ブルさんブルさん

外壁塗装はなぜ手抜き工事が多いのでしょうか?

私は前回の外壁塗装が持ち家になってから初めての経験でした。
外壁塗装に関する予備知識はほとんど持っていませんでしたが、悪質な手抜き工事やボッタくり価格の悪徳業者がいる事は聞いた事がありました。
現在も外壁塗装の業界はグレーな部分が多いと感じています。

現代はコンプライアンスやネットのSNS拡散や炎上などで、悪い事や低品質が通じない世の中に変わってきています。
そんな中、外壁塗装やリフォーム業界では、未だに悪徳業者が多数生き残っています。

手抜き工事が行われる背景


外壁職人や業者のほとんどは、最初から悪徳な工事で大儲けしようとしていた訳ではありません。しかし、外壁塗装の業界が手抜き工事を行いやすい環境にあり、なかには手抜き工事をやらざる得ない状況に追い込まれている業者もいます。

外壁塗装の工事で不正行為が通用してしまうのは、次の業界事情が影響しています。

  • 大手工務店や営業会社から下請に流れる業界構造
  • 不景気や物価変動などの社会情勢
  • 手抜き工事をしてもバレにくい

下請け会社は手を抜きやすい

外壁業者は自社で営業をしている業者と、元請業者から貰っている下請業者の2種類があります。自社で営業している業者でも、営業部門と現場の塗装作業する職人で分かれている場合があります。

現場で施工する塗装職人が、自ら打ち合わせや商談をしている所もありますが、業界全体では下請で仕事をもらう会社や塗装職人は、一切営業をしない大手が圧倒的に多いです。つまり、現場で作業する塗装職人の多くは、お客と直接打ち合わせや商談、クレーム対応をする機会がありません。

外壁塗装を依頼する家の方は、見積りや打ち合わせ、施工後のクレームなどはシビアに対応しますが、現場で働く塗装職人には良い仕事をしてもらおうと優しく接する方が多いです。

このように、外壁職人は商談やクレーム処理などの現場を知らず、元請(営業部門)から渡された仕事をこなすだけということが多いです。

クレームなどの怒りや、金銭的に厳しい中で外壁塗装の費用を捻出しているお客様の苦労を感じる事がないため、自分が楽をするために手抜き工事をしてしまう業者が後を絶ちません。

実際に手抜き工事をしている業者のほとんどは、下請けなどで現場のみをこなしている塗装職人です。

外壁業界は、ブランド力を構築した大手が存在しない

外壁塗装の大手として、この会社に依頼すれば安心という業者は思い浮かびますか?私はブランド力がある大手外壁業者はないと思っています。

ハウスメーカーを大手と捉える事もできますが、塗り替えの場合ハウスメーカーも小規模業者に外注(下請に仕事を回す事)が多いですし、塗装費用が高いのがネックです。外壁塗装業界は、中規模の工務店や営業会社と小規模(主に個人事業主)の塗装職人が中心です。

塗装職人は専門技術が必要なため、費用や報酬などの条件にこだわらなければ、楽に仕事をもらう事ができます。また、塗装職人は複数の元請会社と付き合いを持っているものです。

もし手抜き工事をしてクレームが来ても、下請会社はお客からではなく元請会社から連絡があります。お客の怒りやクレームがダイレクトに来る事がないので、元請会社から怒られたり信用を無くしても、また別の元請先を探せばいいと簡単に考えている下請け業者もいます。

価格競争で手抜き工事をやらざる得ない状況

バブルがはじけてから、日本は何度も景気や物価の浮き沈みを繰り返しています。近年はアベノミクスで景気が上向いてますが、外壁塗装業界のエンドユーザー価格がインフレ(値上げ)をしている訳ではなく、下請けに入ってくるお金は年々減っていると言われています。

近年は塗料やシンナーなどの材料費が値上がりして、塗装職人の財政はより厳しくなりました。また、元請業者も価格競争の激化によって、無理なディスカウントに応じてしまうケースが増えています。

長年の実績があり、人脈や技術力でいくらでも仕事を取れる下請け会社であればいいですが、小規模の下請業者は無理な条件でも、仕事を受けています。安い単価でも塗装職人が仕事を受けるのは、断れば次の仕事が無くなる事を懸念しているためです。

仮に年間で20軒の仕事をもらっても、ほとんどの仕事が赤字になってしまう単価でしか仕事が来ない場合もあります。正規の手順で丁寧な仕事をしても、赤字になる仕事しか来なければ破産してしまいます。その結果、外壁職人は嫌々手抜き工事に手を染めて、コスト削減によって最低限の利益を確保している場合があります。

赤字になるほど安い単価でも、それを手抜き工事などを活用して仕事をこなす業者がいるため、他の業者も条件を合わせないと仕事が取れない悪循環に陥ってしまいます。

外壁塗装は安さにこだわって業者選びをする方もいますが、安さだけを売りにした業者は、下請業者が手抜き工事しないと成り立たない状況になっている場合があるので注意しましょう

おわりに

私は外壁塗装の手抜き工事に対して、現場で働く塗装職人に対して怒りの感情を持っていました。しかし、実際に調べてみたら、価格競争が激化した背景や、元請と下請の関係性など、現場だけを責める事ができない業界事情を知りました。

一方、気持ちが分かる部分もありますが、どんな事情があろうとも手抜き工事は決してあってはいけない事です。どれだけ安くても手抜き工事をされて、次回の塗り替え時期が数年単位で早まってしまえば、依頼者は数十万円〜数百万円単位の損失が発生します。

手抜き工事が絶えない業界事情を理解して、外壁業者選びは価格だけではなく、信頼性も重視して慎重に検討するようにしましょう。