土地だけを売る場合は、建物付きの中古住宅やマンションよりも売却の流れはシンプルです。
しかし、土地ならではの売却時の注意点もあります。
土地だけを売る場合の方法をまとめました。
土地だけを売る
土地だけを売る場合でも、一戸建てやマンションと基本的な流れは同じで、仲介か買取を利用して買い手を決めて売買契約書を交わし、後日引き渡しと同時に登記手続きをします。土地だけの場合は、引き渡しのための荷物の整理や、売るためのリフォームなど、建物に関することが一切ありません。
土地だけを売る全体の流れは、以下の手順になります。
- 不動産業者の査定を受けて相談をする
- 土地の坪もしくは平米単価の相場や土地の形状、用途地域、周辺環境から適性相場や売却に必要な条件を認識する
- 売却までの期間の設定をする
- 買取の場合はそのまま不動産業者と手続き、仲介の場合は仲介業者を決めて売り出しを行う
- 仲介業者による販売活動(進捗状況の報告を受ける)
- 商談、価格交渉、条件確認 → 成約(未成約の場合は5番の販売活動に戻る)
- 不動産売買契約、手付金の受領
- 引渡し準備(買い手のローン本審査、駐車場など賃貸中の土地は立ち退きなど)
- 引渡し、残代金受領
不動産売却全般に関する手順や流れは別ページで詳しく解説しています。
このページでは、土地ならではの売却のポイントや注意点を中心に紹介しています。
土地の適正価格の決まり方
土地の価格は、「坪単価(平米単価)×土地の広さ」で決まります。坪単価や平米単価の相場は、近隣で売りに出ている土地価格や、過去の取引価格で決まります。不動産会社に、この地域の土地の相場がどのくらいか問い合わせをすれば、信ぴょう性の高い回答を得られるでしょう。念のため、複数社の見解を聞き比べてみましょう。
ここで注意しないといけないのが、土地の相場は四角く、戸建て住宅を建設しやすい土地を基準にしているということです。
旗竿地の通路になる部分や、竹林付きなどの場合は、敷地内の中で、四角く平地の部分の土地に対して土地相場で計算して、残りの部分は減額して計算されます。また、土地の形状が3角形など居住用住宅を建てるのに使い勝手が悪い家も相場より減額されます。
実際にその土地に建物を建てた時の使い勝手を考えて、どのくらいの減額になるか計算する必要があります。たとえば旗竿地でも通路になる部分が3mほどの幅があり、駐車場にして、自転車やスクーターなどが通り抜けれるくらいの道幅が確保されていれば、それほど大きな減額にはなりません。
竹林など、建物は建てらず維持管理が面倒な場合は、竹林部分がマイナス評価になってしまうこともあります。使い勝手が悪い土地は、不動産会社の査定を受けて、金額だけではなく内訳まで聞くようにしましょう。
土地は新築建売より売れにくい
土地を買う人の大半は、注文住宅の建築を目的にしています。注文住宅は建売よりも高価で、買える人が限られています。そのため、適正相場に設定をして、仲介を依頼する不動産会社が適切な販売活動をしても、長期間買い手がつかないケースもあります。
また、土地は建物の価値がないので、価格設定が適正相場よりも高いと売れる見込は低く、適正相場より安ければ不動産業者が買取や仲介会社の提携業者が買い手になって、すぐに売れます。
ちなみに私の家の近所で2,680万円で売りに出ている土地がありましたが、長期間売れ残り、その後戸建て住宅を新築して建売物件として3,680万円販売したところ、すぐに買い手が見つかっていました。すぐに売りたい場合は、建売に強い不動産会社に買取してもらう方法もおすすめです。
草刈の必要性
土地を売るときは、定期的に草刈をして綺麗な状態にすることが求められます。雑草が伸びきった管理されていない土地は、見栄えが悪く、実際の面積より狭く見えてしまいます。また、管理されていない土地は違法投棄されるリスクも高まります。
土地を高く売りたいのであれば、定期的に草刈りをして、仲介する不動産会社に、売り物件や管理地の看板を立ててもらうとよいでしょう。草刈費用は売り主負担になります。ほかにも土地を維持するには固定資産税がかかるので、売却まで長期化するとコストも高くなります。
また、基本的には土地が売れて引き渡しするときも、売り主負担で草刈りをして綺麗にしておくのが一般的です。現状販売で草刈りをせずに売りたい場合は、交渉時に買い手の了承を取り、売買契約書にも現状渡しになる旨を明記しておかないといけません。
分筆をして売る
土地を売る時は、分筆という選択肢があります。分筆とは1つの土地を2つ以上に分けることで、広い土地を売りたい場合に効果的です。分筆するには、接道義務や日当たりなどを考慮する必要があるので、専門家と相談しながらどうやって分筆するのか決めましょう。
住宅街など平均的な所得の人から人気のエリアであれば、分筆してから売った方が、手間と完売するまでの時間はかかりますが、総額で見て1筆(ひとつの土地)で売るよりも高くなるケースが多いです。
広い土地で分筆を検討している場合は、多くの不動産会社から査定を取って、分筆して売りに出すことによって得られる利益の想定額を聞いてみましょう。
貸している土地を売却する
駐車場や近隣業者への資材置き場として貸している土地は、契約期間を設けているものです。それでも買い手が現れれば、借主に交渉することで、引き渡し日までに退去してもらう条件で売りに出せます。
私は以前、自宅の目の前の月極駐車場を借りていましたが、売ることになったので契約満了期間前だけど出て行ってくれと言われたことがあります。その時は、退去期限までの賃料を2ヶ月分無料にすると提示されて応じました。
家の目の前にあった駐車場で、100m離れた月極駐車場に移る必要があったので出ていきたくない気持ちもありましたが、借りている土地を売ったと言われると応じるしかありません。ほかで月極駐車場を借りるための仲介手数料など、初期費用はかかりましたが、賃料2ヶ月無料を考慮すれば妥当だと思います。
このように借りている土地を売るには、借主に賃料無料の特典を付けることで対処できます。念のため、売買契約書には退去ができなかった場合は無効にするか、契約満了期間まで引き渡し日を伸ばす特約をつけておきましょう。
空き地として保有する場合も固定資産税がかかるので、「希望価格でなければ売りたくない」と長期戦を確保している場合は、月極駐車場や資材置き場として賃貸にして運営しながら売る方法もオススメです。空き地を賃貸に出す場合は、近隣の地域密着型不動産に相談するとよいでしょう。
本測量と境界交渉は先にしておく
長年所有している土地は、登記情報で土地の面積が記載されていても、本測量をすると差が発生して登記面積が変動することがあります。また、境界が打っていない場合や、何十年も前に打った境界がなくなっていることもあります。
本測量と境界交渉、境界打ち直しは中古戸建と同じで、必ず売り主負担で行う義務はなく、現況販売することも可能です。しかし、土地だけで売る場合は、本測量をして境界が明確になっていないと売りにくいです。
建物付きの中古住宅や、古家付き建物であれば、買い手が見つかってから本測量をしてもいいですが、最初から土地だけで売るのであれば先に本測量や境界打ち直しなどを行い、本測量済み物件として売り出した方が買い手が見つかりやすいメリットがあります。
本測量の費用は面積や環境、境界交渉にもよりますが、25万円〜50万円が相場です。状況や利用業者によっては100万円以上の費用がかかることもあるので、事前に見積もりを取っておきましょう。
本測量や境界打ち直しの必要性が分からない場合は、不動産会社に査定依頼すれば、登記情報や現在の境界を見て適切なアドバイスをもらえます。
おわりに
土地は建物がないので売るのも簡単と思われがちですが、文筆や管理など、土地ならではのポイントも様々あります。また、仲介に出しても中古住宅よりも成約までの期間がかかりやすいです。
土地は中古住宅に比べて仲介での売却相場と買取価格の差が少なくなるので、一括査定を利用して買取査定額の比較を行い、買取価格の最高値を確認しておきましょう。土地は売却まで数年かかるケースもあり、固定資産税を負担し続けるのであれば、少し希望価格より安くても買取で売ってしまう方法もあります。
また、自己資金に余裕があれば、新築の建売住宅として売った方が早期かつ高値で売れるケースもあります。建売の場合は、不動産会社や建設会社(ハウスメーカー、工務店含む)のセンスが求められるので、慎重に依頼先を検討しましょう。
土地だけであっても、適正相場通り簡単に売れるわけではなく、管理や売り方、アピール方法によって売却までの期間や成約価格が変わります。戸建てやマンションなどと同じように、複数の不動産会社から査定を取って、見解を聞き比べてみることが大切です。