲介手数料が売り上げになり、媒介契約(仲介)を結んで販売活動をするまでは全て無料です。

アットホームやHOME’Sなどの外部サイトに広告を出したり、空家に家具や花を置いてディスプレイを作るなど、販売活動に必要な費用も全て仲介業者が負担します。つまり、一般媒介契約を結んで広告費をかけても、ほかの業者が先に売ってしまえば、それまでの販売活動にかかった費用は赤字になります。
一般媒介だと、業者目線で見るとリスクが大きいため、予算や手間をかけた積極的な販売活動を期待できません。

また、複数社が一般媒介契約をしている場合、成約して仲介手数料を得られるのは一番早く成立させた1社です。早いもの勝ちになるため、仲介業者は一般媒介の場合は、うまく売り主を説得して、強引に値下げしてでも成約させようとしてきます。

ほかにも売り出し価格が高すぎて、広告をかけても反響が少ない場合は、仲介業者がプロのアドバイスとして値下げ提案することも大切です。しかし一般媒介だと売り主との信頼関係において、ほかの業者に比べて悪役になりたくないと考えます。
売り主に値下げ提案することは、どうしても高く売りたい売り主からは不快に思われることもあり、信用を失うと媒介契約満了後に切られてしまうこともあります。

つまり、仲介業者は一般媒介だと売り主の立場になってアドバイスをしようとせず、ほかの業者と牽制し合って、適切なことでも売り主にとって都合の悪い話はほかの業者が先にしてくれるだろうと消極的になってしまうデメリットがあります。

専任媒介は業者によって対応が全然違う

専任媒介を結ぶと仲介業者から見て、契約期間中はほかの業者が売り主になってしまうリスクがありません。ほかの業者が購入希望者を見つけてきたとしても、確実に売り主からの仲介手数料を得ることができます。

一般媒介よりも専任媒介の方が業者側の成約率が圧倒的に高いため、一般媒介よりも設備保証や仮測量などの特典をつけたり、広告をたくさん出して家を綺麗にディスプレイするなど積極的な販売活動を期待できます。

しかし、対応が悪い業者だと専任媒介契約を取れば、ライバル業者がいないので、適当な販売活動でも物件に興味を持つ方は現れるだろうと楽観的になる場合もあります。

また、買い手の仲介業者にもなる両手取引に強いこだわりを持たれることもあります。ほかの業者が買い手の仲介業者になる片手取引の案件では、売り主に報告せずに値引きはできないなど強気な返答をしたり、ほかの不動産業者から物件の問い合わせを受けても、すでに決まりそうな案件が出ていると嘘をついて断ってしまうこともあります。

また、専任媒介契約期間中はほかの業者に売られる心配はないですが、3ヶ月の契約期間が満了すると更新してもらえないこともあるので、最初の1〜2ヶ月は少しでも高く売ろうと努力してくれますが、3ヶ月目になると強引な値下げをしてでも契約期間中に売ってしまおうと対応が雑になることもあります。

優良業者であれば、専任で話を頂いた物件は、徹底的にコストをかけて少しでも家を高く売ろうと最善の対応を心がけてくれます。

優良仲介会社による、専任媒介契約物件の販売活動やサービスの一例

専任媒介契約を結ぶと、高値かつ早期売却をしようと様々な取り組みをしてくれます。
専任媒介契約をする前に、ここで紹介する取り組みを実施してくれるのか確認を取っておきましょう。

片手取引にこだわらない

専任媒介に限らず、不動産仲介会社を利用するときは、ストレートに「片手取引でもいいと思っていますか?」と聞いてみましょう。「うちは両手取引しかしない」と回答されることはないですが、内心で両手取引にこだわろうと思っている業者は、回答に間が空いたり都合の悪そうな表情をします。

両手取引にこだわりを持っていると、ほかの業者に協力を依頼することもなく、販売活動範囲が少なくなり、購入希望者が現れても売り主に無断で断ってしまうこともあります。

提携不動産会社にも物件掲載を依頼する

専任媒介契約を結んでも、媒介業者の許可を得れば、ほかの不動産会社が売り物件情報として自社のホームページに掲載したり、物件情報サイトや折込チラシで広告を出すこともできます。

最低でも2社以上は大手不動産会社や地域密着型の中規模業者と提携して、売り物件情報として不動産会社のホームページに掲載する取り組みをしてくれるか確認しましょう。
事前にどの業者と提携しているのかや、業者を相手にしたDM活動の実施があるか確認しておくとよいでしょう。

空家を綺麗にディスプレイする

空家の売却を依頼するときは、新築のモデルハウスみたいに、家具や花、説明パネルなどを設置します。
内覧しに来た購入希望者に好印象を与えることは家を高く売るためにはとても重要です。
定期的に掃除や換気をしてもらうことも大切です。

オープンハウスを開催してもらう

オープンハウスとは、予約なしで内覧できるイベントです。
朝と夕方に不動産業者が鍵の開閉だけをするケースとスタッフが1日常駐する方法があります。
オートロック付きのマンションの場合はスタッフの常駐が必ず必要になります。
スタッフ常駐のオープンハウスは専任で依頼しないと対応してもらえないケースが多いです。

物件情報サイトに広告を出す

アットホーム、SUUMO、HOME’Sなどの大手物件場サイトへの広告活動は売り物件のもっとも効果的な情報配信です。
本来は専任で依頼すると広告費の予算を多くかけてもらえるものですが、一部の業者は専任にすると自社のホームページのみしか掲載しないなど、一般よりも広告活動が消極的になるケースもあります。

折込チラシやポスティングなど近隣住宅への広告活動をする

ネットだけではなく、周辺地域への広告活動も不動産売却では大切です。
大手不動産会社では、一般媒介でも複数の物件を掲載した広告を作って配布してくれます。

専任媒介による特典(仲介保証)を用意する

大手不動産会社で流行しているサービスです。
専任媒介か専属専任媒介で依頼することを条件に、以下の保証やサービスを不動産会社負担で行ってくれます。

・住宅瑕疵保険への加入
・建物、設備の検査
・建物設備保証
・トラブル24時間かけつけサービス
・仮測量、境界確認
・ハウスクリーニング/水回りクリーニング

購入希望者に安心して買ってもらうサービスが多数ついてくると、売り物件そのものに付加価値が加わります。ただし、仲介保証は買い手も同じ業者が仲介するなど両手取引が条件になります。

仲介保証がつくと、広告費をケチられることもあるので、最低でも2社以上の大手物件情報サイトに掲載してもらうこともお願いしておきましょう。

専任媒介で売る気を見せない悪質業者の代表手口

悪質業者は専任媒介契約を取ると、わざと売れないような販売活動をすることがあります。
悪質業者の代表手口を紹介します。

  1. 高めの査定額を提示して、うちに任せてくれなどと、強気な営業トークで専任媒介契約を取る
  2. 専任媒介契約をした後は、家の中も汚いまま、しっかりした広告活動をしない
  3. ほかの不動産会社から問い合わせがあっても、適当な言い訳を作って物件を紹介しない
  4. 2〜3ヶ月経過したら、全然問い合わせも来ていないし、このままだと売れる見込がないと説明し、買取を提案
  5. 安い価格で買取をした後は、プチリフォームを行い、綺麗にディスプレイをして広告費をかけるなどして高額売却する

不動産業者は仲介よりも、安く買い取りをして自社物件として販売した方が、大きな利益を出せます。専任でほかの不動産会社では売りにくいことを利用して、実際に売りに出したけど反響がないと売り主に安く買取理由を作ります。最初の査定価格や売り出し価格を高めに設定するのは、問い合わせを少なくさせるためです。

不動産仲介業者は査定額が高いところではなく、お客のことを第一に考えて高く売る努力をしてくれる業者を選びましょう。信用できる不動産会社が見つからなければ、一般媒介で複数社に依頼した方が無難です。

おわりに

私は大手不動産会社から専任物件の中古の戸建を購入した経験があります。スマホ版の不動産物件サイトには掲載していなく、広告活動が消極的で、物件を見つけるまでに苦労しました。

また、ほかの業者を通じて購入しようとしたら値下げ交渉に一切応じてもらえず、専任媒介している業者に直接問い合せて、値下げしてもらって購入しました。大手不動産会社なので仲介保証が付いてきて、プロによる建物の検査表や設備保証が付いてきたので、大手不動産会社の仲介物件を直接買って良かったと思っています。

私は不動産の購入と売却の経験がありますが、専任媒介はいいところと悪いところがあるので、しっかり比較検討して業者を選ぶのがよいと感じました。専任に興味が強くても、まずはいろいろな不動産会社から話を聞いて、売り出し後の販売戦略や価格設定の見解を聞きくらべてみるとよいでしょう。

専任はすでにほかの業者と一般媒介契約をしていると利用できないので、査定に来た不動産会社がすぐに契約して売りに出すことを提案されても、まずはいろいろな業者の話を聞いて、専任か一般にするかを決めるまでは待ってもらうように伝えましょう。