不動産売却の方法は戸建、土地、マンションなど物件種別を問わず、共通していることが多いです。
基本的には、不動産業者に仲介か買取で相談を行い、買い手と価格の折り合いがついたら売買契約、引き渡しの流れになります。

ここでは、家・土地を売る方法、手順、手続きについてまとめました。

不動産の種類別の売却方法

一戸建てを売る方法と高額売却のためのポイント・注意点
マンションを売る方法と高額売却するためのポイント
土地だけを売る方法と高く売るポイント

不動産のケース別の売却方法

登記上問題が発生する物件(家)を売る方法
ローン中の家を売る方法
ローンが払えなくなった家を売る方法
離婚を機に家を売る方法と財産分与について
転勤を機に家を売る方法、手順、手続きについて
実家を売る方法、手順、手続きについて
相続した家を売る方法、手順、手続きについて
【ケース別】家の買い替え、住み替えの方法
未公開物件で家を売るメリット・デメリット
空家にしてから売った方が高く売れる

家・土地を売る手順

家・土地を売る手順と手続き内容は以下の通りです。

  1. 下調べを行う(独自の相場情報の調査など)
  2. 不動産会社の査定を受ける
  3. 物件の条件や問題点を踏まえて、適性相場や売却に必要な条件を認識する
  4. 仲介か買取か決める → 買取の場合は9番へ
  5. 媒介契約する業者を選ぶ(専任か一般か決める)
  6. 媒介契約
  7. 売り出し、販売活動
  8. 商談、価格交渉、条件確認 → 成約(未成約の場合は7番の販売活動に戻る)
  9. 不動産売買契約、手付金の受領
  10. 引渡し準備(不用品の処分、本測量、買い手のローン本審査など)
  11. 引渡し、残代金受領
  12. 確定申告(売却益が出た場合もしくは損失が発生し損益通算可能な場合)

ステップ別に売るために必要な方法と流れを紹介します。

1.まずはおおよその相場を下調べする

家を売るときは、業者に相談する前におおよその相場を下調べしておきましょう。不動産相場の調べ方はネットで不動産取引価格情報を調べるか、不動産物件情報サイトで現在売りに出ている近隣の家・土地・マンションの売り出し価格を参考にする方法があります。

取引価格情報を個人が独自に調べる場合は、国土交通省 土地総合情報システムの活用がオススメです。ただし、相場情報は取引価格や成約価格がベースになるので仲介を前提にした相場です。

買取の場合は、仲介で売る相場に比べて200万円〜600万円安くなります。リフォームが必要な状態であれば、リノベーション物件の売り出し価格の相場からリフォーム費用と業者の利益分を差し引いた金額が買取相場になります。

不動産査定を受ける前に最低限の下調べをしておくことで、不動産業者の説明が正しいか見極められるメリットがあります。家の売却相場の調べ方について、オススメツールや坪単価で算出する方法などをコチラのページで詳しく紹介しています。
売りたい家の売却相場を調べる方法

2-4.家・土地の売却は査定を受けることから始まる

家・土地を売るには、自己発見取引を除いて不動産会社を利用する必要があります。まずは不動産会社に登記情報や家の現況を確認してもらって、査定価格を提示してもらいましょう。

査定にかかる費用は全て無料で、一括査定サイトを利用して複数社の査定を取ることをオススメします。
家・土地を売る時に役立つ無料一括査定サイト5選

買取であれば、一番高い査定価格を提示してくれる業者に売却しましょう。仲介の場合は、査定価格が高ければいいわけではなく、適性価格の査定を提示し販売活動の内容をしっかり説明してくれる業者を選びましょう。

物件の条件や問題点を踏まえて、家の価値を認識することが家・土地の売却で失敗しないコツです。家・土地を売るときは、不動産会社選びがもっとも重要です。
家/土地/マンションを売るときに気をつけたい査定ポイント

不動産査定では登記情報の内容をまずはチェック
家を売るときの瑕疵担保責任と瑕疵保険への加入について
家を売るときに境界確認と本測量を行う

5.仲介は専任媒介と一般媒介がある

仲介をするための契約を媒介契約と呼びます。不動産の媒介契約は専任、専属専任、一般の3種類があります。

  • 専任媒介 → 不動産会社1社としか契約できない。自己発見取引可能
  • 専属専任媒介 → 不動産会社1社としか契約できない。自己発見取引不可
  • 一般媒介 → 複数の不動産会社の契約可能

専任媒介より一般媒介の方が多くの不動産会社が販売活動で動いてくれますが、一般媒介だと広告費など販売活動のための予算をかけてもらえないことや、売り主の利益よりも早期成約を優先させようとする業者が多いデメリットがあります。

専任媒介は囲い込みをして両手取引(買主側の仲介も行う)にこだわって真剣に早期売却、高値での売却をしてくれない業者が多いデメリットがありますが、優良業者であれば一般媒介より中身の濃い販売活動をしてもらえます。

一般媒介と専任媒介の両方の特徴を理解して、媒介契約の形式を決めましょう。
家を売る時の仲介は一般がいい?専任がいい?

6.媒介契約を行う

媒介契約は不動産会社が用意した書面に売り主が署名、捺印を行います。仲介で売る権利を業者に与えるための契約になり、基本的に契約書は1〜2枚程度のボリュームで認印による簡単な手続きで完了します。

媒介契約の期間は3ヶ月で、満了時に更新を止めて他の仲介会社に乗り換えたり、専任と一般で媒介形式を変更することもできます。ただし、媒介契約は自動更新特約を付いていることが多く、満了日前に更新しない旨を伝えておかなと、3ヶ月間の自動更新になってしまうケースもあるので注意しましょう。

法律で専任媒介と専属専任媒介は1社のみしか契約できない決まりになっています。一般媒介の場合は、仲介を依頼する複数の不動産会社と媒介契約が可能です。契約時間は5分程度で、希望すれば不動産仲介会社が自宅に出張で契約手続きに来てくれます。

7.売り出し、販売活動期間中に売り主がすること

販売活動のための広告や内覧・問い合わせ対応、商談は全て不動産会社が行ってくれます。居住中で売りに出す場合は内覧対応を行います。居住中の物件でも売り出しするときは、なるべく内覧は断らないように心がけ、家の中の整理整頓も行いましょう。できれば1回目の内覧は居住者は外出して立ち会わないのがセオリーです。
家を売る時の内覧と内覧対応の注意点

空家を売る場合は、販売活動の全てを不動産仲介会社に任せることになります。ただし、不動産仲介会社からの報告を受けるだけではなく、レインズへの掲載、広告掲載、提携不動産業者への営業活動、両手取引にこだわらない販売方針など、売り出し方や営業方法が適切かチェックしましょう。

売り出してから買い手が決まるまでの期間は半分以上が3ヶ月以内です。ただし、3ヶ月以内で売るには、適正価格で売り出しをして、仲介会社に適切な販売活動を行ってもらう必要があります。
家が売れるまでの期間ってどれくらい?

8.商談から成約までの流れと確認すること

商談時に行うことは価格交渉と引き渡し日や条件の確認です。値引き交渉された場合に応じるかは売り主の判断です。

不動産売買では購入希望者が購入申込書を提出します。価格交渉を済ませてから購入申込書を出す場合と、買い手が希望価格で独自に値引き後の価格を記載した購入申込書を先に提出してくるケースがありました。

私が家を売ったときも、先に署名、捺印付きの購入申込書を提出されて、「この価格でどうですか?」と提示された案件が2件ありました。私が家を買ったときは購入申込書を出さずに、仲介会社の営業マンと電話での交渉を繰り返しました。

売り出し価格と適正相場との価格差や、売り出し中の内覧客や問い合わせ件数などの反響、売り出しをはじめてからの期間を見て、どれくらいまでの値引きに応じるか検討しましょう。値引きは一切しない方針で売り出しをしても問題ありません。

成約になる前に価格以外でも次のことを確認しておきましょう。

  • 住宅ローン利用の有無
  • 買い手の希望引き渡し時期
  • その他買い手からの希望条件

その他買い手からの希望条件は、本測量の実施や既存の荷物の撤去条件などがあります。売り主から、引き渡し日の希望や、解体を前提の家で不要な荷物を残してもいいかなどの希望条件を提示することもできます。

9.不動産売買契約、手付金の受領

成約をしたら、買い主、不動産仲介会社と同席のもとで不動産売買契約を結びます。不動産売買契約は重要事項の説明は宅建主任資格保持者が行う決まりになっています。

一般的には売り主側の不動産仲介会社のオフィスで契約手続きを行い、100万円〜200万円、もしくは成約価格の10%ほどの手付金を受領します。

契約をして手付金を受領すると、売り主都合で契約を解除するためには手付金を2倍にして返さないといけないルールが付きます。そのかわり、買い手側都合のキャンセルがあれば手付金の返金義務はありません。

買い手の住宅ローン審査に通らない場合は、手付金返還にてキャンセルできるなど、特約が付くケースもあります。(一般的には売買契約時点では住宅ローンの仮審査まで通っている必要があります)
つまり、売買契約と手付金の受領を終えると、簡単に契約解除できなくなるので注意しましょう。

手付金の2倍返し不要で契約解除できる条件についても、しっかり確認しておきましょう。
契約時に必要な書類はコチラのページをご確認ください。
家を売るために必要な書類などの準備物

10.契約後から引き渡し日までに行うこと

■売り主が行うこと
・引っ越し(居住中の家を売る場合)
・荷物の撤去(建て付け家具、キッチン、お風呂などの固定設備以外は全て撤去が原則)
・本測量、境界確認(引き渡し日までに行う条件の場合)

■買い主が行うこと
・住宅ローンの本審査
・引っ越し準備

基本的に荷物の撤去と買い主の資金確保ができれば即時引き渡し可能です。その他、本測量が必要な場合は引き渡し日まで対応します。売買契約前に、引き渡しまでにやることと、日程を確認しておきましょう。

11.引き渡し、残代金受領

引き渡し日は不動産会社のオフィスか、銀行の個室(要予約)にて買い主、売り主、不動産仲介会社、司法書士が立ち会い、残代金の受領と移転登記に必要な権利書のやり取りを行います。残代金は大きな金額になるので振込にて行います。

まずは司法書士が買い主から残代金の金額の振込依頼書を確認します。住宅ローンを組んでいる場合は司法書士が買い主が利用した銀行とやり取りをして、引き渡し日当日に代金を一度買い主の口座に振り込んでもらうように伝えます。

買い主はローンを組んだお金をほかの用途で使えないように、司法書士が立ち会ってすぐに、権利書の受領と売り主への支払いができる環境を確認してから銀行より融資額が振り込まれます。

続いて司法書士は売り主から権利書や印鑑証明など不動産の移転登記に必要な書類に全て問題がないかを確認します。
司法書士が以下の全ての確認を終えて振込手続きが行われます。

・権利書の原本確認
・買い主、売り主の委任状および印鑑証明の確認
・住宅ローンの代金振込および支払いに必要な残高の確認
・必要な残代金の振込依頼書

こうして司法書士が問題なく残代金の支払いと移転登記に必要な書類の受領ができて正常な取引を確実に行えることを確認してから、残代金の振込と権利書の受け渡しを行います。

代金の入金が確認できたら、司法書士がその足で法務局に行って不動産移転登記手続きを行います。

12.家を売ったあとの確定申告

家や土地を売った際は、売却益が出た場合と、住宅ローンの組み換えなど譲渡損失の損益通算の特例申請を行う場合のみ確定申告が必要になります。

買ったときより少しでも高く売れたら確定申告が必要になるわけではなく、控除枠を差し引いても利益が残る場合のみ確定申告と利益に応じた納税が必要です。

譲渡損失が出てもローン残債が10年以上残っていて売却額よりローン残債が大きい場合、もしくは新たに10年超えの住宅ローンを組んで新しい家を買った場合しか損益通算できません。

つまり、家を売った大半のケースでは確定申告は不要です。
以下の方が確定申告が必要になる可能性があります。

・売却価格が3,000万円を大きく超える場合(居住用物件の場合)
・居住期間5年以上、住宅ローン残存期間10年以上で、住宅ローン残高より売却価格が安い場合
・居住期間5年以上、譲渡損失が発生する状況で、新たに10年超えの住宅ローンを組んで新しい家に買い換える場合

確定申告の可能性が少しでもあれば、家を売る前に税理士などの専門家に相談しておきましょう。不動産会社によっては社内や提携税理士が無料相談に応じてくれるケースもあります。
家を売って益が出た場合、損が出た場合

おわりに

家・土地を売る流れと手順、方法は物件ごとに注意点や高額売却のための方法が異なります。
当サイトでは、物件種別とケース別に家を売るときのポイントをまとめています。
家、土地の売却では情報武装が大切です。大切な家の売却で失敗しないように、入念にリサーチをしてから売却活動を始めましょう。