
外壁のメンテナンスは塗り替えと張り替えの2種類があります。
既存の外壁がモルタル外壁の場合は、塗り替えが主流です。
サイディング外壁の場合は、何度か塗り替えを行いボードが劣化してきたら張り替えを行うのが一般的なメンテナンス方法です。
モルタル外壁からサイディング外壁に張り替えるメリット
従来の木造住宅の外壁はモルタルが一般的でしたが、近年はサイディング外壁の費用が安くなったことで、新築住宅はサイディング外壁が主流になってきました。
モルタル=古い家
サイディング=新しい家
このようなイメージが世間で定着してきています。モルタルからサイディングに張り替え(重ね張り)する一番のメリットは、外壁をリフレッシュして、家を近代風の家に生まれ変わらせることです。
また、張り替えるサイディングの種類にもよりますが、耐久性が高く既存の外壁の上にサイディングボードを設置すれば、壁の厚みが増して断熱効果が高まります。
ただし、張り替えは塗り替えのおよそ3倍ほどの費用がかかります。おおよその計算ですが、塗り替え費用が100万円だった場合、張替え費用は300万円ほどの見積が予想されます。
木造住宅は、40〜50年を目安に建て替えを考える方が多いので、モルタル外壁の家は費用が安い塗り替えがメンテナンス方法の主流です。
最近では、2世帯住宅など、子供世代が親と同居して、家を長く使おうとする方が多いです。長く住むことを目的に、モルタルからサイディングへの張り替えを含めて大規模リフォームをする方も増えています。
モルタル外壁は塗り替えがお得く
モルタル外壁の場合、メンテナンスコストを含めて、長い目で見ても張り替えより塗り替えの方がお得です。リフォーム業者は「塗り替えより張り替えの方が工事費は高いですが、張り替えなら塗り替えの2倍は耐久性があるので、長い目で見ればお得ですよ」といった言葉で張り替えを売り込みしてきます。
サイディング外壁は種類にもよりますが、モルタル外壁より全体的に耐久性は高いです。最近の売れ筋サイディングボードは15年〜20年の耐用年数が期待できます。
しかし耐用年数が20年でも、外壁のメンテナンス費用が10年ごとにシリコン塗料に塗り替える場合の半分になる訳ではありません。外壁塗装は足場を組んだついでに、屋根や付帯物の塗装もします。外壁だけ20年ノーメンテナンスだったとしても、外壁以外の部位で塗り替えや補修が必要になることもあります。
また、モルタル外壁の家からサイディング外壁に塗り替える場合は、2回目以降の外壁塗装のケースがほとんどです。新築から10年を目安にした最初の外壁塗装をする家は、10年前でもサイディング外壁のシェアが高かったのに、あえてモルタル外壁にした家です。新築住宅を買って10年で300万円前後かかる大規模リフォームするケースは少ないです。
築20年で2回目の外壁塗装の時に張り替えた場合でも、その家に住む年数を考えると、サイディング張り替え工事費を、軽減されたメンテナンス費用で回収することは困難です。
一例として、モルタル外壁で耐用年数10年のシリコン塗料を使用した塗り替えが100万円の場合と、耐用年数20年のサイディングボードに張り替えをして、その後20年ごとに100万円かけて外壁・屋根をリフォームしたときの費用を比べてみました。
・モルタル外壁の塗り替えを繰り返した場合
外壁塗り替え工事実施(築20年):100万円
10年後(築30年):100万円
20年後(築40年):100万円
30年後(築50年):100万円
40年後(築60年):100万円
合計 500万円
・モルタル外壁からサイディング外壁へ張り替えた場合
外壁張り替え工事実施(築20年):300万円
20年後(築40年):100万円
40年後(築60年):100万円
合計 500万円
これはあくまでも、サイディングが20年メンテナンス費用がかからないと想定した単純計算です。実際には屋根や付帯物のメンテナンスが必要なので、実際は40年後でも塗り替えの方がお得です。
張り替えから40年以上住めば塗り替えよりもお得になる計算ですが、木造住宅の築60年では建て替え検討する時期になっている事が多いです。
サイディング外壁のメンテナンス方法
サイディング外壁のメンテナンスは次の方法があります。
- 既存のサイディングボードを剥がして新しいサイディングボードを取り付ける
- 既存のサイディングボードの上に新しいサイディングボードを重ね貼りする
- 既存のサイディングボードの上から塗装する
- シーリングのみのメンテナンスで済ませる(既存のシーリングを撤去する打ち替えと、既存のシーリングの上から新しいシーリングを注入する打ち増しの2種類がある)
費用は家の広さや塗料のグレードによって変わりますが、塗装する場合はモルタル外壁の塗り替えと同様に、100万円前後が平均値です。シーリングのみのメンテナンスは、足場費用と屋根塗装を入れて60万円前後です。
張り替えの費用は、張り替えで230万円〜300万円、重ね貼りで180万円〜230万円ほどです。
サイディング外壁はボードそのものが劣化するので、塗り替えやシーリングだけのメンテナンスで対応することは難しく、いずれはどこかで張り替えをしないといけません。
また、一部のサイディング素材は、半永久的に塗り替えや張り替えをしないでいい物もあります。しかし、定期的に状態を維持するためのメンテナンスや、屋根・付帯物など外壁以外の塗り替えリフォームは必要です。
サイディング外壁の最適なメンテナンス方法は、外壁の劣化状態によります。クラック(ヒビ割れ)がなく見た目も綺麗なら、シーリングの打ち増しのみでもいいですし、サイディングボードそのものが劣化してきたら張り替えが望ましいです。サイディングボードは状態を見極めて、塗り替えか張り替えで適切なメンテナンス方法を選ぶことが大切です。
業者によって、推奨されるメンテナンス方法が異なるので複数の業者に相談して納得のできる方法を選びましょう。
おわりに
私の勝手なイメージですが、外壁の適切な選び方は次のようになります。
今から新築住宅を建てる → サイディング外壁を選ぶ
モルタル外壁の家のメンテナンスをする → 塗り替え
サイディング外兵の家のメンテンスをする → ケースバイケース(塗り替えor張り替えorシーリングメンテナンス)
リフォーム業者によっては、売上の大きい仕事を獲得するために強引に張り替えを提案してくる場合もあります。
既存の外壁がモルタルの場合、張り替えをすると機能やデザイン面のメリットはありますが、将来的なメンテナンスコストを含めて費用は塗り替えの方がお得です。