
外壁の塗り替え時期は、塗料の耐用年数を考慮して見極めましょう。
色褪せや汚れの付着などの劣化症状や、クラック(ひび割れ)などの不具合がなくても、塗料が劣化していくと家の保護機能が失われてしまいます。
塗膜の劣化サイクルと最適な塗り替え時期
外壁用塗料は塗膜を形成することで雨風から外壁材や屋根を保護しています。
また、塗膜の劣化サイクルは使用する塗料と家の環境によって変わってきます。
塗料の耐用年数に応じて最適な塗り替え時期を見極めましょう。
塗膜の劣化サイクルの目安
塗膜の劣化サイクルは塗料の種類によって変わります。
塗料のグレードによって、おおよそ次のサイクルで塗膜が劣化して寿命を迎えます。
- アクリル:4年〜6年
- ウレタン:6年〜10年
- シリコン:10年〜15年
- フッ素:15年〜20年
- 遮熱:15年〜20年
- 光触媒:18年〜25年
上記はおおよその目安で、樹脂が同じでも耐用年数が長い高機能塗料と、価格重視の耐用年数が短い塗料があります。
また、日当たりや気候、風通しなど建物の立地環境によっても塗膜の劣化スピードは異なります。
塗膜は段階的に劣化する
塗膜は耐用年数が来ると一気に寿命を迎えるのではなく、段階的に劣化していきます。
塗膜の劣化症状は次の3段階があります。
1.色褪せ、軽度の変色
塗膜が新しいうちは、塗料本来の艶を維持して汚れをはじく効果があります。塗膜の劣化は紫外線の影響が大きいのですが、紫外線で樹脂が劣化していくと艶がなくなっていき、次第に色素のもとになる顔料も劣化して色褪せや退色など色の変化が起こっていきます。
シリコン塗料の場合、5年〜8年ほどで少しずつ色褪せや変色など劣化症状が出てきます。色褪せや変色が出て間もない劣化の初期症状では、すぐに塗り替える必要はありません。
2.チョーキング、藻やコケの付着、重度の変色
塗膜の劣化が進むと、外壁を手で触って白い粉がつくチョーキング現象や、藻やコケの付着、重度の変色などの症状が出ます。ここで紹介した劣化症状は、塗膜の樹脂が寿命を迎えて、顔料がむき出しになっている事を意味しています。
塗膜は表面に形成される樹脂に強い保護成分があり、色を構成する顔料そのものは耐久性が弱いです。チョーキング、藻やコケの付着、重度の変色症状が確認できたら、塗り替え時期が来たサインです。本格的に塗り替えを検討しましょう。
なお、藻やコケが付着し始めると、どんどん繁殖して外壁を蝕んでいきます。変色も進行して、黒いシミができたような遠くから見ても劣化がわかる症状が発生します。
3.下地に影響が出る
塗膜の劣化が進むと、下地に影響が出てクラック(ひび割れ)や塗装が剥がれるなどの症状が出てきます。ただし、塗膜の耐久性が残っていても、前回の外壁塗装の施工不良や、木造住宅の木の繋ぎ目や窓枠の下など、構造上の問題でクラックが起こりやすい所で不具合が出るケースもあります。
クラックや塗装剥がれなど、下地や土台に問題が発生したら、塗膜の劣化状況を踏まえて塗り替えるか判断しましょう。構造クラックが原因で、塗膜の劣化が進んでいない場合は、部分補修による対応でも問題ありません。
チョーキングや変色、藻やコケの付着などの症状が出ている場合、塗膜の保護機能が失って、下地に紫外線や雨の影響が及んでいることが考えられます。下地全体が劣化して、大きめのクラックや塗装の剥がれ、その他不具合が発生している場合は早急に外壁の塗り替えが必要です。
最適な塗り替え時期はいつ?
外壁の最適な塗り替え時期は、前回使用した塗料の耐用年数を目安に、色褪せなど軽度な塗膜の劣化症状が出てきていて、下地への劣化があまり進んでいない段階です。
家を大規模修繕せずに長く住むには、外壁材や屋根材そのものにダメージを与えないように塗り替えていくことが望ましいです。外壁の状態だけではなく、屋根や付帯物の劣化状況も確認して、劣化が進んできたら早めの塗り替えがオススメです。
基本的には塗料の耐用年数の目安を基準に塗り替え時期を判断し、クラックや塗装剥がれなど大きな不具合があれば、塗料の耐用年数前でも塗装業者に現地調査を依頼して見てもらうようにしましょう。
おわりに
ベテランの外壁塗装職人に、最適な塗り替え時期を聞いたところ、「シリコン塗料を使ったら10年ごとで塗り替えと言われているけど、10年未満やキッチリ10年サイクルで塗り替える人はあまりいない。だけど、10年を超えると塗り替えを検討するようになって、10年目〜15年以内でほとんどの方が塗り替えている」と回答がありました。
塗料メーカーは、何度もテストを行い信ぴょう性の高い耐用年数を算出しています。仮に塗料メーカーが、10年〜12年の耐用年数を明記している塗料の場合、15年や20年塗膜の寿命が持つことはまずありえません。
ただし前回の外壁塗装のときに、手抜き工事や低品質の施工など問題があると、塗料メーカーが明記している耐用年数より大幅に短い期間で塗り替えが必要になる場合があります。
最適な塗り替え時期は、使用した塗料に明記されている耐用年数を上限に、劣化症状を見ながら判断します。短い期間で塗り替え時期が来るケースもあると認識して、小まめに劣化状態のチェックをしましょう。