
外壁の塗り替えは、冬や梅雨、夏など不適な時期があります。特に気温5度以下、湿度85%以上は外壁用塗料の規定により、塗装作業しないように定められています。
外壁塗装は水分に弱いので、豪雪地帯では冬場に一切塗り替え工事を行いません。平野部であれば最低気温が5度以下になることはよくありますが、冬や梅雨・夏を含めて街中では1年中外壁塗装をしている家をよく見かけます。
雪が少ない平野部では、気温5度以下や湿度85%以上の外壁塗装に不敵な時期でも、塗装職人が工夫をしながら塗り替え工事を行っています。
塗り替えに不適な時期
主要な塗料メーカーは、ほぼ全てに共通して「気温5度以下、湿度85%以下では使用しないこと」と記載しています。一部の塗料では、気温5度以下、湿度70%以下と定めています。
塗料は気温が低くなると乾燥しにくく、凍結するデメリットがあります。湿度が高くなると、外壁の表面に結露が付きやすく、塗料の密着性が悪くなります。
外壁塗装に適した環境は気温15度〜30度、湿度75%以下と言われています。
塗料と気温の関係
塗料の使用で気を付けないといけないのが、凍結と乾燥していない面への塗装です。塗料メーカーは使用禁止の範囲を5度以下に定めていますが、塗装職人によっては気温0度以上なら凍結しないので問題なしと考えているケースもあります。
気温が氷点下の場合は、塗った直後から凍りはじめるので完全に塗料の使用はできません。また、気温が低くなると雨が降らなくても、早朝にかけて結露が着く場合があり、結露が溶けて乾燥するまでは塗装作業はできません。
気温が40度以上になると、外壁や屋根の表面の気温が60度を超える懸念が出てきます。気温が高すぎると、水が沸騰するような原理で塗膜に「ピンホール」と言われる泡が生じる可能性が出てます。
塗装する箇所の素材や色によっては、気温35度程度でも表面温度が60度以上に上昇することがありますし、40度を超えても表面温度が熱くならないので塗装可能なケースもあります。
冬に外壁塗装する工夫
塗料のカタログには気温5度以下は使用禁止になりますが、実際には気温0度以上であれば塗装可能です。平野部では、真冬でも最低気温が氷点下になることは少ないので、1年中外壁塗装を行っている業者が多数あります。
気温が低いと乾燥しにくく、塗料が乾く前に凍結する恐れがあります。塗装職人は気温が低い時は次の方法で対策を取っています。
- 塗装作業を気温が高い日中の限られた時間のみ行う
- 乾燥時間をしっかり確保する
- 塗料をストーブ等で温めてから使用する
- 足場の周りをブルーシートで覆って塗装面周辺の気温低下を防ぐ
- 2液型塗料の硬化剤の配合比率を気温によって微調整する
塗装職人もプロなので、気温0度〜5度で作業しても、しっかり仕上げます。しかし、気温5度以下は何かしらの対策を取る必要があり、手間と技術が必要です。塗装業者によっては、気温が5度以下になると、一切塗装作業を行わないようにしている所もあります。
また、気温5度以下の場合、次の塗料は適正が低いです。
- 水性塗料 → 凍りやすい成分のため
- 1液型塗料 → 気温に応じて硬化剤に調整ができない
水性塗料や1液型塗料でも、気温対策をとって作業すれば気温5度前後でも施工可能です。
ただし、冬場は油性や2液型塗料の方が適正は高いです。
塗料と湿度の関係
外壁の塗り替えは水分に弱く、塗装面が乾いている時に作業する必要があります。見た目は乾燥していても、湿度が85%以上になると、塗装面の表面の水分が付着していて塗料がうまく付着しません。
湿度が85%以上の環境で塗り替えを行うと、次の問題が発生する恐れがあります。
- ブラッシング現象が起こる(塗膜が白く霧かかった艶の無い仕上がりになる)
- 防錆効果など塗料の性能低下
- 乾燥しにくい
日本では雨さえ降らなければ湿度は85%以上にならない
湿度が高くなりやすい時期は6月〜9月ですが、雨が降っていない天気であれば、湿度85%以上になることはほとんどありません。外壁塗装は雨に弱いので、湿度を問わず雨天時は作業を行いません。
つまり、外壁塗装は湿度85%以上で作業はできませんが、塗装工事を行う時期として、6月〜9月を避ける必要はありません。ただし、梅雨の時期は雨で作業が中断することが多いので、工期が長くなりやすいです。
おわりに
外壁塗装は、冬(気温5度以下)と梅雨・夏(湿度85%以上、気温40度以上)は不適です。私は前回外壁塗装したときに、塗装職人に「冬や夏でも平気なのか?」と聞きましたが、どんな季節でもしっかり仕上げられると回答がありました。
しかし、どうせなら気候が良くて職人も集中して作業できそうな時期がいいと思い、塗装工事を5月を希望して依頼しました。
大至急補修をしないといけない状況ではない場合、気温15度〜30度、湿度75%以下の過ごしやすい時期を選ぶといいと思います。ただし、春や秋は人気が高いので、前もって現地調査を依頼して予約を取っておくとよいでしょう。
もし、気温5度以下になる時でも、丁寧な作業をする職人であれば対策を講じてしっかり仕上げてくれます。しかし、低気温・高湿度など塗り替えに不適な時期は、塗装時の注意点も多く職人の腕や丁寧な対応力が求められます。
特に気温5度以下になる冬に作業するときは、業者選びを慎重に行い、長期保証が付いている業者を選ぶとよいでしょう。