不動産査定では、必ず業者が登記事項証明書を取得して、正確な物件詳細を確認します。
登記情報の内容によって、査定価格が減点されたり、売却時の問題が判明するケースもあります。
不動産会社は登記情報から、どのような内容を確認して、何を基準に評価するのか調べてきました。
不動産査定で登記情報から確認すること
不動産の登記事項証明書は法務局が発行していて、第三者でも取得可能です。
登記事項証明書(謄抄本)取得費用は、次の通りです。
- 書面請求:600円
- オンライン請求・送付:500円
- オンライン請求・窓口受け取り:480円
不動産会社は、机上査定、訪問査定を問わず、必ず登記事項証明書を独自に取得します。オンライン取得も可能ですが、取得可能時間は平日の日中のみですので、査定申込を土日や夜間に行った場合は、翌営業日以降に査定価格が提示されます。
不動産査定の申込時点では、築年数、面積の情報はおおよそでも構わないというのは、必ず不動産会社が登記事項証明書を取得して、正確な数値を確認しているからです。
登記事項証明書に書かれていること
登記事項証明書は土地と建物に別れていて、以下の内容が記載されています。
■土地
・所在
・地番
・地目
・地積(土地面積)
・登記の日付
・所有者
・権利部(甲区、所有権に関する事項)
・権利部(乙区、主に抵当権の設定など)
・共同担保目録
URL http://www.moj.go.jp/content/000001918.pdf
■建物
・所在地
・家屋番号
・種類
・構造
・床面積(1階、2階、3階など各階の面積)
・登記の日付
・付属建物(倉庫やはなれなどの種類、構造、床面積、登記の日付)
・権利部(甲区、所有権に関する事項)
・権利部(乙区、主に抵当権の設定など)
・共同担保目録
URL http://www.moj.go.jp/content/000001919.pdf
■建物、区分(マンションなど)
・表題部(建物1棟の表示)
所在
建物の名称
構造
床面積
登記の日付
表題部
・表題部(敷地権の目的である土地の表示)
土地の符号
所在および地番
地目
地積
登記の日付
・表題部(専有部分の建物の表示)
家屋番号
建物の名称
種類
構造
床面積
登記の日付
・表題部(敷地権の表示)
土地の符号
敷地権の種類
敷地権の割合
登記の日付
所有者
・権利部(甲区、所有権に関する事項)
・権利部(乙区、主に抵当権の設定など)
URL http://www.moj.go.jp/content/000001920.pdf
不動産査定で重視される項目
不動産査定では、築年数と土地面積を重視されます。土地の査定価格は、面積に坪や平米数に応じた土地の相場価格を掛けて算出します。たとえば30坪の土地で、坪単価が100万円の場合査定価格は3,000万円になります。
面積は登記事項証明書では平方メートルによる表示ですが、坪数は「1坪=3.30579平方メートル」です。おおよそ10㎡で3坪ほどと覚えておきましょう。
建物に関しては、床面積よりも築年数と、新築時の建設価格、現在の状態によって評価されます。たとえば、40坪の土地に延床面積80平米で一流ハウスメーカーが2,000万円で建てた家と、同じ40坪の土地に延床面積120平米で格安ハウスメーカーが建てた家を比べると、建物が小さい一流ハウスメーカーが建てた家の方が高額査定が出やすいです。
つまり、登記情報では建物よりも、土地の価値について分かる情報が多いと言えるでしょう。
ただし一戸建てだけど2階建てで延床面積60平米以下など、ファミリー層の需要を期待できない家の場合は、登記情報のみで減点されれる場合もあります。マンションの場合は、専有部分と共有部分、建物の価値など幅広い項目が査定価格に大きな影響を与えます。
売却および再建築にあたり問題点がないか確認する
不動産売買は移転登記を行いますが、所有権が付いたり、特定の借地権付きの場合は、居住者の意思だけで勝手に売却できないケースがあります。抵当権とは家を担保にする権利で、主に住宅ローンや不動産担保ローンの融資をした金融機関が、返済不能になったときに差し押さえするために設定します。
抵当権が付いている場合は、引き渡し日に売却代金もしくは自己資金で完済できれば問題なく売却できます。ローン残債を完済できない場合は、ローン組み換えで対処できるケースもあります。不動産会社は抵当権が付いている場合は、必ず詳細を確認して、売却方法について説明してくれます。
ローンが付いている家の売却はコチラのページで詳しく解説しています。
再建築時に問題がある家と借地権付きの家は大幅減額される
古い一戸建ての場合、建築時の建築基準法の改正や用途地域の変更で、同じ大きさの建物が建てられない場合や、再建築そのものができないケースがあります。また、権利区分が所有権ではなく借地権の場合は、条件によっては安くなったり、売却そのものができないケースがあります。
借地権付きの家を売る場合と、用途地域の変更や再建築できない接道道路の問題を懸念される方は、下記のページをご覧ください。
おわりに
長年住んでいた家や実家を売る場合は、おおよその築年数や面積、再建築の問題点などは把握しているものです。私も実家を売ったときは、用途地域が変わって、再建築すると建物が小さくなってしまう旨を把握していました。
不動産会社は査定する際に必ず登記事項証明書を取得するので、査定申込する際は権利書や登記簿謄本などを探し出して、正確な数字を伝える必要はなく、おおよその数字を伝えれば問題ありません。ただし、ネットから査定依頼する際に、築年数や面積が実際の数値とあまりにかけ離れている場合は、イタズラと勘違いされて対応してもらえないケースもあるので注意しましょう。
家の登記上の問題点が全く分からないというケースでも、不動産査定を利用すれば手間と費用がかからず、家の不動産価値と登記上の問題点を確認できます。登記事項証明書は、素人では全ての問題点を把握できないので、プロの不動産会社の見解を確認するようにしましょう。