
転勤で引っ越しをすると、所有している家が空家になってしまいます。
賃貸にする選択肢もありますが、転勤が長期化する場合や、元の勤務先に戻ってこれる保証がない場合は売った方がいいケースもあります。
転勤を機に家を売る場合の方法、手順、手続きについてまとめました。
転勤を機に家を売る流れ、進め方
持ち家を持っていて転勤になった場合、再び元の勤務先に戻れる見込があれば賃貸にする方法も人気です。
しかし、賃貸は空室リスクをはじめデメリットも多く、簡単に家賃収入で利益を出せるものではありません。
売るか貸すか迷っている場合は、賃貸のリスクを理解して慎重に検討しましょう。
いずれは元の勤務先に戻ってこれる見込があっても、今の家の立地や間取りに不満があれば、一度売却して、戻ってきたら再度家を探してもいいでしょう。
ここでは転勤が理由の場合の、持ち家を売却する方法について紹介します。
転勤を機に家を売る理想的な流れ
- 引っ越しをする前に、売却物件近くの不動産会社に相談をして仲介の依頼先を決めたり、買取になる場合の査定額を取っておく
- 転勤をして引っ越しをして空家にしてから売り出しを開始する
- 不動産会社から電話や書面(郵送)、メール等で進捗状況の確認など連絡を取り合う
- 成約
- 売買契約
- 引き渡し
転勤は異動命令が出るタイミングや、家の住宅ローンの有無や残債、転勤先での住居の調達など、状況によって最適な方法が変わります。
売却までの期限にある程度の余裕を持てるのであれば、転勤して空家にしてから売りに出した方が、高く売れる可能性が増します。
買い手がみつかると、売買契約と引き渡しの2回、仲介不動産業者の拠点等に、売り主が足を運んで手続きする必要があります。売買契約、引き渡しで売り主が同席できない場合は、事前に不動産売却に関する代理人を立てておく必要があります。
仲介か買取か?
転勤を理由にした家の売却は、売却期間に制限のある事情も多いです。
急いで売らないといけない状況の代表事例を紹介します。
・海外転勤や遠方へ引っ越し、代理人も立てられないため転勤前に売らないといけない
・住宅ローンを組んでいて、転勤先の住居の家賃と2重負担に耐えられる期限が限られている
・転勤先では最初から住宅ローンを組んで物件を買う予定で、ローン審査や頭金の関係で新居購入前に売ってしまいたい
・転勤で引っ越しや新しい配属先での仕事が忙しいので、不動産売却に時間を費やす余裕がない
このほかにも早く売らないといけない場合は、いつまでに売らないといけないのか期限を明確にしておきましょう。
中古物件としての価値がある家やマンションであれば、買取よりも仲介の方が高く売れる可能性が高いですが、売却期限に応じて買取も視野に入れましょう。
売却期限がある際の買取は以下の方法があります。
・最初から買取で話を進める
・一度仲介で売り出してみて一定期間売れなかったら業者に買取してもらう
・転勤前の新しい家を購入する前に買取してもらい、転勤までの期間は短期賃貸で対処する
最初から買取で話を進める場合は、通常の不動産取引と大きな違いはありません。
転勤前に複数の不動産会社から査定を取り、売買契約を結び、引っ越しする直前を引渡し日に設定するとスムーズです。
仲介の売却期限がある場合は、買取保証付き仲介サービスを利用する
買取保証付き仲介サービスとは、仲介で売り出しをする前に買取査定額を決めておき、一定期間売れなかった場合は、不動産業者が事前に取り決めした価格で買取することを保証するサービスです。
引っ越しをして仲介で売れなかった時に、イチから買取先を探すのは手間もかかり効果的な価格交渉もできません。一度仲介で売り出してみたいけど、ローン返済や維持費の負担など、長期化すると問題がある場合にオススメです。
注意点として、買取保証付き仲介サービスで、なおかつ売り主が遠方へ引っ越しをしていると、不動産業者が仲介よりも買取した方が儲かると見込んで、販売活動をマジメにやってくれないケースもあります。
大手物件情報サイトに複数掲載したり、レインズ(不動産業者専用の売却物件共有サイト)に継続して掲載してもらうなど、販売戦略について事前に確認をしておきましょう。
仲介の売り出し価格の設定も重要で、適正相場より高い価格設定にしすぎないようにしましょう。
売却資金を早く受け取りたいなら、住みながら家を売却できるサービスも
転勤先でも家を購入したいなど、住んでいる家の売却を先に進める場合は、転勤で異動する日よりも前に家を売って、転勤までの間は短期賃貸する方法があります。
ウィークリー、マンスリーマンションなど、短期賃貸物件に引っ越しする方法もありますが、住み替えのために家を早期売却が必要なら、住みながら家を売却できるサービスがオススメです。
住みながら家を売却するサービスとは、買取業者が買い主になって家を売却して、代金の受領、移転登記を済ませてから、買取業者が貸主となって一定期間賃貸契約を結べるサービスです。賃料は発生しますが引っ越しの手間と費用をなくせるメリットがあります。
ホームページで住みながら家を売却できるサービスの案内がなくても、買取を扱っている不動産会社であれば対応してもらえるケースが多いです。まずは複数の買取業者に査定をしてもらい、転勤で引っ越しをするまで賃貸で住み続けることができないか相談してみましょう。
海外転勤の場合の対処法
転勤先が海外の場合、転勤前に売るか、賃貸、空家管理のいずれかを決めておきましょう。
海外赴任してから、空家にして仲介で家を売る場合は、売買契約に関する代理人を立てておくことと、買い手が決まったときにサイン証明書を用意する必要があります。
海外赴任すると住民票が除籍されて、印鑑証明が発行できなくなってしまいます。
サイン証明書とは、本来不動産売買契約で必要な、売り主の印鑑証明の代わりになる書類です。サイン証明書は、現地の日本大使館や日本国領事館で発行できますが、手間が増えるデメリットがあります。
なお、売り主本人が契約のために日本に帰国して手続きできる場合でも、住所を海外に移すと印鑑証明が取れないのでサイン証明書も必要になります。
以前は海外から家の売却活動をすると、国際電話とPCメールで不動産会社や代理人と連絡を取り合う必要がありましたが、近年はスマホのLINEアプリで、手軽に不動産会社の担当営業マンや代理人とコンタクトが取れるようになりました。
赴任先の時差の問題などもありますが、海外転勤でも赴任後に仲介で売りに出す方が増えています。親族など信頼できる代理人を立てられない場合は、転勤前に売るか、一旦売るのを諦める必要があります。
おわりに
転勤を機に家を売るときは、早期売却を重視して、相場よりも安く売ってしまう方が多いです。現在はネットの不動産情報サイトによる広告活動が重要なので、転勤先でも、仲介会社が適切な販売活動をしているかチェックしやすくなりました。
ただし、仲介で家を売る場合は利用する不動産仲介会社の選定が重要です。転勤の辞令が出る時期にもよりますが、転勤前に信頼できる不動産仲介会社選びはしっかり行い、買取も視野に入れるなら具体的な価格交渉も済ませておくことが大切です。
転勤前に売りたい場合は、住みながら家を売却できるサービスなど、スピードや不動産会社の対応も重視するとよいでしょう。仲介で売りきりたい場合は、買い手の住宅ローン仮審査の状況など、転勤前に引渡しまでできるかも契約前に確認しておいてください。