
光触媒塗料は、最高級の外壁用塗料のひとつです。私が前回外壁塗装をする際は、シリコンか光触媒にするか悩みました。
光触媒塗料を候補に残して検討した理由は、私が依頼した業者からは、現在もっとも優れた塗料で耐久性も高いと説明をされたからです。結果的に前回の外壁塗装はシリコン塗料を選びましたが、次回塗り替えをする時には再度検討候補に入れる予定です。
光触媒塗料について、業者からは高価で耐久性が高いとしか説明をされませんでしたが、高機能の理由やデメリットがないか調べてきました。
光触媒塗料とは
光触媒塗料の特徴は次のものがあります。
- 太陽光で外壁についた汚れを分解して浮き上げる
- 防カビ・防藻効果が高い
- 大気洗浄効果がある
光触媒塗料の最大の特徴は、汚れを分解して雨で洗い流すセルフクリーニング効果です。汚れの分解機能は他の塗料にはない光触媒だけの機能です。さらに、防カビ・防藻効果も他の塗料を圧倒する高い効果と持続性が実証されてます。
セルフクリーニング効果と防カビ・防藻効果で、20年を超える高い耐久性と、長期間外壁の外観を綺麗に保てるメリットがあります。
また、塗料が樹木や植物と同様に大気洗浄して、二酸化炭素(CO2)などを分解して空気を綺麗にする効果があります。大気汚染の環境問題でも注目されている注目塗料で、家の周りの空気を綺麗にできます。
光触媒塗料の費用
光触媒塗料は、塗料そのものが高価なだけではなく、施工に手間がかかるため、職人の技術料も高くなります。業者によって費用の幅が大きいですが、おおよその目安として、塗料+施工料でシリコンの2倍、フッ素の1.5倍ほど高額になります。
20年以上の耐久性を確保するには、技術力が高い業者に依頼しなければいけません。また、塗装が難しいため、取り扱いがある業者が限られています。
光触媒塗料にも複数の種類がある
光触媒塗料はTOTOが開発をして、その後複数の塗装メーカーも取り扱うようになりました。最も有名な塗料はTOTOの「ハイドロテクトECOーEX」です。TOTOの中でも複数の光触媒塗料があり、そのほかのメーカーからも多数の光触媒塗料の種類があります。
光触媒塗料は、シリコンやフッ素、アクリルなどの樹脂の種類ではなく、特殊な光触媒成分を配合した塗料です。人気が高いハイドロテクトECOーEXは高価で、20年以上の耐久性を誇りますが、安価で耐用年数15年前後の光触媒塗料もあります。
つまり、光触媒塗料であれば、何でも良いのではなく、信頼できるメーカーの実績がある塗料を選ばないといけません。光触媒塗料を使用した安い外壁塗装の見積りが出てきた場合は、塗料の種類や塗装業者の施工実績を確認しましょう。
私が光触媒塗料を選ばなかった理由
私が前回の外壁塗装で光触媒塗料を選ばなかった理由は、業者からのオススメ度が低かったからです。
私が利用した業者からは、次のように光触媒塗料の説明がありました。
- まだ発売されて間もない塗料なので、本当に20年以上の耐久性があるか不透明
- 新しい塗料で普及率も低いため、現時点では割高感がある
高価でも、高機能で耐久性が高ければ選ぶ価値があると思い興味を持ちましたが、上記の説明があれば消極的になります。
私からは次のように質問しました。
「今回シリコンで塗装して10年〜15年後に塗り直す時には、光触媒塗料はもっと安くなっていますか?」
業者の方は、将来の事はどうなっているか分からないと前置きしつつ、人気が出て普及率が上がれば当然、価格が下がっていくと回答がありました。
新しい物好きの方や、最上級品にこだわる方であれば利用価値が大きいと思いますが、私は費用対効果を最優先に考えていました。無理に今回は選ばず、10年ほど様子を見て次回の塗り替えの時に再度検討しようと思いました。
光触媒塗料のデメリット
光触媒塗料について調べていくと、セルフクリーニング機能など、ほかの塗料にはない機能があり、メーカーの検証データでも耐久性については信頼性が高そうです。
費用が高いデメリットがありますが、良い塗料と腕がある職人に依頼すれば20年以上の耐久性を期待できるので、割高感もそれほど高くありません。
しかし、光触媒塗料を選ぶには、ほかにもいくつかのデメリットや注意点がありました。
屋根用の光触媒塗料がない
外壁だけを光触媒塗料を使って20年以上の耐久性を期待しても、屋根が10年〜15年で塗装の寿命を迎えてしまえば意味がありません。
角度が緩やかで足場不要で屋根塗装の作業できる家なら大きな問題はありませんが、屋根の塗装をするのに足場が必要な家は、屋根も20年以上の耐久性が期待できる高級塗料を選ばないといけません。
同じ光触媒塗料を屋根にも使用できれば、すこしは期待できますが、現時点では屋根用に光触媒塗料がありません。光触媒塗料を提案する業者は、屋根にはフッ素樹脂系の塗料を推奨します。
フッ素樹脂系塗料も高級品であれば15年〜20年ほどの耐久性を明記していますが、屋根は紫外線の影響が大きく汚れもたまりやすいため、外壁の2倍近く劣化が早いと言われてます。
「外壁に光触媒塗料、屋根にフッ素樹脂系高級塗料を使用すれば20年は塗り替え不要」と、業者から説明されても鵜呑みにしてはいけません。
大きい汚れは落とせない
光触媒塗料のセルフクリーニングでは、太陽光で汚れを分解して雨で洗い流します。しかし分解できる汚れは、風で飛んでくるチリやホコリ、雨に付着している酸化成分など小さい汚れです。
鳥の糞など大きい汚れはセルフクリーニング高価で綺麗にならないので注意しましょう。建物に密着して木がある樹液が付着しやすい環境などは光触媒塗料の適性がありません。
また、大きい汚れを落とせない特性もあり、地面に対して90度で大きい汚れが付着しにくい外壁に対応できても、大きい汚れが残りやすい屋根用塗料が発売できない事情がありそうです。
光触媒塗料の施工は技術力が必要
光触媒塗料は、塗装の最終仕上げの段階で、低圧吹き付け機という霧状に液剤を噴射する道具を使ってコーティングをかけます。ローラーで塗っていく通常の塗装とは違い、塗装職人に高い技術力を求められます。
霧状にして均等に壁にコーティングするには、風が少ない日を選ばないといけません。風が強い日に強引に作業したり、塗装職人の技術力不足でコーティングに厚い所と薄い所などムラが出ると、本来の高い汚れ分解効果や高耐久効果が薄れます。
技術力があり、慎重に時間をかけて作業する塗装業者を選ばないと、メーカーが推奨している耐用年数より塗料の劣化が早まります。
日当たりや雨がかかる環境が必要
光触媒塗料が他の塗料より優れているのは、汚れを太陽光で分解して雨で洗い流して、外壁の表面を清潔に保てる点です。光触媒塗料の効果を発揮するには、太陽の光が建物全体にしっかりあたって、分解した汚れを雨で洗い流せる環境が必要です。
隣の家や建物との距離が近い場合や、商業地域で背が高い建物が多いなど、日当たりが悪い環境では光触媒塗料の効果が薄れてしまいます。
補修が難しい
光触媒塗料は、他の塗料との密着性が非常に悪いです。塗装後に不具合が出て部分補修したり、次の塗り替え時期で光触媒塗料の上から下塗りをする時には、追加で下処理の手数料が発生する場合もあります。
また、光触媒塗料を塗ったあとの補修や塗り替え時には、腕が良く丁寧な作業をする業者を選ばないと、下地処理が不十分になって、新しく塗り替えた塗装の耐久性が低くなってしまう場合もあります。
おわりに
光触媒塗料について調べてみた結果、前回の外壁塗装時に業者から受けた説明以外にも、たくさんのメリット・デメリットがある事を知りました。新商品だから割高感があり高価になっているだけではなく、施工技術やセルフクリーニングに適している環境の問題がある事を知りました。
もしかしたら、私が前回外壁塗装をした業者が光触媒塗料を強く勧めなかったのは、職人の技術力に不安があったのかもしれません。
私は次回外壁塗装時に光触媒塗料を候補に入れようと考えていましたが、私の家は近隣商業地域で隣の家とのスペースが狭いので、慎重に検討しないといけません。また、現時点では光触媒塗料と同等の耐久性がある屋根用塗料がないのも大きな問題点だと感じました。
汚れを分解して雨で洗い流すセルフクリーニング高価は素晴らしい技術です。今後デメリットの対策がしっかりできれば、人気が高まる将来性の高い塗料だと思います。