父ラボをご覧頂いている方は、車をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
車の維持費の中で大きなものとして、3年もしくは2年ごとに必要になるのが「車検」です。

数万円〜十万円を超えることもある車検費用ですので、少しでも安くしたい、だけど安心も欲しいというのが父として思うところではないでしょうか?

ここでは、車検費用の仕組みや相場、車検業者の選び方について調べたこと、また専門家へのインタビューから知ったこと、また何より田舎で車を2台所有する私の体験談をまとめましたので、皆さんの車検の際にご参考ください。

>>私の車検体験談「父ラボ的車検選び:ディーラー?スタンド?どっちがいい?元ディーラー社員に聞いてみた」はこちらから

車検の費用は何で変わる?

車検の費用は次のようなもので異なります。

  1. 車の種類や状態
  2. 依頼する車検業者

それぞれについて、下記のように解説していきますね。

1. 車の種類や状態による車検費用の違い

まず車の種類については、軽自動車、小型自動車、中型自動車、大型自動車など、車の排気量によっても車検の費用が異なります。軽自動車の方が安く、大型自動車の方が高いのが一般的です。

また車の状態については、整備が必要のない新しく、走行距離の短いものほど安く、整備・修理の必要な古く、走行距離の長いものほど車検費用が高くなる傾向にあります。

これらのことから、車検費用を安くするには、軽自動車やコンパクトカーを選べば安いということがわかります。また最近ではエコカー認定されているものであれば、費用を安く抑えることができます。

また、古い車やよく使っている車では整備費用が上がってきいます。普段のメンテナンスを行うことや、また場合によっては車の買い替えの方がお得なケースもあるでしょう。

>>「自動車の車検の費用相場はいくら?」で詳しく解説しています。

2. 依頼する車検業者による車検費用の違い

車検費用は、依頼する車検業者によっても大きく異なります。
次の表では、それらの比較を行いました。

車検業者 代表的な店舗 特徴
ディーラー トヨタ、日産、ホンダなど ・安心感は一番
・費用が割高なところがデメリット
自動車整備工場 ○○モータース、△△整備工場など ・短期間での車検取得も可能
・細やかな整備も可能
車検フランチャイズ コバック、ホリデー車検など ・安さや早さが売り
・店舗も多い
カー用品店 オートバックス、イエローハットなど ・こだわりパーツの利用も可能。
・自由度が大きいところがメリット
ガソリンスタンド ENEOS、昭和シェルなど ・身近さ・手軽さが売り
・給油の割引券をもらえることも
ユーザー車検 運輸支局などに自分で持ち込む ・面倒だが最も安い

一番安心なのはディーラーで車検を行うことですが、安く抑えようと思うと、業者を選ぶ必要があります。車検フランチャイズやカー用品店では、安い費用で車検を行える所も多いようです。

>>詳しくはこちら「車検はどこでできる?車検業者の種類と特徴」

ではどこにお願いするかということになりますが、同じ業者でも店舗によって費用やサービスが異なることが多いようです。
無料見積もりで実際の費用を比較してみるのが、一番早く安い業者を探せる方法と言えます。

車検が安い業者がある理由

上のように、車検はディーラーなどの販売店をはじめ、車検専門店、ガソリンスタンド、部品量販店など幅広い業者が行っています。

車検費用はディーラーが高いと言われていて、安さを売りにしている業者を利用すると、車検費用が数万円単位で安くなる場合があります。
なぜ、車検は安いところがあるのでしょうか?業界事情を含めてその仕組みを解説します。

車検費用は、自賠責保険や重量税などの法定費用と、業者の手数料、整備代から構成されています。
法定費用は、どこの業者を利用しても車種ごとに定められた金額が必要です。
車検が安い業者は、業者の手数料や整備代が安くなっています

車検は利益が出る

ディーラーは新車を売る際に交渉や条件によって値引きをします。
新車の利幅は実は意外に少なく、中には数万円しか利益が残らない場合や、赤字になってまで販売する場合もあります。

新車の場合は、販売台数によってメーカーから報奨金が出る事もあるので、一概に1台あたりの利益で計算する事はできませんが、ディーラーは店舗運営費などのコストを考えると、新車販売による利益だけでは成り立ちません。
それでも、新車値引きに積極的なディーラーが多いのは、車を販売して顧客を作ると、その後整備による売上が見込めるからです。

新車ディーラーの利益構成比は、販売よりも整備の方が大きくなる事がよくあります
整備の中でも車検は利益率が高く、入庫促進に力を入れています。

車検の利益と所要時間

ディーラー車検の場合、基本料金、申請代行手数料、検査料を合わせた金額の相場は3万円〜4万円ほどです。
別途、追加整備をした部品代と工賃の利益が上乗せされます。
1台の車検作業に必要な時間はディーラー車検でも2時間前後が目安です。

車検の利益の大半は、各種作業を行う手数料収入です。
車検をするためには、ピット(作業スペース)や検査ライン(指定工場の場合)、待合室や事務員、申請担当者、営業スタッフの人件費などがかかりますが、実質数時間の作業に対して3〜4万円の利益が出るのは非常に効率が良いです。

格安業者は安くても、運営できる利益をしっかり出している

ディーラー車検の場合は手数料のみで1台3〜4万円の利益を取っています。
格安車検業者の場合は、安い所で基本料金1万円〜1万5千円、申請代行手数料や検査料を無料にするなど、ディーラーの半額以下の料金で車検をしている所もあります
ここまでディスカウントしても、作業時間が数時間程度であれば、家賃や光熱費などの固定費や、人件費などを含めても商売として成り立つ利益を確保する事ができます。

さらに、ディーラー車検の場合は作業に2時間、お客から車を預かる期間は1日(朝から夕方までなど)をもらっている場合が多いですが、格安車検業者は業務効率化や作業の簡素化によって45分や60分などの短時間車検にも対応しています。
作業時間を短縮する事で、1日にできる車検台数を稼ぐ事ができ、さらに車の保管スペースが少なく代車も不要になるなど運営コストを抑えられるメリットがあります。

格安業者は余計な無料サービスを削って、安い価格設定を行っている

ディーラー車検の場合、次のサービスを無料利用できる場合があります。

・引き取り、納車
・代車
・お客の都合で数日預かる場合の保管料
・車検証原本の郵送費用やスタッフが届けに行く費用

これらのサービスはディーラーの場合、利用の有無を問わず車検料金は一律、無料サービスが付いているとお得に感じるかもしれないですが、その分手数料が高く、無料サービスを使わない人が損している事になります。
格安業者の中では、ディーラーが行っている無料サービスを有料化する事によって、基本料金を安く設定している事があります

大手チェーンのコバックでは、引き取り、納車はせず、無料代車は料金が高いプランのみ用意して対応をしています。
なかには安くて無料サービスも充実している業者もありますが、余計なコストの削減などの企業努力を料金で還元しているのが格安業者の特徴です。

格安業者は整備費用も安い

車検は点検結果によっては、別途部品交換などの整備や修理を行う必要があります。
車検の整備費用は、保安基準に適合するための必須の項目と、車検継続後安全に乗るための任意のものがあります。

ディーラー車検の場合は、部品は主に新品の純正部品を使っていて、部品や工賃の値引きが少ないです。
さらに、安全面を重視している事や整備売上のノルマがある事から、早急に交換しなくてもいい部品まで交換する過剰整備を強く勧めてくる場合があります。

格安業者の場合は、部品を純正だけではなく社外品や中古、リビルト(中古再生品)を使い分ける事によって安く部品交換をしています。
さらに、工賃の価格設定が安い事や過剰整備をしない事で車検の総額費用を安く抑える努力をしています。

ディーラーと格安車検業者の車検に対する方針の違いを簡単にまとめると次のようになっています。

  • ディーラー車検 → しっかり整備して、車検後のトラブルリスクを最小限にする事で顧客の信頼を獲得する
  • 格安業者の車検 → 安い料金で車検を行う事で、口コミやネットレビューなどの評判を上げて顧客を獲得する

格安車検業者は、過剰修理をするなどして「あそこの業者の車検は高い」などとネットに投稿される事を嫌っています。
また、最近では格安車検業者も、安さだけではなく整備保証や独自の追加点検項目追加などを用意して品質の高さにも力を入れている業者が増えています。

車検業者を選ぶ際には、これらの特徴を理解した上で、自分が何を重視するかで業者を選ぶのがよいでしょう。

>>その他、車検に関する情報はこちらから「車検の基礎知識」