ブルさん@元車ディーラブルさん@元車ディーラ

私は2015年に実家を売却しました。
実家の売却理由は、築55年と古くて状態も悪く、この先住み続けることが困難な家と判断し中古の2世帯住宅を購入したからです。
私の経験談も含めて、実家を売る方法と注意点を紹介します。

実家を売る流れ、進め方


子供が親に変わって実家を売る場合は、親の健康状態を含めた事情や、目的によって変わってきます。本来は親が健全であれば、わざわざ子供が代理にならなくても、親自身が売却を進めるべきです。

しかし実家に住む親が高齢になり子供が社会人の年齢であれば、ネットに詳しくて交渉力のある子供に売却を任せるケースも多いです。ほかにも、親が高齢や病気で自ら家を売れない状況になっていたり、贈与を目的に売るなど実家を売るシチュエーションはいろいろあります。

子供が実家を売る代表的なケースは次のものがあります。

  • 実家とは違う土地に2世帯住宅を購入するために実家を売る
  • 実家に住む親が単独で家を売って引越しをする予定だが、売却に関しては子供に一任した
  • 老人ホームに入居している親は、もう自己判断できない状況で、老人ホームの費用に充当するために家を売る
  • 親が所有している土地や賃貸で貸している物件を贈与目的で売却する

このほかにも、実家を売る代表事例で相続を理由にした売却がありますが、名義人が死亡している場合、親の名義では売却できません。

相続の場合は、相続人が売り主になります。相続に関する手続きは、親が健在の場合と状況が大きく変わるため、別ページで詳しく紹介しています。

相続した家を売る方法、手順、手続きについて

親の本人確認さえ取れれば、子供が窓口になって実家の売却を進められる

通常、子供が親の代理人になって家を売る場合は、親が子供を代理人に指名する「委任状」が必要です。しかし、不動産仲介会社や買取業者との話は子供が進めて、成約後の契約手続きは実家の名義人である親自身が行えるのであれば、原則委任状は不要で必要なのは親の意思確認のみです。

私が実家を売ったときは、親が高齢で適正な判断はできないことを自覚していたため、私が全ての権限を親から委任されていました。不動産一括査定を利用して、複数の業者と話をしましたが、業者が実家を見に来ることも了承するなどの対応ができたため、業者から委任状の提出を求められることもありませんでした。

つまり、契約時には親自ら署名・捺印ができて、子供が売却活動をして不動産会社との窓口になることを親も了承していて、不動産業者からも信用されれば、子供が名義人と同等の立場になって売却手続きを進められます。
子供が親名義の実家を無断で売ろうとしていると疑われた場合は、親への本人確認や身分証の提出を求められるケースもあります。

また、私が売った実家は、買取査定額1,000万円にも満たない築55年の古い家で、セットバックも大きく問題が多い物件でした。一括査定で10社ほどに査定申込をしましたが、そのうちの1社からはメールにて「本人名義の物件ではないので対応できません」と断りの連絡が来ました。本当に親名義の実家なので子供からの申込を理由に断られたかもしれないですが、私は買取相場が安く、売りにくい物件のため断る口実で親名義を理由にしたのではないかと思っています。

取引成立時は売却代金を銀行振込で支払うことになりますが、当然売り主の親名義の口座への入金が必要で、子供が売却代金を受け取る場合は贈与税が発生する可能性が出てきます。

親が契約できない場合

親が高齢や病気などの理由で意識はあるけど、不動産会社に足を運んでの契約手続きや署名、捺印を自らできない状態であれば、子供が代理人として契約を行うこともできます。不動産売買を代理人が行う場合、委任状と親と子供の印鑑証明、親子関係を証明する「戸籍謄本」の提出を求められます。

また、家の売却は重要な取引になるため、不動産会社は「本当に実家の名義人である親が家を売ることを了承しているか」、本人確認を行うケースが多いです。代理人が売り主になる場合、購入希望者の立場から見ても不安要素が多く、不動産会社はお客に自信を持って説明するために、入念な確認作業を行います。

また、売買が成立して実家の移転登記をする際は、不動産会社が確認を取っていたとしても、登記手続きを行う司法書士も売却物件の名義人である親に対して意思確認を行う決まりになっています。

親が意識不明の寝たきりなど、売却意思の確認ができない場合や、重度の認知症など代理人として子供を指名する法的効力を持たない場合は、より難しい状況になります。

親の意思確認ができない場合

親が病気や怪我、年齢による衰弱など意識不明の状態や認知症で売却意思を示せない場合は、「成年後見人」になることで、法的に代理売却が認められるようになります。

成年後見人になるには、家庭裁判所で手続きをして、専任される必要があります。ただし、実の子供で親子関係が良好だったとしても、簡単に成年後見人に専任されるとは限りません。

まず、子供がいても配偶者が健在であれば、優先的に配偶者が成年後見人に指名されます。また、実家や親が治療を受けている病院や施設から遠くに離れている子供よりも、実家の近くで親の面倒を見れる状態の子供がいれば、優先して成年後見人に指名されます。

成年後見人の専任は、申請時に希望の候補者を提出することもできますが、家庭裁判所は必ずしも候補者の中から選ぶとは限りません。候補者以外が選ばれても不服申立すらできないルールが設けられています。

成年後見人の目的は自ら意思決定ができなくなってしまった者を守るためで、不当に財産を手に入れようとする人がいることや、親子だと悪意のある成年後見人との区別がつきにくいため、裁判所も慎重な対応をします。

また、成年後見人に専任されたとしても、家の売却は再度家庭裁判所の許可が必要になります。家の売却理由は治療費や生活費など、本人自ら使う資金調達を目的にしていることが条件で、親の預貯金に余裕がある場合など、実家を売らなくても対処できる状況では家庭裁判所は許可を出しません。

親の意識確認ができない場合は、簡単に家を売ることができないので、成年後見申立センターや役所の窓口などで相談することから始めましょう。

贈与目的は事前に専門家に相談してから売る

贈与目的で家を売る場合は、親だけが住んでいる実家ではなく、親と子供が同居している家で名義人を親から子へ変えたり、親が所有している賃貸物件や土地の贈与などの事例があります。

贈与目的の場合は、親名義で売って受け取った現金を贈与する方法と、先に家の名義を親から子に変えてから売却する方法があり、それぞれ発生する税金が変わってきます。また、贈与目的の不動産売却や名義変更は、将来的に発生する相続税との兼ね合いも出てきます。

贈与を主な目的にしている場合、最善の方法はケースバイケースで、状況によって先に売るか名義変更するかなど方法が変わります。事前に税理士、司法書士、弁護士など、専門家に入念に相談してから実家の売却を進めましょう