ブルさんブルさん

私は2016年1月に家を売りました。
土地の用途地域の変更や、狭い土地という問題もあり、一括査定を利用してみても買取査定額の返答は非常に厳しいものでした。
前回の体験談の紹介では、買取査定を受けた結果までの紹介をしましたが、今回はその後の売却先が決まるまでの体験談を紹介します。

前回の記事は:家を売った体験談①買取査定を受けた結果

一括査定の後は不動産業者5社と交渉

一括査定では10社ほどに依頼をして、前向きな回答および継続して話を進められたのは、わずか3社でした。その後さらに2社と関わり、家を売却するまでには、合計5社に相談しました。

それぞれの不動産業者の特徴は次のような感じでした。

T社
・キッカケ:一括査定
・会社規模:県内を中心に複数店舗展開。最寄り拠点に営業スタッフが10名以上在籍の中堅
・特徴:不動産の売却よりも購入相談に積極的。売却も業者を中心に探してくれました。

C社
・キッカケ:一括査定
・会社規模:1店舗のみの小規模業者
・特徴:投資家を多数抱えていることをアピール。非公開で買い手を探してくれる

F社
・キッカケ:一括査定
・会社規模:関東に複数店舗展開する大手
・特徴:買い取りに対しては他の業者よりも積極的。非公開での売却には消極的

S社
・キッカケ:折込チラシ
・会社規模:全国展開の大手
・特徴:地域に強い、非公開に強いとアピールするも、依頼した結果は顧客紹介なし

R社
・キッカケ:購入した2世帯物件を扱っていた
・会社規模:全国展開の大手
・特徴:専任、業者の紹介、仲介など幅広い分野で強く、担当営業マンもベテランで信用できる

購入物件を先に探しながら、非公開で売却先探しを継続

それぞれの買取査定の結果は600万円~700万円ほど

F社に関しては、「すぐに成約してくれるなら本部に相談して、800万円~900万円くらいの交渉ができるかも」といった雰囲気がありました。売却物件の立地だけはいいので、査定額に納得もできず、やはり仲介でないと売るのが厳しいという結論になってきました。

しかし、実家に親が住んだまま、売り物件として広告を出すことには抵抗がありました。家の近くは築50年以上の家も多く、大半は10年以上住んでいる高齢者のため近所付き合いも複雑な部分が多く、悪い噂が広がることを懸念しました。

その結果、「先に私と妻の名義でローンを組める家(2世帯)を購入し、親も呼んで実家を空家にしてから売りに出そう」という考えが本線になりました。

また、早い段階でT社からは、コインパーキングを運営している業者なら、1,000万円くらいで買ってくれるかもしれないという話も頂けました。この時点で買取という選択はなくなり、非公開で業者や投資家など、不動産屋が抱える既存顧客を中心に買い手を探してもらうことになりました。

なお、購入物件探しについては、T社の営業マンが熱心に対応してくれて、合計で40件以上の物件を一緒に内覧しました。営業マンは話も面白い方で、内覧で一緒に過ごしている間に、妻とこの人から家を買いたいし、売りたいねという話になっていました。

非公開での売却の反響

購入物件の紹介に積極的だったT社からは、1,000万円くらいでコインパーキングの業者の紹介が可能かもという話。ほかにも案件の紹介はありましたが、業者が相手だと1,000万円くらいがいいとこという話でした。

投資家の紹介を得意にしているC社は実際に2件ほど、内覧希望のお客さんを連れてきてくれました。ほかにも、店舗運営希望の業者の話も紹介してくれて、1,200万円くらいであれば交渉できるかもしれないという話を持ってきてくれました。

買取に積極的だったF社は、非公開物件の話はほとんどなく、疎遠になってしまいました。

T社からの営業の影響もあり、先に購入物件を決めて仲介で売ろうという意思が強まったことや、「仲介で個人を相手に売りに出せば1,300万円以上にはなるだろう」という希望条件が新しくできて、結果的に非公開で話が前向きに進むことはありませんでした。

非公開での話が行き詰まっていた中で、S社の折込チラシに興味を持ちました。以前から何度も同様の折込チラシを入れている業者だったのですが、この地域の物件に強く、購入希望のお客が多数いるという内容。予算3,000万円で物件を探している顧客情報など、具体的な買い手情報の記載もありました。

某財閥系の大手業者だったこともあり、信用できそうだったので問い合わせをしたところ、非公開で売るにも一般媒介で契約しないと話を進められないとのことで、時間を作って一般媒介をしました。ほかの業者は非公開での案件紹介であれば、一般媒介の契約なしで話をいただくことができましたが、大手なのでキッチリしている印象でした。

一般媒介の契約をした後は1ヶ月ごとに進捗の報告書が届きました。ただ、いろいろと問題もある物件だったため既存顧客からの反応はなく、「折込チラシでもいいので広告を出させてくれ」という提案が中心になりました。

無断でネット掲載される

各社が非公開での売却では厳しいと口を揃える中、投資家の紹介を得意にするC社からは、定期的にお客の紹介や内覧希望の話を頂きました。
話を進めていく中で、最低ラインとして1,290万円くらいなら考えてもいいと伝えると、内覧した客からは1,230万円での購入申込書をもらうこともできました。悩みましたが、1,290万円以下ですぐに決めるのは得策ではないと思い、断ることにしました。

こうしたやり取りをしていく中で、購入物件探もしていたこともあり、なんと実家がネットで売りに出ている情報を発見します。売りに出していたのはC社で、家の外観など写真付きで紹介している始末。慌ててC社に連絡してクレームを言いました。

C社からは「1,290万円で公開していいって言いましたよね?」と強気な対応。言った言わないのやり取りを進めてもしょうがないので、すぐにネット掲載を取りやめるように伝えて対応してもらえました。私の中でC社の信用はなくなりました。またC社からはその後お客を紹介してくることはありませんでした。

思い返せば非公開と言いながら、ネット広告でお客を探していたのでしょう。小規模業者はこうした粗悪な対応をすることもあるので、不動産の売却は信頼できる業者を選ばないといけないと実感しました。

中古住宅の購入

T社と一緒に進めていた購入物件探しも、なかなかこれだという物件がなく苦戦していました。T社が抱える物件だけでは難しく、私がネットで探した物件をT社に案内してもらうケースが増えていきました。公開している売り物件は、どの不動産業者でも購入仲介することが可能みたいです。

こうした中でR社が専任で扱う、セミ2世帯の中古物件に興味をもちました。立地や広さ、設備、綺麗さなど、これまで見たどの物件よりも条件が良く、ほぼ購入意思が固まりました。あとは、価格交渉になるのですがR社の専任物件のため、T社に相談しても一切値引きには応じられず、売りに出している価格での提示になるとのことでした。

T社の営業マンは、R社に直接足を運び頭を下げたけど応じてくれなかったとのことでした。これまでお世話になったT社から購入したい意思も強いのですが、数百万円単位で購入価格に差が出るのであれば、なかなか人情だけでは決断できません。

T社に事前に声かけした上でR社にも相談をしたところ、すぐに買ってくれるなら100万円は安くするとの回答をもらいました。もともと、当初の売り出し価格より200万円安くした直後ということもあり、100万円の値引きが限界とのことでしたが、交渉を進めて最終的には150万円の値引きで購入を決めることにしました

売り物件の仲介先選びと即決売却の経緯

先に私と妻で新しい家に引っ越しをして、実家も荷物はだいぶ残っていますが、売りに出せる状態になりました。実家に住んでいた親も引っ越しできる家を決めたので、広告を出して大々的に売りに出すことにしました。

仲介を依頼する業者の候補としては、T社、R社、S社の3社です

購入物件探しでお世話になったのに、依頼ができなかったT社に真っ先に声をかけました。T社であれば専任でもいいと伝えたのですが、T社からはうちは一般媒介しかやっていないと回答がありました。てっきり不動産業者はどこでも専任で依頼すれば喜ぶと思っていたのですが、そういうわけではないようでした。
T社は購入に比べて売却の仲介には消極的で、その後契約書類を作って連絡すると言われたまま、10日ほど連絡がありませんでした。

続いて声をかけたのは、購入物件でお世話になったR社です。R社からは専任媒介を強く提案され、専任であれば仮測量をサービスすると案内がありました。実家は隣の家と隣接していて、境界も定まっていなく排水枡が明らかに境界をまたいでいる問題点もありました(下写真)。測量に不安要素もあり、仮測量は魅力的だったのですが、ここでR社に専任で依頼するとT社に申し訳ないという気持ちもあり、一般媒介でお願いすることになりました。

すぐにR社と一般媒介契約書類にサインをすると、営業マンから「実は、このタイミングで言っても怒られるのかもしれないですが・・・」と前置きをして、1,400万円での購入申込書を提示してくれました。買い手は小規模不動産業者で、署名と印鑑も入ったものでした。

経緯を聞くとR社の支店とは長い付き合いがある不動産業者で、私の実家の通りにも管理しているビルや月極駐車場を持っているところです。私が実家に住んでいたときには、その不動産業者が管理している月極駐車場を利用していたので、業者名を見てすぐにピンと来ました。

購入を決めたのは、すでに第一線を退いている会長で、狭小住宅の再販を得意にしているとのことでした。解体、戸建として再建築すると1,400万円で買っても赤字になる計算だけど、現在趣味で通っている美術大学の卒論テーマにするために購入したいとのことでした。ほかの不動産業者が買わないような物件を、アイデア設計で魅力的な家に建て替えするのに最適な物件で購入を決めてくれたようです。

ちなみに仲介として広告を出して売りに出す場合は1,600万円に設定して、値引きを含めて1,400万円~1,500万円を目標に考えていました。最低ラインをクリアしていることや、個人に売ると境界や古家を使うとなったときに、いろいろとトラブルが起こりそうだと不安を感じたこと、これまで散々非公開で売却相談した中で1,400万円は非常に良い条件だったこともあり、前向きに検討することにしました。

R社からは、紹介する不動産屋の会長も男気で破格の条件を提示しているし、待たせると気持ちが変わるかもしれないので、翌日には回答してほしいと期限を設けられました。家族に相談したところ、全員が1,400万円になれば十分だという回答。

念のため、T社とS社に電話で、今こんな話が来たと相談したところ、「この条件の家で1,400万円は破格だから決めた方がいい」と2社から後押しになる回答があったため、R社が見つけてきた地元の不動産業者に1,400万円で売ることにしました。

ちなみに、境界が一部決まっていなかったため、測量をした平米数に応じて、価格を微調整するとのことで、最終的には13,968,793円になりました。ネットなどで広告を出したら、どれほどの反響があったのか気になる部分もありますが、時間と手間がかかりトラブルリスクも増えることを考えれば1,400万円の売却で満足しています。

まとめ

  • 非公開での買い手探しは、当初不動産業者から強気な説明があるが、意外と反響が少ない
  • 多くの不動産業者に声をかければ、良い買い手を紹介される確率が上がる
  • 小規模業者は約束を破ってネット掲載するなど非常識な行動を取ることがある
  • 不動産を売るには時間と手間がかかる
  • 古い家は本測量されていないことが多いので注意が必要
  • 非公開での売却依頼をすると、その後連絡が途切れる業者も出てくる
  • 業者によって専任を受け付けないところもある

次回予告

次回は不動産の売買契約から引渡しまでの体験談について紹介します。

家を売った体験談③契約から引渡しまでの流れはこちら