
外壁塗装で現地調査に来てもらったら、見積書だけではなく調査診断書と仕様書も出してもらえないか確認しましょう。
塗装や補修が必要な箇所や、使用する塗料や作業工程を書面に残してもらうことで、外壁塗装に失敗するリスクを軽減できます。
調査診断書・仕様書を出してもらう
・調査診断書とは?
調査診断書とは現地調査をして、塗料の劣化状態やクラック(ヒビ割れ)が入っている部位などを記載されたものです。口頭で「補修が必要」と説明があるだけではなく、書面で現地調査の診断結果を残してもらうことで、後から内容を見ながら家の状態や外壁塗装の必要性を自分自身でゆっくり検討できます。
業者によっては、外壁や屋根の全体の写真やクラックなど、補修が必要な部位の写真も一緒に資料として出してくれます。
・仕様書とは
仕様書は、外壁塗装で使用する塗料や下地処理・補修で使う材料や作業工程の詳細を記載したものです。
上塗り・下塗りでどの塗料を使って、どのような作業で外壁塗り替え工事をしていくのか、仕様書を見れば全て分かります。
調査診断書・仕様書を用意する業者は一部のみ
私が前回外壁塗装した時は、調査診断書も仕様書ももらえませんでした。調べてみたところ、調査診断書・仕様書は、無条件で作成して家主に渡している業者は少なく全体の50%以下です。
また、仕様書は用意するけど調査診断書は作らない業者や、成約になったお客や依頼をもらって、契約書を作成するときに初めて仕様書を用意する業者もあるようです。業者によっては、依頼者からの要望がある場合だけ、調査診断書・仕様書を用意するケースもあります。
まずは現地調査を依頼した時は、見積書だけではなく調査診断書と仕様書も出してもらえないか確認しておきましょう。調査診断書・仕様書を出してくれる業者は優良業者の可能性が高いですが、一切出してくれない業者でも一概に悪質業者とは言い切れません。
調査診断書・仕様書を出してもらうメリット
調査診断書・仕様書を出してもらうメリットは次のものがあります。
- 塗装前の家の状態、工事の作業が明確になる
- 外壁塗装工事が始まってから、追加費用を請求されるトラブルリスクが少なくなる
- 安い材料を使われる心配がない
- 適正料金なのか判断できる
- 嘘の説明を受ける心配がない
調査診断書・仕様書を出してもらうことは、内容を明確に書面に残すことで、業者が悪いことをできないように予防する効果があります。
悪質業者の代表的な手法の一例を紹介します。
- 安い見積を提示して後から追加工事費を請求する
- 料金は安いが材料のグレードも低く質が悪い
- 見えないところは塗らない
- シーリング剤が足らなくなったので、近所のホームセンターで安物の材料を買って対応した
- 外壁塗装の基本工事費は安いが、オプション料金が相場よりも割高
調査診断書、仕様書などの書面を出してもらう時点で、業者は突っ込まれる用な事は書かれません。ほかの業者と比較検討するときも、その業者が正しい事を言って、質の高い工事を行うプランなのか見極める資料になります。
悪質業者は、「現地調査の時にはなかったひび割れ(クラック)がある」と嘘の説明をしたり、素人では分からないような補修剤や下塗り塗料に、安物を使って対応するケースもあります。なかには、見積書とは違う安い塗料で外壁塗装工事をしてしまうこともあります。
書面であらかじめ詳細を提示してもらうことで、業者側に「このお客は妥協せずに、しっかりした仕事をしないといけない」と危機感を持たせる効果が期待できます。さらに、契約後に追加費用を請求されたり、思っていたことと作業内容や使用する塗料が違ったときに、事前に受け取った調査診断書や仕様書を証拠に業者側の落ち度を指摘することもできます。
調査診断書、仕様書を出してもらってから見積書をチェックする
調査診断書、仕様書を出してもらっても、そこで安心してはいけません。調査診断書と仕様書は、見積内容を妥当か判断するためのものです。
どれだけ良い資料を出してもらっても、見積書が「外壁塗装一式」などと簡略なものだと何も意味がありません。
使う塗料のグレードや単価、作業内容などが細かく書かれた見積書を、調査診断書や仕様書と照らし合わせて作業内容が妥当なのかや、費用が高いと感じたときに削っても良さそうな部分がないか調整します。
分からないことがあれば、見積書、調査診断書、仕様書などの資料を見ながら、納得するまで説明してくれる所は優良業者だと断言できるでしょう。
おわりに
調査診断書や仕様書は出してもらえるなら、必ず出してもらうようにしましょう。依頼者にとってメリットが大きく、納得して工事を依頼できる資料なのに、見積書以外は出さない業者も多いのが現状です。
私も前回外壁塗装をした時は2社に相談しましたが、こちらから要望を言わなかった事もあって、2社とも調査診断書、仕様書は出してくれませんでした。
私がリサーチした印象だと、小規模業者は書類作成の手間がネックで見積書までしか出していないところが多いようです。自社職人が多数在籍していて、同時に複数の外壁塗装工事の現場をこなしているような、中規模以上の塗装専門店では、依頼者からの要望に関係なく調査診断書や仕様書を出している所が多いです。
安心感を重視したい場合は、調査診断書・仕様書を出してくれる業者を選ぶとよいでしょう。見積書しか出してくれない業者でも、現地調査や見積で納得のいく説明をしてくれた業者であれば利用するべきだと思います。