外壁には、モルタルやサイディングなど家によって使用している材質が違います。
外壁の種類によって、特性が異なりメンテナンス方法も変わってきます。
ここでは、外壁の種類について詳しく調べてきました。

なお、外壁材にあった塗料選びについては、こちらのページで紹介しています。
外壁材に合った塗料選びの基本

外壁の種類

外壁の種類は次のものがあります。

  • モルタル
  • 窯業系サイディング
  • 金属系サイディング
  • 木製サイディング
  • ALC
  • タイル
  • 土塗り
  • 羽目板
  • その他セメント系

外壁は30年前まではモルタルが主流で、全体の7割を占めていました。近年では、窯業系サイディングの品質が向上しコストも安くなった事で、新築住宅の8〜9割ほどのシェアを占めています。

新築でもモルタル外壁は2番目に需要が高く、次いで金属系サイディン、ALCと続いています。

モルタル

モルタルとは、セメント(石灰水)に砂を混ぜて練り上げたものです。コンクリートとは違い、砂利が入らないので施工性が良いのが特徴です。

かつては戸建住宅の外壁として広く使用されていましたが、コストが高く、施工後に亀裂が入りやすいデメリットがある事や、窯業系サイディングの性能が上がった事で、新築の標準工法にされる事が少なくなってきました。

築15年以上の戸建住宅では、モルタル外壁を使用しているケースが多いです。モルタル自体が乾燥伸縮に弱く、ヒビ割れを起こしやすいので、塗り替え時には適切な下地処理と弾性塗料で下塗りを塗るなど、モルタルならではの作業の注意点があります。

〜モルタルのメリット〜
・下地サイディングのようにつなぎ目が浮き出ない
・耐熱効果がある
・デザインの自由性がある
・高級感がある
・大地震が起きても倒壊しにくい(耐震性はあるが、地震でヒビ割れを起こしやすい)
・強度が強い(台風などで飛来物がぶつかっても、外壁が欠損しにくい)

〜モルタルのデメリット〜
・コストが高い
・施工期間が長い
・需要が減った事でモルタル外壁に強い施工業者が少なくなった
・ひび割れを起こしやすい
・重い

窯業系サイディング

窯業系サイディングとは、粘土、砂、セメント(石灰水)などの非金属原料を、高熱処理でパネルにして貼り付ける外壁です。窯業(ようぎょう)とは、非金属系の材料を窯で高温処理する事を意味しています。

外壁材で使用されるようになった当初は、半永久的に使用できる外壁材と言われていましたが、つなぎ目から吸水するため、定期的なメンテナンスが必要です。30年前に比べて、低価格で品質が良く改良されたため、現在でも新築住宅で8〜9割ほどのシェアを得ています。

軽くて、耐震性・耐久性に優れていて、様々なデザインのサイディングがあります。サイディング材によっては、劣化が目立ちにくいですが、表面の塗膜がなくなると吸水することや、つなぎ目のシーリングが劣化するので、見た目が綺麗でも定期的なメンテナンスをする事が求められます。

窯業系サイディングは熱を吸収しやすいので、夏に家の中が高温になる問題がありましたが、近年は木造住宅の断熱材の質が向上した事で、窯業系サイディングの熱を吸収しやすいデメリットを補えるようになりました。

〜窯業系サイディングのメリット〜
・工場生産のため、安くて品質が安定している
・耐久性・耐火性に優れている
・施工が簡単
・修繕が簡単

〜窯業系サイディングのデメリット〜
・塗膜がなくなると一気に劣化する
・表面温度が高温になりやすい
・シーリング(つなぎ目)の劣化も考慮しないといけない
・張替えが必要など劣化が著しいとメンテナンスのコストが高い

金属系サイディング

金属系サイディングは表面をスチール板、裏側に断熱材などを使用した、金属系素材を使用したサイディングです。現在は金属系サイディングはガルバリウムと呼ばれるアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板が主流です。断熱効果が高く、耐久性・耐熱性に優れている高機能の外壁材です

金属と聞くと重たいイメージを持たれる事が多いですが、軽量のスチール板を使用しているので窯業系サイディングボードより軽い商品が多いです。機能面では優れていますが、施工料金が高く、サビが発生するなどメンテナンスをしっかり行う必要があります。

また、金属系サイディング用の外壁塗料は耐久性が長い商品が少なく(一般的に最長10年)、重ね張り(カバー工法)で新しいサイディングボードを付けるメンテナンス方法が主流です。

〜金属系サイディングのメリット〜
・断熱効果が他の外壁材より圧倒的に優れている
・耐熱性が高い
・耐震性に優れている
・高級感がある
・軽い

〜金属系サイディングのデメリット〜
・施工コストが高い
・表面に傷が付きやすい
・サビが発生する
・酸性雨や潮風など塩害被害を受けやすい

木製サイディング

木製サイディングは名前の通り、木材を使用したサイディングボードを使用した外壁材です。木材サイディングやウッドサイディングと呼ばれる事があります。燃えやすいので、都市計画における防火地域では使用できないなど、建築条件の制限を受けます。

機能性では窯業系や金属系のサイディングに劣りますが、木製ならではの風合いなどデザイン性が魅力です。気になるメンテナンスですが、塗装された木材は5年に1回ほどのペースで塗り替えが必要です。

無垢材であれば、30年〜50年はノンメンテナンスと言われていて、経年劣化によって味が出ていきます。ただし、外壁のメンテナンスが不要でも、施工コストが高く屋根や雨樋などの付帯部は、足場を組んで塗り替えなどのメンテナンスが必要になります。

〜木製サイディングのメリット〜
・ほかの外壁材にはない風合いがありデザイン性が良い
・無垢材を使用すればメンテナンスが原則不要

〜木製サイディングのデメリット〜
・耐火性に弱く、使用できる建築条件が限られる
・塗装された木製サイディングは小まめなメンテナンスが必要
・施工コストが高い
・補修コストが高い

ALC

ALCとはセメント、硅砂(けいさ)、石灰に発泡剤(アルミ粉末)を入れて、高温高圧蒸気で養生して作られた外壁材です。軽量気泡コンクリート板とも呼ばれていて、コンクリートより軽くて保湿性が高いメリットがあります。

コンクリートは耐久性が高いが重たいという欠点を克服するために開発されて、重量はコンクリートの4分の1ほどです。また、アスベストを含んでいないので環境や人にも優しいです。

ただし、軽量化した事で強度が弱く、気泡を含んだ素材なので、塗膜がなくなると吸水しやすいデメリットがあります。メンテナンスを怠ると劣化スピードが早くなるので、塗料の寿命がくるよりも前にメンテナンスしてあげる必要があります。

〜ALCのメリット〜
・工場生産のパネルなどで施工期間が短く料金が安い
・軽いので住宅への負担が少ない
・断熱性が高い
・耐火性が高い
・防音性に優れている

〜ALCのデメリット〜
・吸水性が高くメンテナンスを怠るとすぐに劣化する
・パネルの貼り付けなのでシーリングのメンテナンスも必要
・ヒビ割れを起こしやすい
・強度が弱い

タイル

タイルはレンガなどのタイル素材を貼り付ける外壁材です。サイディングに比べてもタイルの方が厚みがあり、原則シーリング材を使わないのでメンテナンスも楽です。タイルのメリットは耐水性と強度に優れていて、北海道や東北・北陸などの豪雪地帯でよく使われています。

基本的にはヒビ割れなどの不具合がなければ、塗り替えなどのメンテナンスも不要です。昔からある外壁材ですが、機能面では窯業サイディングに比べても優れている点が多数ありますが、施工コストが高いのが難点です。

〜タイルのメリット〜
・耐水性が高い(雪にも強い)
・強度が高い(傷が付きにくい)
・高級感がある
・原則塗り替え不要

〜タイルのデメリット〜
・施工コストが高い
・施工業者の技術力によって品質が変わる
・日陰ではコケが発生しやすい
・タイルが剥がれてしまう事がある(部分補修可能)

土塗り

土塗り壁は、昔からある技法ですが、現在は高級住宅など、ごく一部での使用に限られています。耐火性に優れていて、最新の窯業サイディングなどの住宅とは一風変わった外観になるのが特徴です。専門の職人に施工してもらい、施工期間が長いデメリットがあります。

羽目板

羽目板とは、壁や天井に貼る木製のパネル製の板のことです。木製サイディングとは違い、ボードに木材を組み合わせたものではなく、単純にカットして加工した木を貼ります。飲食店の内装に使われることが多く、外壁では無垢の木を使用するなど高級な注文住宅で採用されることが多いです。

羽目板の上からサイディングボードを貼り付ける方法などもあり、もともとは土壁の上に保護する外壁材として使用されていました。

その他セメント系

RC(鉄筋コンクリート)や、コンクリートの打ち放し仕上げなどの外壁があります。木造住宅以外では、セメント系の外壁を使用することが多いです。工期がかかり、最近では職人が少なくなったことで一般的な外壁ではありませんが、高級感が多く一部の注文住宅で使用される方がいます。

打ち放し仕上げの場合、コンクリート自体が水を通すので撥水剤を塗る必要があります。黒ずみなど汚れが目立ちやすく、塗り替え時には下地処理から丁寧な作業をしないと綺麗に仕上がりません。

おわりに

私の家は、モルタル外壁を使用しています。前回外壁塗装をした際は、新しい家に憧れて、サイディングへの張替えに興味をもちましたが、コストやサイディングもメンテナンスが必要なことを知って断念しました。

もし、今後新築を建てる事があれば、窯業系サイディングなど、その時代で人気が高い外壁材を選ぶと思います。

外壁の種類はリフォームで変更することもできますが、コスト面で現実的ではありません。私はすでに持ち家なので、モルタル外壁の特性を理解して、ひび割れ対策を意識しながら外壁塗装でメンテナンスを繰り返していきます。