車検は自動車を所有して公道を走るために義務付けられている制度です。
車検には有効期限があり、乗用車の場合は2年ごと(新車購入時のみ有効期間3年)に更新しなければいけません
車検満了日までに継続検査を受ける必要がありますが、万一車検切れの状態になってしまった場合はどうすればよいのでしょうか?

車検切れの場合の対処法

車検が切れた場合は、必ず車検切れのまま、何も対処を取らず公道を走らない事です。
車検切れの状態で公道を走った事が判明すると、道路交通法により厳しい罰則が設けられています

車検切れの罰則

車検切れの罰則は次のものがあります。

  • 運転免許の違反点数6点加点
  • 6ヶ月以内の懲役、または30万円以下の罰金

違反点数6点は、過去に累積されている違反点数が無い場合でも一発免停(30日間の免許停止)になります。
違反点数の累積や、過去に免停になった履歴があると、条件に応じてさらに長期間の免許停止や免許取り消しになる場合もあります。

また、車検と自賠責保険はセットで加入するものです。
自賠責保険は車検有効期限に1ヶ月プラスした保険期間に設定している事が多いです。
つまり、車検有効期限を過ぎた日から1ヶ月以内であれば、自賠責保険は残っている可能性がありますが、1ヶ月以上経過すると車検切れと自賠責保険切れのペナルティが同時に科せられます。

自賠責保険切れ(無保険)で公道を走らせると以下の罰則があります。

  • 運転免許の違反点数6点加点
  • 6ヶ月以内の懲役、または50万円以下の罰金

自賠責保険が切れている場合は、原則車検も切れている事になります。
そのため、車検切れと自賠責保険切れの2つの罰則が加わると、合算して運転免許の違反点数12点加点が科されます
過去の違反点数の累積が無い場合でも一発免停(90日の免許停止)になります。

免許停止期間の短縮

免許停止処分を受けても、停止処分者講習を受けて筆記考査(筆記試験)で優の成績を取れば免許停止期間が短縮されます。
停止処分者講習は免停日数に応じて費用や講習時間は異なりますが、真面目に受講すれば筆記考査で、ほとんどの方が優(短縮日数が長い高得点)を取れます。

違反点数の直近1年の累積がなく、直近3年以内に免許停止処分を受けた履歴が無い真っ白な免許で、車検切れのみの6点加点された場合は30日の免許停止になります。
30日の免許停止であれば、停止処分者講習を受けて筆記考査で優を取れば29日短縮されて、実質講習を受ける1日のみの免許停止処分で済みます。

車検切れと自賠責保険切れの双方の違反があり違反点数12点加点、違反歴や免許停止歴が無い真っ白な免許であれば90日の免許停止になります。
免停期間が90日だと、停止処分者講習が2日必要になり、筆記考査で優を取っても短縮期間は45日で約1ヶ月半は免許停止で実際に車を運転できなくなってしまいます。

過去の違反点数の累積や免許停止履歴によっては、さらに重たい処分になるので注意しましょう。

運転しなければ罰則はない

車検は公道を走るために必要な制度で、車を所有しているだけで公道を走らなければ、車検切れによる罰則はありません
車検切れが判明した場合は、すぐに対処しようとして自走で車検工場に車を持ち込むのではなく、落ちついてリスクの無い対処法を考えるようにしましょう。

車を乗る予定がない場合は、車検切れのまま放置しても罰則はありませんが、車にナンバーが付いている状態のままだと、自動車税の課税対象になります。
車を乗らずに放置する場合は、一時抹消をしてナンバーを返納するようにしましょう。

車検切れの車検の仕方

車検切れの状態でも、車検の方法自体に大きな違いはありません。
整備工場などを利用して、法定点検や保安基準に適合するための適切な整備や部品交換をして、検査に適合すれば車検は通ります。

車検切れの車でも車検を取り直せば、従来どおりに公道を走らせる事ができます。
車検の有効期間前に継続する場合と、車検切れの車の車検を取り直す場合で決定的に違うのが、車を自走できない事です。

車検が切れる前に更新手続きをすれば、利用する整備工場や検査を受ける陸運局まで車を自走できます。
車検切れの状態では、車検検査に合格して、新しい車検証もしくは指定工場が発行する保安基準適合証の発行をされるまでは公道をそのまま走る事ができません。
車検切れの場合は、車検をする工場や陸運局までの運送手段に注意をしなければいけません。

車検切れの車の運送方法

車検切れの車を運ぶ場合は次の方法があります。

  • 業者に引き取り依頼する
  • 市区町村の役場で仮ナンバーを取得する

車検切れの車の車検をする時は、ディーラーや整備工場などの業者に車を引き取りに来てもらうようにしましょう。
販売店や大きい整備工場はディーラーナンバー(返納義務のない仮ナンバー)や積載トラック(ローダー)を保有して車検切れの車を運ぶことができます。

業者によっては引き取り手数料を徴収してくる場合もあるので事前に確認しておきましょう。
ガソリンスタンドや部品量販店は、車検切れの車を運送するディーラーナンバーや積載トラックを所有していない場合が多いです。
販売業者を利用すると、車検切れでも無料引き取りをしてもらえる場合があります。

業者を利用しなくても、市区町村の役場で仮ナンバーを発行してもらえば、自走して車を回送する事ができます。
個人が利用できる仮ナンバーは、白地に赤い線がナナメに入っているのが特徴です。
仮ナンバーを利用するには数百円程度の手数料と、自賠責保険証(回送する日が補償されているもの)、認印を用意して、申請用紙の提出と回送ルートの記載を行えば誰でも利用できます。
利用後は再度市区町村の役場に仮ナンバーを返納しないといけません。
手間がかかるので、車検切れは無理に個人が自分で対処せず、専門の業者に任せたほうがスムーズでトラブルリスクがありません。

車検切れの車検は割高になるのか?

車検切れの車検は、車検の利用方法や業者、状況に応じて費用が割高になる場合もあります。
車検切れによって割高になる要因は次のものがあります。

  • 自賠責保険料が25ヶ月での加入が必要
  • 引き取り手数料が上乗せされる
  • 整備費用が高くつく

継続車検より自賠責保険が+1ヶ月分高く付く

自賠責保険は車検有効期限より1ヶ月多く加入しておくものです。
乗用車の場合、新車購入時は37ヶ月、中古車新規は25ヶ月で加入します。
継続車検は、車検有効期限までに更新した場合、24ヶ月で自賠責保険に加入します。

しかし、車検と自賠責保険が切れていた場合、中古車新規と同様に25ヶ月で加入する事が望ましいです。
なお、車検満了日を数日過ぎた程度であれば、自賠責保険は24ヶ月でも問題ありません。

軽自動車の自賠責保険料
・25ヶ月:27,240円
・24ヶ月:26,370円

普通乗用車の自賠責保険料
・25ヶ月:28,780円
・24ヶ月:27,840円

車検切れで25ヶ月で自賠責保険に加入する場合、24ヶ月で加入するより千円弱割高になります。

引き取り手数料の上乗せ

車検を依頼する業者によっては、車検切れの車の引き取り依頼をすると、別途手数料を請求される場合があります
車検切れの引き取り手数料の追加料金相場は5千円前後です。
車検切れの車の引き取り手数料は業者によっては無料で対応してくれます。

まずは業者に車検が切れている旨を伝えて手数料も含めて対応方法を問い合わせしましょう。
車を購入した販売店や普段から車検や点検・整備を利用している整備工場など、普段から付き合いがある所では無料対応をしてもらえる事が多いです。

車は放置すると整備費用が高く付く

車検満了日を数日切れた場合など、車検を受ける直前まで車を乗っていた場合は、車検切れを理由に整備費用が高く付く事はありません。
長期間車を乗らずに放置すると、以下の不具合が発生する場合があります。

  • バッテリーあがり
  • ガソリンの酸化
  • ブレーキの固着
  • サスペンションなど足回りの異音

放置期間が長いほど、不具合の発生リスクが高まり、整備費用が高く付く可能性があがります。
車検が切れてから継続するまで時間が空く場合は、定期的にエンジンをかけたり、敷地内で少し動かす、ブレーキペダルを数回踏むなどの対応をすると、不具合のリスクを緩和できます。

まとめ

車検が切れた場合は、何も対処せずにそのまま公道を走らない事です。
車検切れで公道を走ると免許の違反点数6点の加点(一発免停)の罰則があり、自賠責保険切れが加わると、さらに違反点数6点が加点され、合計80万円以下の罰金も科されます。
車検が切れた場合は、ディーラーナンバーや積載トラックを持っている業者に引き取りに来てもらうとよいでしょう
車検切れによる割高料金は自賠責保険を25ヶ月で加入する分の通常車検との差額千円弱ですが、放置期間が長くなると、整備費用が高く付く場合があります。