住宅ローンが残っている状態でも家を売ることはできます。
住宅ローン残債よりも家の売却価格が高い場合は、売却代金を住宅ローン返済に充てることで簡単に家を売ることができます。
また、住宅ローン残債の方が家の売却価格より高い場合は、差額を現金で補充するか、ローンを組み替える等の対処で家を売ることも可能です。
ここでは、ローン中の家の売却方法をまとめました。
住宅ローンを組んだ家は、金融機関が必ず抵当権をかけています。抵当権とは、家を担保にする権利のことで、お金を貸した金融機関が返済の滞った家を差し押さえできる権利を持ち、無断でローンが残ったまま売却することができません。
抵当権がある家でも、家を売却する時点(引渡し日)で完済できるのであれば、事前にローンを組んだ金融機関と適切な手続きをしておくことで、家の売却を行う事ができます。
つまり、ローン中の家を売るときは以下の方法があります。
- 家の売却価格がローン残債よりも高ければ、売却代金をローン返済に充てることを条件に家の売却が可能(差額は手元に残る)
- 家の売却価格がローン残債より少ない場合に、不足する差額を売り主が現金で金融機関に支払えば売却可能
- 家の売却価格がローン残債より少なく、差額を現金で払えない場合は、不足分の差額を通常のローンで組み直すか、新しく買う家のローンに組み入れることで売却可能(要審査)
ローン中の家を売る手続きと流れ
ローン中の家を売るときは、利用する不動産会社に対してローン残高の証明書類を提出します。通常家を売るときは、「売買契約」→「引渡し」の流れになります。
売買契約時には、100万円もしくは売買代金または売買代金の5〜10%ほどの手付金を買い主から受け取り、引渡し日に買い主からの残額の支払いと同時に、家の名義を買い主に移す登記手続きが必要になります。
ローン中の家は、引渡し日に一括返済をする旨を契約内容に明記して、事前に金融機関から抵当権抹消に必要な書類を引渡し日に発行してもらう必要があります。
金融機関の立場で見ると、まだローン返済を受けていないのに抵当権抹消書類の発行を手配するのはリスクがありますが、宅建業者が仲介もしくは買取をして、登記手続きを司法書士が行うのであれば信用力があるため対応してくれます。
ローン残高の証明書類は、住宅ローンを利用している金融機関に残高証明書を発行してもらいます。銀行からローンを組んだときや、繰り上げ返済時に送付されたローン返済予定表でも認められるケースもあります。
金融機関の書類を参考に売買契約書を作成し、引渡し日にローンを一括返済する旨を明記した売買契約書のコピーや、金融機関が用意した書面に署名、捺印することで、抵当権抹消書類の発行を進めてくれます。
住宅ローンの残高より売却価格が少なく、現金で差額を埋める場合は、あらかじめ繰り上げ返済をして、売却価格よりもローン残高を少なくするように求められることもあります。
不足分をローン組み換えで対応する場合は、事前にローンを組んでいた金融機関や、借り換えをする金融機関に相談したり審査を受けるなど、指示に従って必要書類を提出しましょう。
ローンを組み替え時の注意点
家の売却価格において、既存の住宅ローンを全額返済することができず、現金補填もできない場合は、ローンの組み換えしか方法がありません。新しい家を再度住宅ローンを組んで購入する場合は、住み替えローン(買い替えローン)を利用しましょう。
引っ越し先が賃貸や実家など、再度住宅ローンを組まない場合は、住宅ローンではなく、その他のローンに組み替える必要があります。
住宅ローンは低金利時代で変動金利であれば1%以下、固定金利でも最近のレートでは1〜2%の低金利で利用可能です。住宅ローン金利が安い理由は、家を担保にしていて、返済が滞っても銀行は家を差し押さえして売ることで、ある程度の代金を回収できるからです。
住み替えローンなら、もともと組んでいた住宅ローンと同じ金利、もしくは新しい家の住宅ローンの金利で対応してもらえることが多いですが、新規に家を買って住宅ローンを組むよりも審査は厳しいです。ローン中の家から、再度住宅ローンを組んで引越しを検討するときは、早めにローン審査を受けて、住み替えローンが利用できるのか確認しておきましょう。
住み替えローンではなく、純粋に不足分だけを新しくローンで組み直す場合は、担保になる不動産が何もないので、住宅ローンよりも金利が大幅に高くなります。それまで利用していた金融機関で、返済遅延なく支払いを続けていた実績があれば金利が優遇されますが、安くても3〜5%ほどの金利になります。
ローンを組み替える場合は、審査だけではなく借入期間や金利についても確認しておきましょう。
おわりに
住宅ローンを最長35年と長い期間で組める特性があり、生活環境の変化などで引越しの必要性が出てくるケースも多く、ローン中の家を売る事例は非常に多いです。
不動産会社もローン中の家の売却実績を多数持っているものなので、まずは地域の実績豊富な不動産会社に相談しましょう。ローン残高や想定売却価格、相談者の与信(ローン組み替え時の信用力)など状況を総合的に判断して適切なアドバイスをもらえます。オススメの金融機関の紹介など、売るために有益になる情報提供も期待できるでしょう。
ローン中の家を売るときは、ローン残高にもよりますが、家を高く売るほど有利なことが増えてきます。一括査定サービスを利用するなど、多くの不動産会社に相談するとともに、少しでも高く売れるように売却者も勉強をして高額売却を目指しましょう。