家のメンテナンスは、外壁の劣化に目が行きがちですが、実は外壁よりも屋根の方が雨や紫外線の影響を受けるため、メンテナンスの重要性が高いです。
屋根は素材と形状で様々な種類があります。
ここでは、屋根の種類について調べてきました。

屋根の種類

屋根の種類は形状と材質の2つのポイントがあります。

屋根の形状一覧

  • 切妻屋根
  • 招き屋根
  • 片流れ屋根
  • 入母家屋根
  • 寄棟屋根
  • 方形屋根
  • 陸屋根
  • 越屋根

屋根の材質一覧

  • ストレート系
  • 粘度系
  • 金属系
  • セメント系

屋根の形状の種類

屋根は形状によって特性やメンテナンスの注意点が異なります。
戸建住宅で採用されている主要な屋根の種類と特徴・メンテナンスの注意点をまとめました。

切妻屋根

切妻屋根とは、屋根の中央に大棟(柱)が入っていて、そこから左右に屋根が伸びる、一般的な3角形の形状の屋根です。2面の3角屋根と表現すると分かりやすいです。

構造が単純で、メンテナンスもしやすく雨漏れリスクが少ないです。

招き屋根

招き屋根とは、切妻屋根の一方を長く、一方を短くして、屋根の始点(上部)が異なる形状の屋根です。近年流行している屋根で、ロフトがあり、ロフトの窓から短い屋根が見える形状の家が多いです。片流れの屋根の下に短い屋根が付いていると表現することもできます。

屋根の高さが段違いになっているので強風に強いですが、短い方の屋根の頂点と外壁(主にロフト部分)の繋ぎ目をしっかりケアしないと雨漏れが起こりやすいです。

片流れ屋根

片流れ屋根は外壁のどちらか一方の側面上に屋根の頂点があり、そこから斜めの一本線のように一方の傾斜のみになっている屋根です。新築で採用される事が増えている屋根で、ロフトや吹き抜け天井との相性が良いです。

構造が単純で、主に一枚板なので雨漏れのリスクが少ないですが、雨水が一方に集中して流れるので雨樋が傷みやすいデメリットがあります。

入母家屋根

入母家屋根とは、切妻屋根と寄棟屋根の特性を併せ持った屋根で、小さい3角の屋根の周りに大きな屋根が広がる形状です。お城や古い瓦住宅に採用されている、屋根を想像していただければ分かりやすいです。

メンテナンスは切妻屋根と寄棟屋根とほぼ同じですが、構造が複雑なため、補修作業が必要になると、工事費が高額になる事が多いです。古い瓦住宅の家に多く、新築で採用される事は減っています。

寄棟屋根

寄棟屋根とは、屋根の最上部から4方向に分かれている形状の屋根です。切妻屋根のように、屋根の頂点に大棟(柱)が入っています。大棟(柱)が短く、台形の面の屋根が2面、3角形もしくは3角に近い台形が2面で構成されています。

最近の新築住宅で採用される事が多い屋根の形状です。

屋根の面の繋ぎ目がY字に3点交差するため、屋根の接合部(かき合い)から雨漏れする事が多いです。構造が若干複雑なため、切妻屋根より僅かにメンテナンス費用が高くなります。

方形屋根

方形(屋根)は一つの頂点から4面にかけて広がる屋根です。三角の板を4枚合わせた形状になっています。
特徴や注意点は前述の寄棟屋根と同じです。

陸屋根

陸屋根とは屋上がある家など、陸のように地面に水平な屋根です。豪雪地帯では雪の影響が大きいので、鉄筋コンクリート構造の家で採用されています。平野部では、木造住宅でも陸屋根が採用される事もあります。

屋根に傾斜がないため、雨風や雪、紫外線の影響を受けるため、メンテナンス費用が高く、不具合のリスクも大きいです。

越屋根

越屋根とは、屋根の上に小さい3角の屋根を組み合わせた形状です。一般的な越屋根は大きい面の屋根が2面あり、その上に小さい面の屋根が2面あります。

ロフトや吹き抜け天井を設置して、採光や風通しを目的にしています。屋根構造が複雑なので、雨漏れのリスクが高く、施工やメンテナンスも高額になりやすいです。

屋根の材質一覧

戸建住宅の屋根はストレート系、粘度系、金属系、セメント系の4つのいずれかに分類されています。屋根の種類は非常に豊富で、それぞれの系統から複数の材質の屋根があります。

屋根は素材によって、特徴やメンテナンスの注意点が異なります。

ストレート系屋根の特徴

ストレート屋根は、もっとも多くの家で採用されている材質です。ストレート屋根はコロニアルと呼ばれる事も多いです。コロニアルとは、クボタが出した塗料の商品名で、全国で普及したため、コロニアル=(化粧)ストレート屋根の名称で浸透しています。

同様にカラーベストという商品名の屋根材もコロニアルと並んでストレート屋根の定番になってます。ストレート屋根とは薄い板の形状の屋根材で、セメントに繊維を混入して補強した化粧(彩色)ストレートと、玄昌石を材料にした天然ストレートの2種類があります。

天然ストレートは高級感があり、重量もあるため高価です。化粧ストレートは屋根材の中でも費用がもっとも安く塗り替えのメンテナンスをしてあげれば耐久性も高いです。ただし風や地震の影響で割れやすいデメリットがあります。

〜ストレート屋根の特徴まとめ〜
・化粧ストレートと天然ストレートの2種類がある
・コロニアルとカラーベストの2商品が人気
・価格が安い
・もっとも普及している屋根材で、塗料の種類も豊富
・外壁塗装と同じペースで塗り替えが必要(外壁と同じランクの塗料を使ったとして)

粘度系屋根の特徴

粘度系の屋根は主に瓦屋根になります。瓦屋根はセメント系でも多く使用されていますが、粘度系瓦はセメント系瓦よりも上のランクです。

粘度系瓦には、専用塗料の釉薬(ゆうやく・うわぐすり)で色を付けた陶器瓦と、釉薬を使わない無釉(むゆう)のいぶし瓦やスペイン瓦、スペイン瓦などがあります。

粘土系の瓦屋根は基本的にメンテナンスは一切不要で高い耐久性を期待できます。また、遮音性や耐火性、耐熱・断熱性に優れた高級品です。最近では、遮熱タイプや軽量タイプなども登場しています。

〜粘土系屋根の特徴まとめ〜
・主に粘土系素材で作った瓦屋根
・粘土系瓦屋根は様々な種類がある
・基本的にメンテナンスフリー
・高級の屋根素材
・重たいので、耐震性への配慮が必要
・近年では高機能タイプの屋根が増えている

金属系屋根の特徴

金属系屋根は、ガルバリウム鋼板。アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板などの銅板をはじめ、最近ではアルミ合金などの非鉄金属系など、様々な材質の屋根があります。金属屋根は軽くて丈夫、デザイン性が高く、施工が簡単などメリットが多数あります。

金属屋根は一昔前まで鋼板やステンレス鋼板を瓦棒に加工したトタン屋根が主力でした。ただし、熱を吸収しやすく、雨の音が大きく遮音性が悪いなどの難点があります。近年は、耐熱性に優れた商品や、金属系素材の瓦タイプなど高機能の金属系屋根材も増えています。

安くて耐久性が高いコストに優れた屋根材から、高機能タイプの屋根材など選択肢が多いです。また、既存の屋根の上から新設もできるので、リフォーム(改築)で採用されるケースも増えています。

〜金属系屋根の特徴まとめ〜
・様々な金属系屋根素材の種類がある
・安くて、耐久性が高いなど金属ならではのメリットがある
・トタン屋根が代表的な金属系屋根
・雨音を弾いたり、サビが出やすく熱を吸収するなど金属ならではのデメリットがある
・金属のデメリットを緩和した高性能タイプの金属系屋根材が増えている
・軽くて安いのでリフォーム(改築)の需要も大きい
・定期的に塗り替えをしないとサビが出る
・金属ならではのデメリットを解消した高性能の屋根材が増えている

セメント系屋根の特徴

セメント系屋根は、粘土系屋根と同様に主に瓦屋根です。セメントと砂を材料にした瓦に樹脂塗料で塗装します。粘土瓦に比べて軽くて安いです。強度はそれなりに高いですが、年度瓦に比べて、やや割れやすいデメリットがあります。

定期的な塗り替えが必要ですが、塗り替えサイクルは15年〜20年です。外壁塗装2回に1回の割合で屋根塗装をするケースが多いです。

〜セメント系屋根の特徴〜
・主に瓦屋根
・粘土系屋根のワンランク下の位置づけ
・15年〜20年に塗り替えが必要
・特徴は粘土系屋根と共通している部分が多い

おわりに

屋根の種類についていろいろ調べてみました。屋根の形状はそこまで普段意識してみた事がないですが、形状によってデザイン性だけではなく耐久性やメンテナンスに差が出る事を知りました。

私の家は一般的なストレート屋根です。ストレート屋根は人気が高いので、高性能の素材かと思っていましたが、安さを重視したメンテナンスに手がかかる屋根でした。

屋根は外壁以上に雨漏のリスクが高くメンテナンスの重要性が高いです。屋根の形状や材質の特性を理解して、塗り替えなど適切な手入れをしていきたいです。